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【地方創生 第8弾】あえて「正解」は教えない。優秀な泡盛班が陥る"全部のせの罠"と、指導者の意図的な空白

◆ 美しき「全部のせ」の罠

泡盛班が、南城市の現場へ飛び込んできました。

伝統稲作の仲村渠地区、特区制度を活用した泡盛造り、アウトドア教育のキャンプ場。3つの現場を回り、彼らが持ち帰ってきた熱量は、圧倒的でした。

そして早くも、こんな構想を描き出していました。

「南城市産の米で造った泡盛を、南城市のキャンプ場で、歴史ストーリーと共に楽しむ」

分野横断的な、見事なシナジー。点と点を結びつける構想力は、120点満点です。

しかし私は、そこに一つの罠を見ていました。

優秀な大人だからこそ陥る、「全部のせの罠」です。

良いアイデアを、捨てられない。すべてを盛り込みたくなる。その結果、「誰に、何を届けたいのか」という大義とターゲットが、じわじわとぼやけていくのです。


◆ 読者の皆様にだけ、明かします

ここで、読者の皆様にだけお伝えします。

40年の現場経験から、私が見抜いている、このチームの「本命」です。

主軸に据えるべきは、ビジネスとして自走しやすい「泡盛」でも「キャンプ」でもありません。

一見、泥臭く、手間の極みである「稲作(お米と歴史)」です。

なぜか。

泡盛を主軸にすれば、単なる「酒の販路拡大」という、一企業のビジネスに矮小化されます。地域や子どもたちを巻き込む大義が、薄れてしまうのです。

しかし「南城市の稲作発祥の歴史を守り、次世代に繋ぐ」ことを主軸に据えれば、話は変わります。

耕作放棄地の開墾、ドロンコ運動会。最も多くの人を巻き込める「関わりしろ」が、そこに生まれます。

そして泡盛もキャンプも、その大義を達成するための、極めて強力な「手段」として光り輝く。完璧な6次産業化が、そこに成立するのです。


◆ 同じ週に届いた、正反対のフィードバック

正直に言います。

同じ週、私はもう一つの班に、まったく逆の対応をしていました。

その班は、8月12日まで3週間という段階になって、自分たちが向き合ってきた資源が、実は3年前にすでに取り上げられていたことを知り、動揺していました。焦りから新たに2つの資源候補を見つけ、それらを探索するため、事務局にSOSを求めてきたのです。

すでに一定の可能性を持つ優れた資源でありながら、あえてもう一度、ゼロからの泥沼に入ろうとしていました。

その班には、私は明確に伝えました。

「的を絞りなさい」と。

一方、泡盛班には、正解を教えていません。

同じ「地域資源を選ぶ」という局面で、なぜ対応が正反対になったのか。

理由は、シンプルです。残された時間と、班の準備状態が、まったく違うからです。

泡盛班は、すでにメンバーを3つに分け、稲作・泡盛・キャンプ場という3つの現場から、同時並行で一次情報を掴んでいます。土台は、揃っています。あとは、彼ら自身が本音でぶつかり、どれを主軸に据えるかを選び取るだけです。ここで私が答えを教えれば、その大切な過程を奪うことになります。

もう一方の班には、ゼロから探索し直す時間的余裕がありません。土台そのものが崩れかけている状態で「自分たちで考えろ」と突き放すのは、育成ではなく、ネグレクト(無視)です。

教えるか、教えないか。それは指導者の気分ではありません。

時間と準備状態を見極めた上での、冷静な判断です。


◆ 究極の「教えない教育」

泡盛班に話を戻します。

私はこの「稲作を主軸にしろ」という正解を、彼らには絶対に教えません。(皆さんもメンバーに教えないで下さいね)

私が放ったフィードバックは、ただ一つです。

「手段は面白い。しかし、それは誰の幸せのためですか」

「全部を均等に混ぜ合わせた、中途半端なプランにするな。どれを主役に据えるか、本音でぶつかってください」

本質的な問いだけを、投げかけました。

なぜ教えないのか。

答えを与えてしまえば、彼らは「指導者の正解を、綺麗にまとめる優秀な作業者」になってしまうからです。

「大人の部活」としての熱狂。自分たちで壁を越え、一つの宝に命を吹き込んでいく、当事者としての覚悟。それを、私が奪うわけにはいきません。


◆ 混乱期という、泥沼への招待

8月12日の地域資源決定という、前半戦のやま場まで、あとわずか。

彼らは今、私の突きつけた問いによって、綺麗にまとまりかけていた構想が、いったん白紙に戻っていくはずです。

これから彼らが向き合うのは、健全な「混乱期」という勝負所です。

リーダーとして、マネジャーとして、部下に「最短ルートの正解」を与えたい衝動を、グッと堪える。あえて、意図的な空白を作り出す。

そこで彼らが本音でぶつかり合い、エクセルの数字ではなく、「魂の火」で一つの資源を選び取る瞬間を私は指導者として、じっと、楽しみに待っています。


正解は、もう私の中にあります。

けれど、それを彼らに手渡すことは、しません。

泡盛班が、自分たちの足でその答えにたどり着く日を、私も静かに待ちたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございます。

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