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「仕事とは何か」の認識の違いを9パターンに分けてみた

BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。

誰かと一緒に働いていると、「なんでこの人はこう動くんだろう」と思う瞬間がありませんか? サボっているわけじゃない。能力が足りないわけでもない。でも、なんか噛み合わない。

これが、最近やっと言語化できた気がしています。

仕事の進め方とか、スキルとか、コミュニケーションの話じゃなくて、もっと手前の話です。「そもそも、仕事とは何か」という認識の前提が、人によって根本的に違うのです。「仕事」という言葉を聞いたとき、何を思い浮かべるか。そこがもう違うのだと思っています。
「AIで仕事が無くなる!」などという話をする前に考えておくべきそれ以前の話だと考えています。

9パターンに分けて考えてみる

僕がいろんな人と働いてきた中で見えてきた「仕事の認識パターン」を整理してみます。人間をきれいに9つの箱に押し込めるつもりはありません。あくまで「自分はどれに近いだろうか?」「あの人はもしかしてこれかも?」と考えるための補助線として使ってもらえたら嬉しいです。

分かりやすくするために、「今進めているプロジェクト、ちょっと前提から見直して方向転換しようか」と上司から突然言われた時のリアクションで比較してみます。嫌だねー。

同じ人でも、余裕がある時とストレス下では、まるで別人のような反応をします。これは性格が変わったのではなく、状況が変わっただけです。ここでは、【余裕がある時(健全な状態)】と【追い込まれた時(ストレス下)】の反応の違いにも注目してみてください。ちょっと長いですが、あるあるが出て来ると思いますで是非読んでね。

① 仕事=正しくやること

「ちゃんとやる」が最優先の人。ルール、品質、正確さ。間違いがないことが仕事の価値だと思っています。

【余裕がある時】 「分かりました。では、新しい方針に合わせた品質基準とプロセスをすぐに引き直しますね」と、新しい正しさに向けて柔軟に動きます。

【追い込まれた時】 「え、今まで積み上げたものはどうなるんですか? 正しい手順を踏んでいない方針転換には納得できません」と頑なに抵抗し、重箱の隅をつつくように批判的になります。

「とりあえず出して」と言われることが、手を抜くことと同義に聞こえてしまう人です。「雑にやっていいよ」と言われると、むしろ困ります。

もう少しいうと、良くも悪くも自分なりの尺度を持っている人です。正しくやるが、客観的に正しいとは限らない。そもそも客観的に正しいことなど存在しないからね。

② 仕事=人の役に立つこと

「誰かのためになっているか」が仕事の価値基準。感謝されること、頼られることがエネルギー源です。

【余裕がある時】 「分かりました! この急な変更で一番困っている人は誰ですか? 私がサポートに入ります」と真っ先に動きます。

【追い込まれた時】 「こんなに皆のために身を粉にしてやってきたのに……」と被害者意識を持ち、恩着せがましくなったり、逆に過干渉になって相手の自立を奪ったりします。

「あなたがいるからチームが回っている」と言われた日は、1週間くらいそのことを思い出して頑張れます。でも「自分のために仕事しよう」と言われるとフリーズする。自分の欲求が何なのかわからなくなっていることがあります。

もう少しいうと、誰かのために何かをやっている自分が好きな人です。無償の奉仕などない。

③ 仕事=成果を出すこと

「結果が全て」の人。効率、達成、評価。見える成果を出すことが仕事だと思っています。

【余裕がある時】 「なるほど。で、新しいゴールへの最短距離はどこですか?」と即座に計算し、チーム全体を新しいKPIに向かって力強く牽引します。自信に満ちていて、周囲にもインスピレーションを与えます。

【追い込まれた時】 プロセスを完全に無視し、自分の評価を守るために手段を選ばなくなります。「で、結果は?」と周囲を冷酷に詰め、チームが疲弊していきます。

プロセスや想いを語る会議は時間の無駄だと感じており、自分が「できるやつ」として評価されているかを常に気にしています。結果が出ていれば過程はどうでもいいと本気で思っています。

もう少しいうと、「自分には価値がある」と証明し続けないと不安で仕方ない人です。結果を出すことは目的ではなく、本当に欲しいのは「あなたは価値がある」という承認です。

