アマゾンの箱から出てきたサプライズ
先日、アマゾンから細長いパッケージが届いた。
宛先は毎度のごとく夫の名前だ。また何か買ったな。
わが家では、アマゾンでモノを買うことが多い。一部の生活必需品と子ども関連の物資はわたしの担当で、それ以外の調達は夫の役目だ。
わたしとは違って、夫は思いついたら迷わず購入する。アメリカでは、買って後悔しても「返品する」という選択肢があるので、迷うくらいならとりあえず買ってみようとなりがちだ。いいか悪いかはともかく、消費者の購買意欲を刺激していることは間違いない。
だから、ときどき「こんなものまでアマゾンで!」と思うようなものが届く。
この「細長いパッケージ」もまさにそれだった。
◇
家の中に無造作に転がっていたこの箱を見て、子どもたちが「この中身はなんだ」と騒ぎ始めた。
知らないなあ。パパに聞いて。
子どもたちは箱を抱えて夫の部屋へと走った。夫はニヤリとして、「そっと開けるんだよ」と指示を出す。
なんだろう。壊れやすいものだろうか……?
子どもたちは、夫の注意をほとんど守らずに急いで箱を開けた。
中から出てきたのは、なんとバイオリンだった。
え。バイオリンって、アマゾンで買うようなものなんだっけ……?
子どもたちの歓声を聞きながら、そんな思いが頭をよぎる。
なんというか、もっとこう、いろいろリサーチして、楽器店へ行って、この道何十年という雰囲気の店主と相談したりしながら慎重に選ぶものではないのか。
そんなわたしの疑問は簡単に吹き飛ばされてしまうほど、子どもたちのテンションは爆上がりしている。突然目の前にバイオリンが現れたのだから無理もない。
そもそも、なぜバイオリンなのか。
きっかけは、息子が学校の音楽の授業でバイオリンを習ったことだった。学校から楽器をレンタルしたのだが、その条件として、家では本人以外が触ってはいけない決まりになっていたのだ。
娘もわたしも、バイオリンを弾いてみたくて仕方がなかった。
そんな流れがあっての、このバイオリンである。
家族みんなが遠慮なく触って弾けるように――という夫の発想だったらしい。
ナイス、夫。
リビングでは、バイオリンの取り合いが始まりそうなほど盛り上がっている。わたしは、足元に転がったままの箱を見下ろした。
まさかアマゾンの箱から、バイオリンが出てくるとは思わなかった。
バイオリンを買うって、こんなに気軽なことだったんだ。
(おわり)
