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車いす利用の方の不安に対して…鉄道員目線でお答えできること

皆さん、こんにちは。
鉄道員Kです。

年の瀬ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は約1ヶ月ぶり(!)の週休を取り、久々にお家で過ごすクリスマスを堪能しておりました。
お休みの方も、お仕事の方も、皆様お疲れ様です(^^♪

さて、少し前のことにはなるのですが、noteの記事一覧で様々な方の記事を拝見した際に「haretaka999」様のこちらの記事を見つけました。

haretaka999様は車いすユーザーの方で、電車を利用した際に体調を崩されたとのこと。
記事を読んで色々と感じることがあったので、ご本人様にご承諾をいただきこちらの記事に対しての「お答え」をしていきたいと思います。

(haretaka999様、ご承諾いただきありがとうございます。そしてご紹介が遅くなってしまい申し訳ありませんでした!!)


・はじめに

詳細は、上記リンクよりharetaka999様の記事を実際にご覧いただければと思いますが、今回の記事でharetaka999様が問題提起していただいている点は次の通りです。

🔹 1. 車椅子スペースに「緊急時の案内表示」を

→ 非常ボタンの位置と用途、「体調不良でも遠慮なく押してください」といった一文があるだけでも救われます。

🔹 2. スマホや車内で駅員に連絡できる仕組みを拡充してほしい

→ 声を出しづらい・動けない時でも、アプリや連絡手段でサポートが受けられるようにしてほしいです。

🔹 3. 降車時、駅員がホーム付近に目を配ってくれるとありがたい

→ すぐには声が出せなくても、様子から気づいて声をかけてもらえると、安心できます。

🔹 4. 駅構内で「駅員のいる場所」がすぐ分かる表示を

→ 緊急時にどこへ向かえばいいか分かるだけでも、行動のハードルが下がります。

haretaka999様の記事文中より

では早速、頂いた提案を一つ一つ検証していきたいと思います。

・車椅子スペースに「緊急時の案内表示」を

こちらについては、各社とも非常通報ボタンを各車両に設置しています。
場所については社局、車両によってもまちまちですがおおむね1車両に2ヶ所以上設置されていることが多いです。

相鉄線内にて撮影。(筆者撮影)

非常ボタンを使用する用途についての記載はしていませんが、こちらは「車内で緊急を要する事態が発生した際に押していただくもの」ですので、今回のケースのような「体調不良」の際にも遠慮なくお使いいただければと思います。
(ただ、頂いた提案のように「体調不良でも遠慮なく押してください」といった一文を記載することで安心感を与えられるかなとは私も思いましたので、これは今後私の勤務する路線でも提案してみたいと思います!)

設置場所については上記画像のように「SOS」と大きく記載していることが多いので、ご乗車の際にご確認いただければと思います。

ちなみに押すと、基本的には列車に乗務している車掌(ワンマン運転の場合は運転士もしくは運転司令員)と通話をすることが出来ますので、状況をお伝えいただければ次の停車駅で係員や救急車など必要な手配を行う流れになっています。

実際、乗務しているとまあまあの頻度で押されることがあるので私たちも対応には慣れておりますので、ご安心ください。


・スマホや車内で駅員に連絡できる仕組みを拡充してほしい

これに関しては結論から言うと、「難しい」という回答をせざるを得ないです。
省力化の観点から、社局によっては各駅に係員が配置されていないこともざらになっています。(大手私鉄、JRも例外ではありません。)

また、数少ない駅係員も窓口業務やその他さまざまな業務を行っており、直接お客様と連絡できるように控えている「余裕」がありません。
私が勤務している会社も含めて、駅係員が走行中の電車のお客様と連絡する術はないのが現状です。

一方で、ヒントになる事象が先日ありましたのでご紹介いたします。

この時は、本来運行状況やお忘れ物の問い合わせに使われるチャットボットを活用した逮捕劇となった訳ですが、この枠組みを応用して「車内での体調不良」の際にもチャットボットを活用できるようにするということは、今後鉄道各社が考えてみるべきかもしれません。

現在鉄道業界は、過剰ともいえる省力化を進めています。一方でご利用いただくお客様が「安心して」乗れる環境を整備することも同時並行で進めるべきだと私は思います。


・降車時、駅員がホーム付近に目を配ってくれるとありがたい

先程からお話している通り、鉄道業界は空前の人手不足かつ「過剰なまでの」省力化を推し進めています。

それ故、駅係員がそもそもいない駅もどんどん増えてきています。
(今は駅係員がいるような駅でも、数年後にはいない…なんてこともあり得ます)

