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観た!笑った!!舞台「学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート」

池袋のサンシャイン劇場で舞台「学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート」を観てきました!
東京公演が終わらぬ内に感想をみなさんに伝えたいので、やや書き殴りで失礼します。

【公式サイト】

美術館って、静かで、難しそう? いえいえ、この物語に出てくる美術館は、騒々しくて、わかりやすいです。
それは、働いているのが、騒々しくて、わかりやすいみなさんだから。
ここに、新人の学芸員としてやってきたのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの研究をしている鎌目志万(かまめしまん)という男。
そんな彼には、ある秘密が……。個性豊かな面々が繰り広げる、ミュージアム・コメディです。

公式サイトのイントロダクション

脚本・演出は小林賢太郎さん。超有名人なので説明はいらないですね。

美術館を舞台にした脚本に取り組んだ小林さんがあらためて学芸員について調べるために、拙著『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』を読んでくださったそうです。公式サイトにも参考資料として掲載してくれています。

そんなところから、依頼を受けて会場で配るパンフレットにもコラムを書かせていただきました。また会場のグッズ販売コーナーにも本を置いてくださっていました(結構売れているようでありがたやありがたや)。

さて、ここからが感想です。

舞台って今こんななの!?という驚き

最初に、浦島太郎みたいな感想ですいません。
私は恥ずかしながら普段舞台を見に行くことがなく、何十年ぶりだろう。もしかするとまだ大学生の時だったかな。大学は演劇サークルが盛んなところだったので、たしか知り合いか、知り合いの知り合いかの舞台を付き合いで下北沢に見に行って以来だと思います。

その時の感覚で行ったら、もう全然違う!
(一緒にするな、と怒られそうですが)

プロジェクションマッピングなのかな(よく分かってないヤツ)、舞台の背景などに時折キャストの動きやセリフに合わせた映像が映し出されるんですよ。演技と映像の組み合わせで全く飽きさせないようになっていました。

劇場も映画館みたいだし、音響もいいし、今ってそうなのね。

笑う気満々でみんな来ていた。

東京公演は連日満席だそうです。すごいですよね。

で、始まって初っぱなの美術館警備員(辻本耕志さん)が出てきて、その一言目からクスクスと会場から笑い声が。もう場が温まっていました。

そうか、小林賢太郎さんの舞台ということで、肩肘張らず完全にコメディとして楽しめばいいのか、と。もうみなさん笑う気満々で来ていました。

やや乗り遅れましたが、結局、私も終始笑いっぱなしでした。正真正銘のコメディ。それで終わった時の余韻もさわやか。最高でした。

私立美術館という設定の妙

舞台は、葛原建設という会社が運営母体の葛原美術館(通称「くず美」)。収蔵品も貧弱で、来館者も1日に数える程度。そしてとうとう親会社が文化事業の縮小を検討して、美術館の存続が……というお話です。

なんか最近もそんな話を聞いたような、と思わせる絶妙にリアルな設定です。

これが私立ではなく公立の美術館だと、どんなに弱小でもそう簡単にはつぶれませんから、現場の奮闘みたいなストーリーを見せられても、学芸員目線からすると「そうは言っても大丈夫でしょ」と思ってしまったことでしょう。
でも、バブルの頃にお金があった会社が企業メセナだとか言って勢いで造ってしまった美術館だと、トップが変わった瞬間に打ち切りということも十分にあり得ます。

そうそう、こんな美術館あるよなぁ、と私もつい思ってしまいました。

リアルが散りばめられているからファンタジーが輝く!

舞台を見て、思っていた以上に細部がリアル美術館で感心してしまいました。

学芸員が1人しかいないような美術館のリアル、と言った方がいいかもしれません。

企画展をやりたいのに、常設展をやらざるを得ない事情とか(笑)。

学芸員だけでなく、事務方や監視スタッフやもうみんなで仕事しないとどうにも回らないところとか(爆)。

運営母体の会社の社員と、現場の美術館職員の格差とか(想像するに年収もまったく違う)。

挙げていけばまだまだあるのですが、本当に学芸員の私が見ても「うんうん、そうそう」と思わされる場面の連続でした。拙著を参考にしてくださったようですが、それだけじゃない取材を重ねられていることがよく分かりました。

舞台終了後、なんと小林賢太郎さんにご挨拶する機会をいただけたので、そのあたり少しお話しました。
小林さんは「舞台はもちろんファンタジーなんだけど、そのウソを輝かせるためにはリアルを追求する必要があったんですよ」みたいなことを言っていました(超意訳)。

なるほど納得。だからこそ最後の一発逆転の解決策とかがすんなり受け入れられたんだな、と。現実的にはあり得ないけど、観ていても引っかからない、みたいな。

あと個人的にグッときたのは、最後に出てくる図録!

会場の反応を見ていると、おそらく図録と言われてピンと来ていない人が多いように感じましたが(「ずろく?」みたいな。ま、普通そうですよね)、普段やりたくても企画展なんてできず、ただ自前のコレクションを回すだけの常設展を行っているような美術館が、何とかかんとか企画展を開催し、そしてその企画展だけの展覧会図録が完成して、その実物を手に取った時の感動。

図録を抱きしめたくなる気持ち、めっちゃ分かりましたよ、現場の人間として。

行こう、美術館へ。

「行こう、美術館へ」、これがこの舞台のテーマになっていて、美術館学芸員としてもうれしい限りです。

いや、この舞台見たら、絶対に美術館に行ってみようと思いますよ。目の前で生身の人間が話し、歌う舞台には、そういう力があるんだなと実感しました。

まさか黒子役の学芸員という職業に、こんな晴れ舞台が用意されるとは。舞台を観ながら、そして笑いながら、同時に感無量になる私でした。

あと、学芸員の企画次第で美術館を何とかすることができるんだ、というところにも夢があってよかったです。

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前述の通りすでに満席となっている舞台を今から見ることはできませんが、配信チケットを買ってネットで見ることができますし、あとでブルーレイも発売されるようです。興味がある人はちらっとでいいから公式サイトをのぞいてみてください!