④ 仕事=自分を表現すること

「自分らしさ」が仕事の価値。意味のないことはやりたくない。自分の感性や価値観が反映される仕事に燃えます。

【余裕がある時】 「方向が変わるのはいいですね。なら、こういう新しいコンセプトを乗せませんか?」と、誰も思いつかないような独自の価値をプロジェクトに付加します。

【追い込まれた時】 まずわざと興味のないフリをします。それでも押し込まれると「その新しい方針、なんかダサくないですか?」と感覚的なNGを出し、殻に閉じこもって一切のモチベーションを失います。

「他社もこれで成功してるから同じフォーマットでやって」という指示で一番テンションが下がるタイプです。「型通りにやって」と言われると死んだ目になります。

もう少しいうと、「自分には何かが根本的に欠けている」と感じていて、その欠落感を埋めるために特別であろうとする人です。独自性へのこだわりの裏には、他人への羨望がある。

⑤ 仕事=理解すること

「本質をつかむ」ことが仕事の価値。分析、調査、深い理解。わかっていない状態で動くことを怖がります。

【余裕がある時】 「なぜ今このタイミングで? 背景にあるデータと根拠を共有してください」と事態を冷静に分析し、極めて精度の高い判断材料をチームに提供します。

【追い込まれた時】 十分な情報がない状態での「とりあえず走れ」に耐えられず、「もっとデータが必要です」と永遠に知の武装を続け、一歩も動けなくなります。

専門性が高く、判断の精度がいい。でも「考える前にまず動こう」が壊滅的に苦手です。十分に理解してからでないと一歩も動けません。

もう少しいうと、「自分は無力で何もできないのではないか」という恐れを、知識で武装することで打ち消そうとしている人です。調べることは、世界に対する防衛手段でもある。

⑥ 仕事=責任を果たすこと

「信頼される存在であること」が仕事の価値。任されたことをやり切る。チームや組織への忠誠を持っています。

【余裕がある時】 「了解です。新しいリスクの洗い出しをします」とセーフティーネットを張り、プロジェクトが確実に進むための強固な基盤を作ります。

【追い込まれた時】 「この変更の最終承認者は誰ですか? 私の責任範囲はどこまでですか?」と極度に不安になり、自分で決断することを避けて過剰な確認作業に走ります。

このタイプにとって「進捗確認は福利厚生」です。任されたことは絶対に落としませんが、「自分の裁量で好きに決めていいよ」と丸投げされるとプレッシャーに潰れそうになります。

もう少しいうと、自分自身を一番信頼できていない人です。責任を果たすのは立派だが、その裏には「自分一人の判断では間違えるかもしれない」という根深い不安がある。

⑦ 仕事=楽しむこと

「ワクワクするか」が仕事の判断基準。新しいこと、可能性、変化。退屈が最大の敵です。

【余裕がある時】 「マジですか! じゃああの新しいアイデアも試していいですか! 面白くなってきましたね」と、チームの空気を一気にポジティブに変えます。楽観的なだけでなく、現実的に手を動かして実際に成果を上げるのがこの人の強みです。

【追い込まれた時】 泥臭い後始末やルーティンワークから逃げ出し、「次、あれやりましょうよ!」と散漫に新しいことばかりに手を出して、どれも中途半端に終わらせます。

ゼロイチの立ち上げでは天才的な熱量を見せますが、「一つのことを深くやろう」と言われると苦しい。飽きると急にパフォーマンスが落ちます。

もう少しいうと、楽しさを追い求めているのではなく、苦しみから逃げ続けている人です。ポジティブの裏には、痛みや退屈に向き合うことへの根深い恐怖がある。

⑧ 仕事=影響力を持つこと

「自分の力で世界を動かす」ことが仕事の価値。主導権、決定権、インパクトを求めます。

【余裕がある時】 「分かった。上の説得や泥かぶりは俺が巻き取るから、現場は気にせず新しい方向に走れ」と、チームを守る盾になるだけでなく、メンバー一人ひとりの力を引き出し、突破口を開きます。

【追い込まれた時】 「ごちゃごちゃ言うな、どう進めるかは俺が決める。お前らは俺の言う通りに動け」と周囲を威圧し、力でコントロールしようとする独裁者になります。

最大の恐怖は「他人にコントロールされること」。誰かの指示に従うだけの仕事では発言権がなくなるため、主導権を握るために人一倍働きます。

もう少しいうと、「弱さを見せたら終わり」と本気で信じている人です。力を誇示するのは強いからではなく、他人にコントロールされることが死ぬほど怖いから。

⑨ 仕事=みんなが穏やかでいること

「波風が立たないこと」が仕事の価値。調和、安定、全員が心地よい状態を好みます。

【余裕がある時】 「みんな戸惑っていると思うので、まずは認識をすり合わせる場を作りましょう」と、チームの不安を和らげます。単なる接着剤ではなく、前向きなヴィジョンを示してバラバラになりそうな組織を一つにまとめ上げる力があります。

