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【ふーちゃんたーちゃん】

私の従妹に、ふーちゃんとたーちゃんがいる。
二人は同い歳。
ふーちゃんはぶうわの長女で、たーちゃんはこうおじちゃんの長男だ。
こうおじちゃんとぶうわは兄妹で、末の妹が私の母たつ子だ。

ふーちゃんとたーちゃんが生まれた頃は、こうおじちゃんの住んでいる赤松台の家のとなりがちょうど借家(しゃくや)に出て、ぶうわとやすしのおっちゃんはそこで暮らしていた。
家の台所の窓がちょうどピッタリ隣同士に位置しており、夕飯時には、窓からぶうわが、「さとちゃんいてる?お醤油ある?」とこうおじちゃんの妻、さとおばちゃんに声をかけ「あるで~、はいよ」と調味料等のやりとりをしていたくらいで、ふーちゃんとたーちゃんは二家族の中で一緒に大きくなったようなものだ。

食欲もそっくりで、二人は哺乳瓶のミルクをジュジュゥゥゥゥジュッジュゥゥゥゥーーーーーーーーーーーと、けたたましい音をたてて飲み干し、ミルクが無くなると、大きな泣き声を上げ、『早くミルクをよこせ』と言わんばかりに哺乳瓶を放り投げた。
青木家の私も弟のえいすけも食が細く、ミルクを飲む量もごくわずかだったので、牛頭町のおばあちゃんや私の母は、あまりの違いに目を丸くした。
おばあちゃんなどは「きゃ~、ちょっと、早よミルク、ミルク作って持ってきて、もうミルク無くなる!放り投げて怒るわ、怖い~」と二人にミルクを飲ませる時は戦々恐々としていた。
「はな子ちゃんら全然飲めへんかったのに、ふーちゃんとたーちゃんときたら、ミルク無くなったらすごい勢いで泣いて怒って、哺乳瓶放り投げるやろ、私、も~怖て怖て」と、おばあちゃんは胸に手をあて肩をすぼめた。

ハイハイが出来るようになると、こうおじちゃんは面白がって、二人を互いに少し離して座らせると、その間に二人が大好きなバナナを1本置く。
置かれたバナナをほぼ同時に目視した二人は、バナナを目掛けハイハイをスタートし、僅差でふーちゃんが勝利した。
バナナが取れなかったたーちゃんがグスグスと泣きべそになると、こうおじちゃんはまた、二人から少し離れたところに、バナナをもう1本そっと置く。と、両者一斉にそのバナナを目視し再びハイハイをスタート。
第二レースの開幕だ。
二人ほぼ同時にバナナに手を伸ばしたが、ふーちゃんが力づくでバナナを奪い取った。
泣き始めたたーちゃんに、こうおじちゃんはまた、二人から少し離れたところにバナナを一本置く。と、ふーちゃんは両の手にバナナを握ったままのハイハイのため、今度はたーちゃんが一足早く、そのバナナをつかんだ。がその瞬間、ふーちゃんがバナナを持っている自分の手を一瞥し、すぐさま右手にもっているバナナを口に銜え、空いたその手でたーちゃんが掴んだバナナをとり上げた!
牛頭町のおばあちゃんは、「こうちゃん、も~そんなことして」と自分の息子を嗜めていたが、こうおじちゃんは意に介さず、いつもの引き笑いをして楽しそうに笑っていた。

たーちゃんは言葉を話し出すのも遅く、さとおばちゃんは心配したらしいが、おっとりした優しい性格は今もかわらない。
ふーちゃんは勝気な性格はそのままだが、こちらが驚く程周りに気を遣っている繊細な一面を持ち合わせ、色白の可愛い女の子に成長した。

【おばあちゃんのベランダ】|gentle_daphne389 (note.com)


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