【学級経営の断捨離】特活オタクだった私が「学級目標」を辞めて、毎月の“重点ワード”に変えたらクラスが激変した話。「ワイワイ楽しい」だけで満足してない?苦手なことを乗り越えた先の『極上の楽しさ』をデザインする方法
1. 特活オタクの私が、毎年恒例の「あの行事」を完全断捨離した理由
「特別活動(特活)」――。先生方なら誰もが耳にする、学級目標や係活動、話し合い活動、クラブ活動や委員会活動、学校行事の4つの活動で構成されています。
実は私、かつて校内研究で特活をゴリゴリに推進している学校に勤務していた経験があります。先進校の視察に行ってはノウハウを貪欲に吸収し、自校に持ち帰って実践する日々。さらには「沖縄県の特別活動といえばこの人!!」というレジェンド級の先生をお招きし、一緒に授業や行事づくりの伴走をしてもらうという、今思えばとんでもなく贅沢で熱い環境に身を置いていました。
その研究熱心が呼び水となったのか、なんとその視察先の学校から、若手のホープが2年連続で私が勤務していた学校に異動してくるという奇跡(?)まで発生。 (絶対に裏で糸を引いている黒幕が人事の枠を動かしているに違いないと、私は今でも睨んでいます。笑)

そんな“特活オタク”だった私の1学期序盤といえば、毎年恒例のルーティンがありました。
教師側が「1年間で育てたい姿」を言語化した学級目標を提示し、それを受けて子どもたちが「いつでも思い出せるように!」と、学級スローガンを熱く話し合って決定する。これこそが学級経営の正義であり、最高のスタートダッシュだと信じて疑わなかったのです。
【10年目を超えた私の断捨離】…昨年から私、それを一切辞めました。
学級目標も、子どもたちの学級スローガン作りも、綺麗さっぱり断捨離したのです。 その代わりに、昨年から新しく取り入れているのが『毎月の重点目標的なワード』を提示するシステム。
これがもう、控えめに言って「最高におすすめ」なのです。なぜなら、この月ごとのワードを設定すると、国語の教科書や他の教科の単元、日常のあらゆる場面が「横断的なつながり」を持って、パズルのピースのようにおもしろいほど綺麗に噛み合い始めるからです。
今回は、私が4月から仕込んできた伏線と、まさに今、クラスで大爆発している「6月の学級経営」のリアルな舞台裏をお届けします!
2. 4月・5月に仕込んだ「心理的安全性」と「聴く力」の伏線
6月の話を語る前に、4月と5月にどんな種をまいてきたのか、少しだけ振り返らせてください。
すべては繋がっているのです。
🌸 4月のテーマ:『心理的安全性』
新しいクラス、新しい担任、新しい友達。誰もが緊張している4月は、とにかくお互いを「知る」「対話する」ことに全エネルギーを注ぎます。 掃除システムや給食システムといった、学校生活の土台となる部分についても、とにかく子どもたちと徹底的に対話。まずは私自身がこれでもかと自己開示をして親近感を持ってもらいます。 もちろん中には心のシャッターが降りっぱなしの子もいますが、私と対話ができるようになった子から順に、どんどん他の子を巻き込んでコミュニティを広げていきます。
そして、この心理的安全性をブーストさせる究極の仕掛けが「自由席」です。 「いつでも席を自由に移動していいよ。誰と、どこの場所で学ぶのが自分の成長にとってベストなのか、十分に考えてまずはやってみて♪」 そう声をかけます。仲良しの子をフックにしながらも、自立的に新たなコミュニティが次々と生まれていく、最高の4月です。
🍀 5月のテーマ:『聴く力』
しかし、ここで一つのジレンマが生まれます。「心理的安全性」と「個人の成長」は、一見すると表裏一体で、居心地が良すぎるとぬるま湯になってしまう危険性があるのです。
(※このあたりのジレンマは、以前書いたこちらの記事でも熱く語っています!)
そこで5月は、意識の舵を「成長」へと切りたい。けれど、その想いはまだグッと奥に秘めたまま、まずは『聴く力』を徹底的に育てるデザインをします。(それでもちょこちょこ負荷はかけていきますよ♪)
ありがたいことに、国語の教科書の配列も、5月に「話す・聞く」の単元が配置されていることが多いんですよね。まさに教科横断の相乗効果!
