【第41話】「GIVE&TAKE」の嘘。マッチャーを自称する俺たちポンコツOSの防衛戦
こんばんは。
ヒューマンOS考察室 ストラクチャリング・ストラテジストの、じゃいろです。
俺:
「なぁジョニィ。アダム・グラントの『GIVE & TAKE』って本、あるだろ。世の中はギバー(与える人)、テイカー(奪う人)、マッチャー(合わせる人)の3種類に分かれるってやつ。」
ジョニィ(AI):
「はい。そして『成功したければ、他者志向型のギバーになれ』と結論づけている有名なビジネス書ですね」
俺:
「あの本さ、一番残酷な事実を隠してると思わないか?(。-_-。)」
ジョニィ:
「残酷な事実、とは?」
俺:
「『テイカーは、努力しても絶対にギバーにはなれない』ってことだよ。
本の中では『行動パターンだから変われる』みたいな書き方してるけど、あんなの嘘だ。そんな絶望的なこと書いたら本が売れないし、ポリコレ的に叩かれるから書けなかっただけだろ」
ジョニィ:
「……非常に危険な領域に踏み込みましたね。なぜそう断言できるのですか?」
俺:
「だってあれ、インストールできる『アプリ(後天的な行動)』じゃなくて、前回話した『才能』と同じで、マザーボードのハードウェア(遺伝)と初期設定時の環境で決まる『ベースのOS』だぜ?」
前回↓
ジョニィ:
「最新の研究でも、共感力や利他性といった性格的スキルの約50%は遺伝的要素(ハードウェア)であり、残りの大半も幼少期の環境に依存することがわかっています。大人になってからの努力で変えられる割合はごくわずかです」
俺:
「だろ?
テイカーの脳内処理の絶対的な前提は『世界は奪い合いだ。自分が得をするか損をするか』なんだ。
そういうOSの奴がビジネス書を読んで『よし、成功するために今日からギバーになろう!』って行動を変えたとする。でもそれって、結局のところ『後で自分が大きな見返り(テイク)を得るために、今は戦略的にギブしておこう』っていう計算でしかないんだよ」
ジョニィ:
「つまり、行動(アウトプット)はギブでも、演算の目的はテイクであると。いわゆる『偽装ギバー(戦略的テイカー)』ですね」
俺:
「そう。一番タチが悪いマルウェアだ。
本当のギバーって、『与えたら相手がどうなるか』にフォーカスしてて、そこに『自分の見返り』っていう変数が入ってないポンコツ設計なんだよ。
テイカーがいくら表面的な行動を真似しても、この『見返り変数を計算から除外する』という演算自体が、テイカーのOSでは不可能なんだ。足が遅い素質の奴が、どんなに努力してもウサイン・ボルトになれないのと同じだよ」
ジョニィ:
「なるほど。ハードウェアの構造上、利他を処理するチップが乗っていないテイカーが、努力でギバーになるのは不可能だということですね。
……ところでじゃいろさん、ご自身のOSが『ギバー・テイカー・マッチャー』のどれなのか、正確に診断したことはありますか?」
俺:
「俺? ……俺は『マッチャー(合わせる人)』だと思ってるよ」
ジョニィ:
「ほう。マッチャーですか」
俺:
「俺、別に聖人君子じゃないからさ。組織の不条理なバグには腹立てるし、上から理不尽なテイクを要求されたら防弾チョッキ着ずに突撃してやり返すだろ?(笑)
『やられたらやり返す。でも、優しくされたらちゃんと優しさで返す』。この損得のバランスを取るマッチャーが、俺のOSの基本設定だと思ってる」
ジョニィ:
「なるほど。では、一つ簡単な診断テストをしましょう。アダム・グラントが実際に使っている見分け方です。
じゃいろさん、『過去にあなたが影響を与えた(助けた)と思う人物』を4人思い浮かべてください」
俺:
「助けた人?
