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便利屋修行1年生 ③期待の大型新人 連載恋愛小説

「綾ちゃんって、人との距離近いよな」
 皆でまったりとコーヒーを飲んでいたら、秋葉がそう言った。
「ああ、それ思った。すごいしゃべりやすいし」
 今日はじめて会った蜂谷はちやまどかは、気取りのない感じの女性だ。
 どうして今まで会わなかったのか不思議に思っていたら、彼女は自分好みの仕事しかしないとすまし顔。
 所長によると、女の人は入ってもすぐやめるか、まどかのように合理的なタイプかのいずれかに分かれるという。
「重宝してんじゃない? 所長」
「おう。蜂谷より断然な」
「へいへい。あ、でも、女子に誤解されるかも」

 生まれてこのかた、綾には女友達がいたためしがない。
 中学のときはまるっと3年間不登校だったし、余計に女子とのつきあいかたがわからなかった。
「男きょうだいとか、いる?」
 まどかの鋭い指摘に、綾はコクコクうなずく。
「それだ。物理的距離が近いのは」
 秋葉がなにかを思いついたように、身を乗り出す。
「学生時代とか、バッタバタと男子のしかばね作ってそうだよな」
 剣道をしていたのでそれなりに、と答えると、まどかが手を叩いて笑った。
「いいキャラしてるわあ。あざといと天然の見分けがつかん連中、多いからねー」

 あたらしい環境へのなじみ具合が尋常ではないと、ネタにされる。
「え……もしかして新人がコーヒー飲むのは、タブーですか」
「そんな職場ねー」
 秋葉にいたっては、綾の一言一句に腹を抱えて笑う始末。
「さすが、所長が半年かけて口説き落とした逸材」
 それには語弊がある。
 いきなりスカウトしても警戒されると考え、所長は綾のバイト先であるバーガーショップにせっせと通い、顔を覚えてもらおうとしたらしい。ところが、シフトが流動的でなかなか会えなかったと。

 しびれを切らして店長を買収し、スケジュールを把握した。というのは、確実に話を盛っている。遊び心があって楽しい人だ。
「ウチに来ないかって言われて、どう思った?」
 まどかも興味津々で目をきらきらさせている。
「えーと、ナンパかと……」
「まあ、間違いではない」
 所長までノッてくるから、爆笑をさらってしまった。

(つづく)


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