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【緊急記事】介入で164円から157円台まで下落――アメリカは円高にしたいのか、それとも円安にしたいのか


アメリカは円高にしたいのではない――中間選挙までドル円を動かしたくないのか


ドル円は164円近辺まで円安が進んだ後、一気に157円台まで下落しました。
日本政府による円買い介入に加え、アメリカ財務省も円を買ったと報じられたためです。報道によると、ニューヨーク連銀がアメリカ財務省の代理として、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを通じてユーロを売り、円を買いました。金額は公表されておらず、アメリカ財務省も現時点では正式に説明していません。

アメリカまで円を買ったのであれば、単なる日本単独の為替介入よりも意味は重くなります。
ただし、私はアメリカが本格的な円高を目指しているとは考えていません。
むしろ、2026年11月の中間選挙までは、ドル円をどちらにも大きく動かしたくないのではないかと見ています。


円安で困る人と、円高で困る人がいる


円安になれば、日本の商品はアメリカで安く売りやすくなります。
日本企業と競争するアメリカの製造業や労働者にとっては不利です。また、アメリカから日本へ商品を輸出する企業も、価格競争が難しくなります。
一方で、日本から商品を輸入するアメリカ企業や消費者にとって、円安は必ずしも悪いことではありません。日本製品を安く買えるからです。
反対に円高が急激に進めば、アメリカの製造業や輸出企業には有利になりますが、日本製品の輸入価格が上がり、消費者や小売企業には負担となります。
つまり、円安で困る有権者と、円高で困る有権者の両方がいます。
中間選挙では下院の全435議席などが改選されます。政権としては、為替を一方向へ大きく動かし、一方の有権者から強い反発を受けるよりも、急激な変動を抑えたいと考えるのが自然です。

目的は円を救うことではなく、選挙前の経済を荒らさないことなのかもしれません。


金利を上げても下げても批判される可能性がある


アメリカの金利政策も難しい状況です。
FRBが利上げすれば、インフレを抑える効果は期待できます。しかし、ドル高が進みやすくなり、再び円安が加速する可能性があります。
そうなれば、「アメリカの利上げによって日本円がさらに弱くなり、アメリカの製造業が不利になった」という批判が出るかもしれません。

反対に利下げをすれば、ドル高と円安は抑えやすくなります。しかし、物価上昇が再び強まれば、今度はアメリカ国内でインフレへの批判を受けます。

7月のFOMCでは、政策金利を3.50~3.75%に据え置きました。しかし、12人のうち3人は0.25%の利上げを求めました。次回のFOMCは9月15日から16日に開かれ、市場では利上げの可能性も強く意識されています。


利上げも利下げも政治的な副作用が大きい


そこで、実際に金利を動かす前に利上げの可能性をにおわせ、ドルが弱くなりすぎることを防ぐ。一方、円安が進みすぎた場合には、為替介入で押し戻す。
そのように両側から壁を作り、相場を一定の範囲に収めようとしている可能性があります。


日本に米国債を売らせたくないのではないか


もう一つ考えられるのが、米国債市場への影響です。
日本が大量の円買い介入を行う場合、保有するドル資産を使う必要があります。状況によっては米国債の売却が意識され、米国債価格の下落や長期金利の上昇につながる可能性があります。

現在のアメリカでは、長期国債の利回り上昇がすでに問題となっています。7月末には30年国債利回りが約19年ぶりの高水準へ上昇し、FRBのインフレ対応への信用も問われています。

日本側は、保有する米国債を直接売却せずにドル資金を調達できるFIMAレポ制度なども利用できます。今回、日本の財務省も市場の流動性を確保する手段として、この制度に言及しました。

それでもアメリカにとって、日本だけに円防衛の負担を背負わせ、米国債市場へ余計な不安を広げることは避けたいはずです。

アメリカ自身が円買いに加わることで、日本の介入負担を軽くし、米国債の売却圧力も抑えようとした可能性があります。

これは公式に発表された目的ではなく、あくまで私の推測です。しかし、現在の米国債市場の不安定さを考えれば、無視できない視点だと思います。


今のドル円は、落ち着いた中立ではない


現在の相場は、円高にも円安にも自信を持って進みにくくなっています。
円安を進めれば、再び日米の介入が入るかもしれません。

しかし円高を追いかければ、9月のFOMCで利上げが示唆され、ドルが再び上昇する可能性があります。
これは穏やかなニュートラルではありません。
市場参加者が政府、中央銀行、追加介入を警戒し、どちらへ動いても裏切られるのではないかと疑っている、疑心暗鬼のニュートラルです。

今後は、日米の金利差だけを見てドル円を予想することが難しくなります。
市場が円安へ進もうとする力と、日米政府が過度な変動を止めようとする力が正面からぶつかるからです。

アメリカが求めているのは、大幅な円高ではないのかもしれません。
円安で困る人と円高で困る人の両方から票を集めるために、中間選挙までは為替を大きく動かさない。そして、日本が円防衛のために米国債市場を揺らすことも防ぐ。
今回の円買いは、円を助けるためというより、アメリカ国内の政治と金融市場を守るための調整だったのではないでしょうか。

もちろん、これは現時点の報道と政策環境から考えた仮説です。
しかし、米国まで円買いに動いたのであれば、ドル円相場はこれまでよりも政治に左右される段階へ入ったと考える必要があります。

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