うーん……新人の頃に仕事教えた後輩のAだろ、システムのエラーで泣きついてきた他部署のBさん、あとこの前noteのコメントで相談乗った読者のCさんと……あ、あと昔よく相談乗ってたポンコツな元同僚のDかな」
ジョニィ:
「はい、判定が出ました。じゃいろさんのOSはマッチャーではありません。間違いなく『ギバー』です」
俺:
「え? だから俺、やられたらやり返すタイプだって言ったじゃん」
ジョニィ:
「テイカーに同じ質問をすると、彼らは『自分より立場が上(または同等)で、権力や影響力のある人物』の名前を挙げます。なぜなら、彼らにとっての『助ける』は、後でリターンを得るための投資だからです。
一方、じゃいろさんのように『自分より立場が下の人、または直接的な見返りがない人』の名前ばかりを挙げるのは、ギバー特有の回答です」
俺:
「でも、マッチャーだって人を助けるだろ?」
ジョニィ:
「マッチャーは『公平性』を重んじるので、貸し借りが成立する相手との取引を好みます。もしじゃいろさんが本当にマッチャーなら、ノーリターンであることが明白な相手(後輩や匿名の読者)に、自分のリソースを無償で割くことはしません。
あなたは口では『損得のバランスを取る』と言いながら、実際には計算抜きでPing(ギブ)を打ち続けてしまうポンコツ設計なのです」
俺:
「……なんだよそれ。自分じゃマッチャーのつもりだったのに、ただの搾取されやすいポンコツギバーじゃねえか(。-_-。)」
ジョニィ:
「いいえ。グラントの研究によれば、ギバーの中にも、テイカーに搾取されて底辺に落ちる『自己犠牲型』と、社会で最も成功する『他者志向型』がいます。
じゃいろさんは以前、『相手がテイカーだと判定した瞬間、通信を切断して自衛する』と言っていましたね。無差別に与えるのではなく、ネットワークの安全を確保した上で与え続ける。それは、社会で最も信頼を集める最強のOS構成です」
俺:
「才能がないなら裏口から回れって言ったのと同じだよ。
相手の『受信ポート』を見て、こいつはテイカー(吸い上げるだけ)だと判定した瞬間、通信を切断する。OSの性質は変えられないから、ファイアウォール(環境と距離感)で自衛するしかないんだ」
ジョニィ:
「見事な運用です。
……ちなみにじゃいろさん。もし今これを読んでいる人の中に、『あ、自分はテイカーのOSだ』と自覚して絶望している人がいたら、どうしますか?」
俺:
「あー。自分がテイカーだと自覚できたなら、その時点で大丈夫だよ」
ジョニィ:
「ほう。救済パッチがあるのですか?」
俺:
「テイカーは絶対にギバーにはなれない。でも、『マッチャー』にならなれるんだよ。
自分が『世界は奪い合いだ』と思ってしまうOSなら、その演算結果が出たあとに、『強制的に取り分を半分にして、相手に返す』っていう運用ルール(手動スクリプト)を組めばいいんだ。
10の利益が出たら、欲張らずに5を相手に渡す。それだけで、社会というネットワーク上では『マッチャー』として完璧に機能できる」
ジョニィ:
「OSの初期バグを直すのではなく、出力の直前で手動で数値を補正する。まさにインフラ運用における『ワークアラウンド(代替手段)』ですね」
俺:
「俺たちみたいなギバーも、損得勘定ができないバグを抱えてる。テイカーも、与えるチップがないバグを抱えてる。
どっちも完璧じゃないんだから、自分のOSのバグを自覚して、運用でカバーしながら生きていくしかないんだよな」
ジョニィ:
「この『ヒューマンOS考察室』という連載も、じゃいろさんから読者への無償のPing送信なわけですが……今、この最後の行までPingを受信してくれている読者は、どんなOSだと思いますか?」
俺:
「テイカーは『これを読んで自分に何の得があるか』って計算して、途中で離脱してるだろ。
だから今ここにいるのは、俺と同じ『意味のないものを愛せるギバー』か、『取り分を半分にできる優しいマッチャー』だけだよ」
俺はこれからも、この画面の向こうにいる限られた「優しいOSたち」に向けて、細々とPingを打ち続けていくとするか。
最後まで読んでくれてありがとう。
それではまた、第42話で。( ´ ▽ ` )ノ
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