日本の美術館は基本「クーリエ」をやらないけど
クーリエ(Courier)って知ってますか。知らないですよね。
それは作品の輸送や展示に立ち会う人のことです。主に展覧会で作品が動く際に帯同して、輸送・設置・撤去を監督するのが仕事です。
海外では、美術館の学芸員または保存修復士(コンサバター)が務めることが一般的です。海外から作品を借りると、このクーリエが一緒にやってきます。
さて、日本の美術館ではクーリエはあまり一般的ではありません。
いままでも何度か触れてきましたが、展覧会のために作品が動く時は作品を借りる側の学芸員が責任者として動きます。
貸す側の学芸員は、貸し出す時のチェックと借用時のチェックを行うだけで、あとは借用館を信じて輸送や展示はおまかせします。クーリエ的な動きはしない、ということです。
それでも、たまに貸し出す側の学芸員がクーリエをすることがあります。
さて、どんな時でしょう?
ひとつは、貸し出す作品が超重要な作品、または超繊細な作品の場合です。
輸送や展示の際に細心の注意を払うのは当たり前ですが、万が一の事態があったら絶対にまずい作品(もちろんまずくない作品なんてひとつも無いけど、その中でも特に、ということです。わかりますよね)を、どうしても貸し出して展示しなくてはいけない時。
そんな時は、作品の扱いを熟知している所蔵館の学芸員がクーリエとして現地に趣きます。そして輸送先の美術館での開梱から立ち会い、展示の際にも一部始終を監督します。作品自体はクーリエ以外には触らせない、クーリエ自らが展示を行う、なんてこともあります。
閉幕して作品を撤去する際にも、もちろん立ち会います。クーリエが到着するまでは、その作品を入れたケースを開けることは許されません。
この場合は、出品の交渉があった段階で展示・撤収時の学芸員の立ち会いが条件であることを伝え、そのための費用も借用側が負担することを確認した上で、貸し出しを承諾するという流れになります。
あと、もうひとつ、海外の美術館に作品が展示される時ですね。
日本国内だとまぁたいていの美術館、博物館で同レベルの作品取り扱いがされますが、海外は正直分かりませんからね(海外の美術館の方がレベルが低いとか言っているわけではなくて、未知数の部分が多いということ)。
特に日本美術の作品の場合なんて、取り扱いのためのいろいろな前提知識があるかどうか分かりません。そのため、海外展の場合は先方に任せっきりにせずに、貸す側の学芸員が飛行機にのって現地へ飛ぶ、なんていうこともあります。
最初に言った通り、基本は借用館を信頼してお任せするのが基本ですが、たまにはクーリエもやりますよ、という話でした。
しょっちゅうだと疲れますが、たまにはよそ様の展示にお邪魔するのも楽しいものです(あと現地のご飯とかも)。