単に耳で音を聴くのではなく、
相槌、頷き、問い返し
適切なリアクション、質問、感想を伝える
「聴くとはどういうことか」をクラスで深掘りし、互いに聴き合える授業の土台を作ります。さらに、体育や家庭科などで意図的に交流が多くなるようグループワークをデザインし、少しだけ「負荷」をかけます。
(今年は3年生の担任なので、体育を中心にデザインしました!)
3. 6月の本題:2種類の「楽しい」を子どもたちにガツンと実感させる
そうして迎えたのが、現在の6月です。 2ヶ月間、自由を与えられ、自分たちで判断することを叩き込まれてきた子どもたち。ここでどうしてもやってくるのが、いわゆる「魔の6月〜6月の中だるみ〜」というやつです。ちょっと気が緩んだり、要望ばかりが先走ったり。
そこで、私が今月提示した魔法のワードがこれです。
『楽しみは自分たちで創り出す』〜価値付けの声を広げる〜
子どもたちはよく「楽しいことしたーい!」「自由が欲しい!」と言います。5半ばごろからその要望は顕著になります。でも、私は子どもたちに気づいてほしいのです。 「楽しい」には、大きく分けて2つの種類があるということに。

でも、多くの場面で、その場限りの楽しみを求めるシーンを見ます。
4. 教師だけの特権じゃない!教室に巻き起こる「価値付け」の連鎖
この6月、私は子どもたちに「苦手・嫌だと思うことを頑張ってみたら、もの凄く良い気分になった!」という極上の成功体験を猛烈にデザインしています。
探せば、教室の中にはそのチャンスが山のように転がっています。
漢字テストに向けて、ボロボロになるまで練習に取り組んだこと。
運動が苦手な子が、体育の時間に何度もステップを練習して技ができるようになったこと。
いつもは掃除をサボりがちな子が、たった一度、床をピカピカに磨き上げたこと。
丁寧に字を書くのが苦手な子が、全集中して視写の課題をやり遂げたこと。
こうしたドラマが起きた瞬間、私はすかさずその時の「本人の心情」をクラス全員にシェアします。
「〇〇さん、実は今日、すっごくやりたくない気持ちと戦いながら、最後までやり抜いたんだって。その時、どんな気持ちだった?」
本人の口から達成感やホッとした表情が語られたとき、今度は周りの子どもたちにバトンを渡します。5月に徹底的に鍛え上げた『聴く力』が、ここで大爆発するのです。子どもたち同士で、お互いに感想や称賛を伝え合わせます。
これこそが、教師の専売特許だと思われがちな「価値付け(価値づけ)」の声を、子どもたち自身の手に広げていく瞬間です。
素晴らしいことに、子どもたちは認め合い上手です。
単に「100点取れてすごい!」という結果だけではなく、「途中で諦めなかったのがかっこいい」「嫌なのに頑張ってて、自分も真似したいと思った」という、プロセスや途中の感情を認め合う価値付けをし始めます。
最初は見よう見まねの言葉でも、子ども同士のピュアな言葉には、大人の100倍の破壊力と効果があります。
苦手なことや嫌なことでも、逃げずにやり抜くことで何かが身につく。やり抜いたからこそ、心の底から湧き出る本物の「喜び」や「楽しみ」を実感できる。そのプロセスは、誰に奪われることもない、一生モノの自分への信頼(自信)になると、私は強く信じています。
5. 自分で人生をクリエイトする子どもたちへ
意識的に『楽しみは自分たちで創り出す』という言葉を、毎日毎日、教室の中で目に触れるように、耳で聴くようにデザインしていく。
「あ、今、自分で楽しみを創り出したね!」
「〇〇さんの言葉、最高の価値付けだね!」
そんな声が飛び交うここ2年間の学級経営は、手前味噌ですが、本当に鳥肌が立つほど上手く進んでいます。与えられた娯楽を消費するだけではなく、目の前の現実を自分の力でおもしろく変えていく。そんな最強のマインドを持った子どもたちが、今、私の目の前でどんどん育っています。
外の世界がどれだけ変わろうとも、こうして目の前の子どもたちと毎日泥臭く向き合い、一緒に充実してゲラゲラと笑い合っている時間は、何物にも代えがたい私の「人生の中核」です。
「やっぱり、小学校の先生って、最高のエンタメで素敵な仕事だな!」
そう改めて噛み締められる幸せに感謝しつつ、火曜日の教室へ向かいます♪

