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内向き学芸員、外向き学芸員

最近、至極当たり前なことに気がついてしまいました。

学芸員になる人と学芸員に求められる特性が必ずしも一致していないのでは、という話です。

学芸員になるまでの大まかな流れを考えてみましょう。
まず、大学の4年間で学芸員課程を履修して学芸員資格を取得し、さらに大学院に進んで少なくとも修士号を得た上で、学芸員の公募にトライして採用される。例外は色々ありますが、基本はこんな感じでしょう。
大学院に進む必要があるのは、公募条件に「修士号またはそれと同程度の知識を有していること」という項目が入っていることが多いからです。

学芸員資格を取得する大学生は少なくありませんが、大学院まで進む人となると一気にその数は減ります。

大学院は、専門的な研究をする場所です。院生は、おのおの自分のテーマを見つけて研究を行います。つまり、この時点で残っているのは、物事を深く掘り下げることに喜びを覚えるタイプの者たちなのです。
作品とじっくり向き合うことが好きな者たちと言ってもいいかもしれません。

ひるがえって、学芸員という仕事はどんな仕事でしょうか。
もちろん研究もしますが、その成果を展覧会という形で多くの人に伝えることが大きな役割と言えます。
外に向かってわかりやすく情報を発信できることが資質として求められているのです。

何を言いたいのかもうお気づきかもしれませんが、この「外に向かって伝える」という能力は大学院で教えられるものではありません。むしろ作品と向き合うような内向きの特性を持つ人が残っていく傾向にあります。

だからいざ学芸員として就職すると、ごく一部の生まれ持った伝える力をもつタイプ以外は、結構とまどうわけです。
それで四苦八苦しながら外部にメッセージを届ける力をつけていく人もいれば、ずっと内向きなまま研究者タイプとしてやっていく人もいるのでしょう。

なんでこんな話を急にしているかというと、先日大学で学芸員課程を履修しようと考えている100人以上の学部生たちを見たからでしょうね。

「きっとこの中には、私なんかよりよっぽど伝える能力がある学生もいるんだろうなぁ。でもきっと大学院に進むことはなく就職していくんだろうなぁ」なんてことを思いました。

かと言って、研究能力の乏しい人が学芸員になったらそれはそれで苦労するでしょうから、なんというか難しいところですね。