書籍化公開プレゼン第2段『あなたのための美術史学入門(仮)』
どうも、昨年『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』(産業編集センター)という本を初めて出版した、ちいさな美術館の学芸員です。
さて、覚えている人はいるでしょうか。以前に一度、このnote上で書籍化企画の公開プレゼンを行ったことを(これ👇)。
その結果としては、ありがたいことに書籍出版の話を2つの出版社からいただきました。
と言っても、2冊ともプレゼンした内容とは違う企画なので、公開プレゼンがきっかけになったような気もするし、あまり関係がなかった気もします。どっちじゃい、という感じですが、少なくとも「私、書く気があります!」と表明したことは無駄ではなかったのかな、と思っています。
2冊ともぼちぼち刊行時期が確定するので、そうしたらバンバン告知していこうと思っています(よければ買ってください!)。
というわけで、この半年ぐらいは2冊分の原稿をヒィヒィ言いながら書いていましたが、もうそれも手を離れたので(まだまだ校正作業は残っていますが)、また新しい企画を勝手に考え始めた私です。
出版というのは癖になりますね。
インターネットを通して個人がいくらでも情報発信できる時代ですが、全国の書店に本が並ぶのはまだまだそれを凌駕するインパクトがあるのだと初めて本を出した時に実感しました。
ありがたいことに1冊目の『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』は、重版となって1万部を突破しました。仮にこのnoteでそれだけの数の人に同じボリュームの情報を届けられるかと言えば、どうあがいても無理でしょう。リアル店舗の力はすごいものです。
だから書籍出版には、noteで発信するのとは、また別の面白さがあるのです。
さて、そんなわけで2回目の書籍化公開プレゼンを行ってみようと思います!
いま書いてみたいなぁと考えているのは、
\ドン!/
『あなたのための美術史学入門 〜美術を学ぶことが何の役に立つの?〜(仮)』
です。あくまで仮ですが。
今回は学芸員よりも大学教員としての顔を前面に出してみました。
私が大学で行っている講義内容をベースにしつつ、それを一般の人に向けてわかりやすくアレンジしてみようかと。
だから『美大で教える美術史学』『大学生のための美術史学』とか、またはもっと単純に『美術史学入門』とかでもいいかもしれません。その場合は、ちいさな美術館の学芸員ではなく実名の方でやった方がいいかな?
でも自分で言っておいてなんですが『美大で教える美術史学』だと、『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』(佐藤直樹、世界文化社、2021年)の二番煎じっぽいからやめた方がよさそうです(笑)。
■前書きはこんな感じはどうでしょう?
『あなたのための美術史学入門(仮)』の前書き(はじめに)を書いてみました。
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はじめに
みなさんは、美術史学ってどんな学問だと思いますか。
「美術史というぐらいだから、美術の歴史を学ぶということじゃないの?」
はい、たしかにその通りです。でもそれだけではありません。
ずばり一言で言うと、美術に関する何らかの「?(問い)」を見つけ、それに答えを出す。これこそが美術史学です。
高校の歴史の授業と、大学で学ぶ歴史学が全く違うのと似ています。
世界史にせよ日本史にせよ、高校では教科書の内容を理解し、歴史上の出来事(史実)を知識として覚えることが重要でしたね。年号を必死で暗記した記憶が誰でもあるはずです。でも歴史学では、新たな史実を明らかにして、さらにその史実が歴史の流れの中でどんな意味を持つのか、自分なりに解釈することが求められます。
美術史学も歴史学の傍流に位置する学問ですから、基本はこれと同じです。
単に美術の歴史を追っていくだけの作業、つまり「○○時代は○○様式」と暗記するような学問ではありません(もちろんその知識が大前提となりますが)。
かと言って、自分のお気に入りの美術作品について好きに語るものでもありません。それではエッセイや感想文です。
数多ある美術作品、過去から現在までのその膨大な集積の中で、まだ明らかにされていない、誰も触れていない問いを見つける。美術史学はそんな学問です。
壮大な問いもあれば、重箱の隅をつつくような問いまでレベルは様々ですが、この問いを解き明かして、美術に関する知の大系を1歩でも2歩でも前進させる。これが美術史学の本質なのです。
と大風呂敷を広げてしまいましたが、こんな抽象的な説明ではピンとこないでしょう。
もう少し分かりやすく美術史学の魅力を語るなら、はるか昔に生み出された美術作品を読み解き、理解できた時の喜び。そして自分なりの観点で作品の魅力をつかめた時の達成感。時代を超えて作者とつながれた感動。これに尽きます。
本書では、みなさんにもその喜びを体験してもらおうと思います。
「でも、そもそも美術史学を学んだところで何ができるようになるの?」
「研究者でも学芸員でもないのに、美術史学を学ぶことって何の意味があるの?」そう考える人もいるでしょう。
繰り返しになりますが、美術史学は、これまで生み出されてきた美術作品を対象にして、自分なりの問いを立てる学問です。
当然、その問いにはまだ答えがありません。答えがない問いについて、自力で考えなくてはいけないのです。はっきり言って、これは苦しい作業です。
でも、自分で問いを立て、自分で答えを見つける。これは社会に出た時に必須の力ではないでしょうか。この力が無いと、誰かに言われたことをやる、お手本通りにやる、前例通りにやる、ルール通りにやる、その繰り返しになるでしょう。
逆に言えば、これは人生を面白く生きるためには必須の力だと言えます。この力があると人生にはやりがいしか無いのです。
美術史学に限らず、人文系の学問は「一体それが何の役に立つのさ」という目で見られる宿命にあります。美術史学を学んで、大金持ちになれるかは知りません。社会的な成功者になれるかも知りません。でも、間違いなく人生が楽しくなることは保証します。それって十分学ぶべき理由になりませんか?
さぁ、ここまで読んだらさすがに少しは興味がわいてきたはずです。それでは美術史学の世界へ、いざ!
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■構成案はこんな感じ
本は、2部構成にしたらどうかなと考えています。
第1部は、どちらかというと短めで、美術史という学問のざっくりした説明をします。そして第2部がメインパートで、具体的な作品を通して、図像学、様式論など美術史の各研究手法を実践していくワークショップ形式となります。
美術史という学問は西洋で生まれたものですが、それを私の専門である日本美術の分野で解説していきます。
【第1部の章立て】
美術史学ってなんだ?
作品のどこに注目する?(形式、形、色、素材、技法)
作品を分析する(ディスクリプション)
主な研究手法を知る
先行研究の調べ方
自分だけの問いの見つけ方 etc.
【第2部の章立て】
様式研究/《作品A》で実践
作家研究/《作品B》で実践
技法・材料分析/《作品C》で実践
社会美術史/《作品D》で実践
ポストコロニアル美術史/《作品E》で実践
受容史/《作品F》で実践 etc.
項目だけ見せられてもイメージが湧かないと思うので、サンプル記事をひとつ書いてみました(👇)。第2部の図像学の内容を想定しています。
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いかがでしょうか。あくまで現時点での構想ですが。
もし出版関係で興味のある方がいらっしゃれば、お気軽にご連絡ください。連絡先はこちら👇
また今後も、何か思いついたらここに出して意見を聞きたいと思います。
