若さの基準
英語で「何歳ですか」と尋ねるときは、"How old are you?" と聞く。
誰もが英語の授業で習った表現だろう。
今日、それとは少し違う言い方を耳にした。
"How young is she?"
ほう、と思った。同じ年齢を尋ねる言葉でも、「どれくらい歳を重ねているか」ではなく、「どれくらい若いのか」という逆の角度から見ている。
わたしたちはグループで話をしていた。ある80代の女性が友達のことを話していたときに、別の人がその一言を投げかけた。80代の友達なら、おそらく同世代なのだろうと思いながら聞いていた。
すると彼女は笑顔でこう答えた。
「わたしより5歳下だから、young lady なのよ。」
その場のみんなが、ふっと笑った。
80代から見れば、70代は「若い人」なのだろう。40代の私から見て30代が若く感じられるのと同じことだ。
数字だけを見れば、70代も80代も「高齢者」とひとくくりにされる。でも、その世界にもちゃんと年上と年下がいて、「まだ若いね」という感覚がある。
考えてみれば当たり前のことなのに、誰かが実際にそう口にするのを聞くと、なんだか新鮮だった。
30代の頃は40代が大人に見えた。40代になった今は、30代が若く見える。
立つ場所が変われば、年齢の見え方も変わる。
年齢は相対的なものだと頭ではわかっている。それでも、「若い」「歳を取った」という感覚は、いつも今の自分を基準にしてしまう。
だから、「もう歳だから」と思う日があっても、10年後の自分から見れば、今のわたしはきっと十分に若い。
"How young is she?"
この一言には、年齢を重く扱わない軽やかさがあった。
わたしもいつか、「あの人はわたしより5歳下だから、young lady よ」と笑って言えるような歳の重ね方をしてみたい。
(おわり)