まして、駅係員がホームに立っているような駅は主要な駅くらいしかないのが現状です。
会社の肩を持つわけではありませんが、これに関してはご容赦いただければと思います…。
会社によっては駅ホームに、駅係員のいる事務所と繋がるインターホンを設置している場合もありますので、そちらもご利用いただければと思います。

インターホンでお申し出頂ければ駅係員がお手伝いや必要な手助けをさせていただけるようになっております。

ちなみによくホームや停車中の車内で人が倒れた!!となって、下のボタンを押す方もいらっしゃいます。

フリー素材より引用

これ、もちろん緊急時に押していただくのは一向に構わないのですが、列車内の非常ボタンとは異なり、押すと一時的に全ての列車のダイヤが麻痺します。

なぜなら、このボタンは本来「人が線路に落ちた際」に周囲の電車を止めるためのボタンだからです。押すと「その駅周辺を走るすべての列車」を止める信号を発信するため、影響が大きくなります。

朝のラッシュ時に急病人などでこのボタンを押されると、周囲の数多くの電車が一斉に停まるため、時には午前中いっぱい影響が残る…なんてこともよくあります。

皆さん、決して「いたずらに」このボタンは押さないでください!
故意に押すと諸々の罪に問われますので。

・駅構内で「駅員のいる場所」がすぐ分かる表示を

これに関しては、基本的に駅構内の「改札口」を目指していただければ、大抵改札口に併設して係員のいる事務所があることが多いです。

一方で係員のいない改札口や、そもそも係員のいない駅も多いため、そうした場合には駅構内に設置されているインターホンなどをご利用いただければと思います。その駅にいる係員、もしくは近隣駅の係員が駆けつけるようになっております。


・最後に…公共交通の立場から発信したいこと

以上、haretaka999様の投稿にお答えする形でお話してまいりました。

haretaka999様、この度はご協力いただきありがとうございました。お答えになっているかは分かりませんが、一鉄道員から見た回答になります。
ドライな回答になってしまっているかもしれませんが、これが鉄道会社側の「現状」であるということをご理解いただければと思います。

鉄道も含めた交通業界は「公共性」を求められる一方で、民間企業であるが故「利益」を出す必要があります。

鉄道業は「儲かる」商売ではありません。
日々の運賃収入がある一方で、日々の設備保全・修繕費用や人件費等多くのお金が出て行っています。これらは本来「削る」ことが出来ない費用であり、その中でも鉄道会社は何とか利益をたたき出すという構図でこれまでは来ていました。

しかし、コロナ禍以降その構図が崩れたことで、鉄道会社も生き残るために様々な方法をとっています。
その中で最も手っ取り早いのが「人件費も含めた諸経費のカット」です。
運賃の値上げが容易ではない(カスみたいな国交省のせい)以上、コストカットを進めるよりほかないのが現状です。
それが故に生活が成り立たなくなって、あるいは鉄道業界に未来を感じなくなって辞めていく人も多数出てきています。
(離職問題については、こちらの記事もご覧ください。)

公共交通の担い手がいなくなれば、公共交通そのものが維持できなくなります。当然、事業者としての努力は必要ではありますが、もはやそれだけでは維持できないのが現状です。
(これは地方交通だけでなく、都会の交通網も同様です。)

手助けを必要とされるお客様に対してのアプローチについても、事業者側がカバーできない事例が出てきているのもまた事実です。
そもそもの担い手が流出している以上、省力化と称してさらなる人減らしをしているのが現状ですので。

今や、公共交通はご乗車いただくお客様の「ご協力」が今まで以上に必要不可欠となっています。

普段、公共交通を使うすべてのお客様に対してのお願いです。
もし、周りで困っているかたがいらっしゃったら、見て見ぬふりをせず、せめて我々係員に知らせていただければと思います。
それだけでも我々は大変助かります。

最後はなんだかお願い文のような形になってしまいましたが、こちらで本日は締めくくりたいと思います。



☆私のページでは、鉄道業界を巡る時事問題や、私の体験談といった鉄道業界の裏事情、さらには鉄道業界を目指す方向けのお話などを順次掲載したいと思っています。
 もし、「こんな話題を聞いてみたい!」というテーマがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!よろしくお願いいたします。


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