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ヨガの呼吸で迷う人へ──腹式・胸式・完全呼吸の使い分けを越えて、選べる自由へ

はじめに|正しい呼吸なんてない

ヨガを学び始めると、必ずといっていいほど出てくるのが呼吸。
呼吸は超重要です。ヨガの根幹といってもいい。

呼吸は、日常の中でもっとも身近で、もっとも奥深い“練習”です。
でも、この日常的でシンプルな行いですら迷いが生じがち。
「腹式呼吸が正しい」「胸式は浅いから良くない」といった正解・不正解を考えてしまいます。
けれど、本当にそうでしょうか?

実際には、呼吸に「正しい/間違い」はありません。
大事なのは──その時その状況で、自分にとって「役立つ呼吸」を選べるかどうかです。



ヨガの教え|その人ごとに、その一瞬ごとに、最適なものは変わる

”その人ごとに、その一瞬ごとに、最適なものは変わる”
これは僕がお師匠さまに教わった言葉です。

ポーズをとるときの心構えではあったけど、ポーズに限定するのはもったいないですよね。
日常生活で考えてみましょう。

例えばお米。
粒だったごはんが正解で、おかゆが不正解。
そんなことはないですよね?

大盛りが正解で、少量は不正解?
これもまたないはずです。

運動部の学生の部活後なら粒だった大盛りが嬉しいでしょう。
逆に、僕のようなアラフィフが体調が悪いときなら少量のおかゆの方がありがたいです。

最適なものというのは、条件・状況によって変わるもの。
当然、呼吸もそうですよ。


体験談|呼吸に救われた生徒さん

僕の生徒さんに、急性すい炎で入院された方がいました。動けない日が続き、病棟は夜も落ち着かない。眠れない時間も長く続きました。

でも、その方はこう言ってくれました。

「そんなとき、ヨガで習った“あの深呼吸”を思い出して、まず気持ちが落ち着いたんです。呼吸だけで心も体も緩むことを知っていたので、安心して過ごせました。」

さらに、こうも話してくれました。

「眠れない夜も、焦らずに呼吸の練習をしていました。すると、気楽に過ごせたんです。」

この生徒さんが、まだあぐらをしても膝が床に着かなかった時のお話です。
けれど、ポーズの完成度に関係なく「呼吸の使い方」がしっかり身についていたからこそ、動けないときにもヨガを支えにできたのです。


教科書編|腹式・胸式・完全呼吸

ここで、3つの呼吸法を整理しておきましょう。

・腹式呼吸
 横隔膜を下げてお腹を膨らませる呼吸。副交感神経が働きやすく、心身がリラックスする。疲れているとき、寝る前、体調が不安定なときに役立つ。

・胸式呼吸
 肋骨を広げて胸郭を膨らませる呼吸。交感神経が働きやすく、血流が促進されて活動的になる。運動の前や集中したいときに向いている。

・完全呼吸
 吸うときに骨盤からのどまでを下から順に満たしていき、吐くときに上から順に空にしていく呼吸。技術的には腹圧をかけたまま腹式呼吸をしようとすることで、横隔膜が水平方向に広がり、肋骨の下側をふくらませるように呼吸すること。胴体と四肢がつながる感覚をつかみやすい。

「どれが正しいか」ではなく、体調や状況に応じて「どれを選ぶか」が大切です。


ワーク|ワニのポーズで呼吸を変えてみる

※呼吸の前提:鼻呼吸。ただし、難しい場合は吐くときのみ口でも可。

  1. 仰向けで片膝を立て、左右どちらかに倒して「ワニのポーズ」に入ります。

  2. まずは 腹式呼吸。お腹を大きく膨らませるように息を吸い、吐く息でお腹を凹ませます。──呼吸ごとに地面に身体が落ち着いていく感覚がつかめます。

  3. 次に 胸式呼吸。腹式呼吸が難しい人でも、胸式呼吸であれば可能です。──身体が硬い場合でも、胸式呼吸であれば息を止めずに続けることができます。

  4. 最後に 完全呼吸。お腹に力を入れたままで腹式呼吸をしようとすることで、肋骨の下側がふくらむ。──四肢と胴体がつながり、身体全体を一筆書きにしたような伸び感が得られる。

呼吸法による場所の意識の違い

同じ「ワニのポーズ」でも、呼吸を変えるだけで得られる感覚がまったく変わります。


📺 動画で一緒に体感してみよう

呼吸は見た目では分かりづらく、文章だけでは伝わりにくいものです。実際の動きと合わせて、動画でも体験してみましょう。

▶ YouTube動画:ヨガの呼吸に正解はない──腹式・胸式・完全呼吸を“選べる”ようになる練習|呼吸の誤解②
https://youtu.be/kswOJ7JW1TA

▶ 再生チャプター
00:00|オープニング
00:24|呼吸法における誤解について
【それぞれの呼吸法について】
01:25|基本の呼吸法
02:01|腹式呼吸
02:14|胸式呼吸
02:45|完全呼吸
【ポーズをとった時の呼吸による違いを実感してみよう”ワニのポーズを通じて”】
05:15|腹式呼吸
06:39|胸式呼吸
08:13|完全呼吸
09:51|まとめ


まとめ|呼吸を選べる自由

呼吸法を学ぶ本当の意味は、「どの呼吸が正しいか」を決めることではありません。
おかゆも炊き立てのご飯も作れるようにしておけば、体調や状況に応じて選べる。

呼吸も同じ。腹式も胸式も、そして完全呼吸も。
「選べる」という自由があるからこそ、安心して生きられるのです。

今できなくてもいいんです。
できるように”準備”をしましょう。
そして、その準備をする過程ですでに多くのものを得ているはずですよ。


あなたへの問い

いまのあなたには、どんな呼吸が必要ですか?
その呼吸を、今日はどんな場面で試してみたいですか?


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