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【ビジネスCase0】AI格闘記60・「AI役員」時代の経営人材育成論。修羅場なき者に、最強の相棒は手懐けられない



現場に長く関わってきて、管理者人材は代表的に、2つに分類できるのではないかと思っている。もちろん専門職系は別にして。

「人志向(ピーポー)」と「タスク志向」人たちだ。

人志向は人間関係の構築に長け、現場のオペレーションを支える要だ。FCオーナーのようにビジネスモデルが提供される環境では、この強みが経営的成功に直結することもある。一方、タスク志向は生産性を追い、数字で語る。どちらも組織に不可欠な存在だ。

しかし今、タスク志向の人材の頭上に、ある「脅威」が降臨しつつある。


「AI役員」という最強のタスク処理マシン

分析、資料作成、市場調査、議事録。かつてタスク志向の優秀な人材が担っていた領域に、AIが音もなく入り込んでいる。

単なるタスク処理層は、静かに淘汰される。

インプットを止めた瞬間に陳腐化するタスク志向の人材が、さらに「AI役員」という最強の競合を相手にしなければならない時代が、すでに始まっている。


経営人材への「非連続なルート」

ところでタスクを極め、人を極めれば、そのまま真の経営人材になれるか。

「そうとはならない。あるいはうまくいかない場面を多く見て来た。経営人材育成には「別ルート」が必要なのだろうと、ずっと考えている。

大企業なら子会社を任せる手もある。しかし中小企業において最も効果的な方法だが、いささか乱暴かもしれないが、「事業計画から自ら作らせるスモールビジネス(事業)への挑戦」はどうだろうか。

条件はシンプルだ。以前は1000万と言っていたが、インフレを加味した「1500〜2000万円」の資金を託す。失敗はOK。しかし借金は不可。 この条件だけを課し、あとは任せる。

なぜか。生身のプレッシャー(修羅場)だけが、経営人材としての視座を強制的に引き上げるからだ。2000万円が溶けていく恐怖。取引先との交渉が決裂する夜。仲間が離れていく痛み。これは通常業務では絶対に再現できない。


誰に修羅場を託すのか

ここが最も重要な問いだ。

この投資を託す絶対条件は、能力ではない。

「その事業に本気で惚れているか」「失敗を環境や他者のせいにしない人間か」この2点だけだ。足りないスキルは、経営陣がサポートすればいい。

ただし現代においては、もう一つの条件がある。

「AIをフル活用してビジネスモデルとオペレーションを構築できるスキル」を、事前に学ばせておくこと。 AIは使えて当たり前の時代だ。この前提なしに修羅場に放り込むのは、刀を持たずに戦場へ送り出すようなものだ。


AIに「痛み」は分からない

AIは完璧な事業計画を書ける。財務モデルも、競合分析も、マーケティング戦略も、一瞬で整える。

しかし、2000万円が溶けるリスクに震えることはない。 頭を下げる屈辱も、事業への愛着も、お客様への感謝も持てない。

泥臭い修羅場をくぐり抜け、失敗と痛みの中で事業を愛した人間だけが、「AI役員」を競合ではなく最強のパートナーとして従え、使いこなすことができる。

人材育成の本質は、AIが進化しても変わらない。

修羅場なき者に、最強の相棒は手懐けられない。


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