さもあらばあれ‥ とはいうものの
今日もまた言ってしまうが、時間が経つのがホントに早い。
私がnote を始めてから、もう5年が経過した。
コロナ真っただ中の2021年2月、私は拙文をしたため noteに投稿を始めた。
それまで、私に文章を書く習慣はなかった。自分の悪筆を晒すことがイヤで、若い頃から文字を書くことを避けてきた。手紙もあまり書かなかった。やむを得ず書いたのは、会社員時代の「業務報告書」だけ。自社の置かれている危機的状況を迫真の物語にまとめ、強い筆圧で手書きして関係部署にFAXしたものだ。私はこれが得意だったように思う。数々の力作、傑作があったはずだが、何ひとつ残っていない。是非読み返してみたいものだが。
コロナ自粛が始まって半年が過ぎた頃、私は取りとめない文章を書き始めた。手書きではなく、EXCELに毎日一遍の文章を書くことを自らに課した。誰とも会わない生真面目なコロナ自粛を続けているうち、ある時日本語力の低下に気付いたことがきっかけだった。滑舌は悪くなっているし、うまく文章が組み立てられないし、しっくりくる単語が浮かばない。そこで私は、無理矢理 文章を書くことにした。同時に、細君を巻き込んで音読も始めた。
私には、誰かに知らしめたい主張も知識もない。いわゆる「一家言」というものを持っていない。ただただ「つれづれなるままに 日暮しパソコンに向かひて 心にうつりゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば‥」ってやつを続けるうちに、正真正銘の雑文がどんどん溜まっていった。
書くことがちょっと楽しくなってきた頃、書き溜めたものを細君に見せると「えー! 面白いんじゃない !?」と、思いのほか好評だった。調子に乗った私は、細君と長女に勧められるがまま note を始めた。
始めて半年経った2021年8月、アカウントに『遮莫』さもあらばあれ という言葉を付け足した。それは、その頃音読の教科書にしていた向田邦子さんのエッセイ集「眠る盃」中の「能州の景」の項で引用されていた、上杉謙信が遠征の地 能登の野営において詠んだ漢詩にその表現があった。

赤枠👆 の「遮莫」を、「さもあらばあれ」と読み下します。
👇は 読み下し文と意味。とても味わい深い詩ですね。
霜 満 軍 営 秋 氣 清 霜は軍営に満ちて 秋気清し
數 行 過 雁 月 三 更 数行の過雁 月三更
越 山 併 得 能 州 景 越山併せ得たり 能州の景
遮 莫 家 郷 憶 遠 征 遮莫(さもあらばあれ) 家郷の遠征を思うを
***
霜はわが陣営に満ちて、秋の気は清く澄みわたり、いかにもすがすがしい。空を仰ぐと、幾列かの雁が鳴き渡っており、夜半の月は冴えわたっている。
今夜は、越後、越中の山々に能登も併せて、雄大な景色が眺められる。
故郷の家族は遠征のわが身を案じていようが、それはそれでかまわない
(今夜はこの明月を心ゆくまで眺めようではないか)
*****
「遮莫 / さもあらばあれ」を広辞苑で引いてみると‥
「不本意ではあるが そのとおりにして置こう」とある。
この言葉を目にする数日前、私はnote用に ひとつの記事を書き上げていた。記事は、それまで避けていた会社員時代のことを扱ったもの。「やられたらちょっとやり返す」なるタイトルで、当時の陰湿な人間関係と理不尽な出来事を、面白おかしくデフォルメした(つもりの)一遍だった。投稿前に細君に見せたところ、「公開不可」の判断が下った。「端々に恨みが透けて見えて これまで note に描くおじいちゃん像にそぐわない 」がその理由だった。
読み返してみると、細君の指摘は正しかった。note の記事を書くために、閉ざしていた記憶の扉を開けたら、古いかさぶたは乾いていなかった。
記事ボツの直後に触れた「遮莫 / さもあらばあれ」なる言葉。その響きは、掘り起こしてしまった古いモヤモヤを、少しだけ癒してくれた。
自分自身の反省や後悔はあるが、誰かに同情してもらいたい訳ではないし、誰かを責めたいとも思っていない。
そう、無念だが 飲み込まなきゃならないことは ままあること。
***
私が考える「遮莫 / さもあらばあれ」のニュアンスを列挙すると、
達観 諦観 恬淡 鷹揚 容認 寛容 寛大 自然 など。
私は「遮莫 / さもあらばあれ」の境地を目指すことにした。
そこでいつも目につくように、note のキャッチフレーズに付け加えた。
*****
そして 5年が過ぎた。
今の私はというと‥
達観とか恬淡とか鷹揚とか寛大には、程遠い。
遮莫 / さもあらばあれ / それならそれでしょうがない /とらわれず揺るがず淡々と受け入れる そんな境地を目指した私なのだが‥
1.2024年と2025年の2回 細君の反対を押し切って育毛剤を購入した。
そして残念ながら、効果は確認できなかった。
2.ゴルフは一向に上達しない。プレー後は毎回酷い自己嫌悪に陥る。
3.周囲の人間の言動に 怒りや悲しみや落胆を覚えることが増えている。
4.馬券はWIN5か三連単と、一攫千金指向が際立ってきている。
私の「さもあらばあれ」は まだ遙か。
今回それを認識できたことを、収穫としておく。
< 了 >
P.S. 「老い」に対しては「さもあらばあれ」では臨まない。
無駄な抵抗、悪あがきを続ける。あ、外見の衰えについては別。ホントに諦めた。もう育毛剤を購入することはない。
今後はジムで鍛え、楽器の練習をして、note投稿を続け、たまにYoutubeを発信してゆく。そして今秋、10年ぶりにTOEICを受験する。古希の私が、どこまで英語力を伸ばせるかの検証。こうご期待!
※10年前のスコアが670点、先月やってみた模擬テストが545点。秋の目標スコアは750点にするつもり。もうちょっと高く設定しようかとも…