【追い込まれた時】 「皆さんがそれでいいなら……」と言いつつ実は納得しておらず、見えないところで手を抜いたり、ギリギリになってから「やっぱり無理です」とフリーズしたりします。

場の空気を読む天才ですが、「自分の意見をはっきり言って」と言われると固まります。良かれと思って聞かれた「あなた自身はどうしたいの?」を、非難されたように感じてしまうことがあります。

もう少しいうと、「自分が主張したら居場所を失う」と無意識に信じている人です。穏やかさの裏には、自分を消すことでつながりを守ろうとする切実さがある。

ズレているのは能力じゃなく「前提」

ここまで読んで「あ、自分これだ」とか「あの人これだわ」と思ったのではないでしょうか。そして、「あの人のあの困った行動は、性格が悪いんじゃなくて、余裕がなくて前提が脅かされていたからか」と気づいた方もいるのではないでしょうか。
大事なのは、どれが正しいとか、どれが優れているという話ではないということです。
ここで強調しておきたいのは、これは「行動パターンの分類」ではないということです。表面上は同じ「丁寧に仕事をする人」でも、「間違いたくないから」丁寧な人(①)と、「評価されたいから」丁寧な人(③)では、動機がまるで違います。そして動機が違えば、同じ指示でも全く異なる反応が返ってくるのです。
でも私たちは無意識に「自分の認識=仕事の正解」だと思ってしまいます。
世の中には多様な人がいる、頭では分かっていても自分と違う人がいることを心から理解するのは難しいものです。

成果を出すことが仕事だと思っている人は、正しさを追求する人を「遅い」と感じます。正しさを追求する人は、楽しさを求める人を「チャラい」と感じます。人の役に立つことが仕事だと思っている人は、影響力を求める人を「自己中」だと感じるでしょう。

でも全部、仕事の認識が違うだけです。

能力の問題でも、やる気の問題でも、相性の問題でもありません。「仕事とは何か」という前提が違うのです。

僕の考えでは、自分がやられて嫌なことを他人にする人はいません。そんなん性格悪いし、自分がやられて嫌なことをする時は、少なくとも罪の意識は持ちます。
じゃあなんで嫌なことをしてくる人がいるのか。やられて嫌なことが人によって違うからです。
逆もしかりで自分が良かれと思ってやったことが思ったより喜ばれないのも同じ構造です。くれぐれも喜ばれないからって、キレちゃだめですよ。

分かってはいても、自分の「正解」を他人に押し付けちゃうよねー

ここまで客観的に9つのパターンを整理してきましたが、少しだけ僕自身の話をさせてください。
白状すると、僕自身は⑧の「影響力を持つこと」の権化です。常に「怒り駆動」で仕事をしています。世の中のおかしいこと、理不尽なことに対して「なんでこうなってないんだ」と腹を立てながら手を動かしています。いました、と過去形にしたいところだけど、自信ないかな。油断するとまだまだ出てくるから。

僕にとって仕事とは「コントロールされる側にならないため」のものです。誰かの指示に従うだけの仕事をしていると発言権がなくなり、ただ使われる側になる。それが死ぬほど悔しいから、圧倒的な主導権を握るために人一倍働く。会議で綺麗事を並べている暇があったら手を動かせと思いますし、他人に自分の運命を委ねたくない。ラストマンとしての執着です。別にマッチョになりたいわけではありません。ただ、異常なまでにプライドが高いだけなのです。

この「コントロールして世界を動かす」という強烈なフィルターを通してしか、僕は仕事を見ることができませんでした。
だから過去に、余裕がなくなった時、④(自分を表現したい人)や⑨(穏やかでいたい人)に対して、「なんでそんなにスピードが遅いんだ」「なんで自分の意見をはっきり言わないんだ」と苛立ちました。⑦(楽しみたい人)に対しては、義務を果たさずに権利ばかり主張しているように見えて、同属嫌悪に近い感情を抱いたこともあります。

以前、「ストレートな思いの伝え方」という記事にも書きましたが、僕はずっと「思ったことをそのまま言うこと」がストレートだと信じていました。でもそれはストレート(直球)じゃなくてデッドボール(死球)だったのです。自分では率直な意見を投げているつもりで、相手をただ殴っていた。痛い思いをさせてきたと思います。

この苛立ちや攻撃性の正体が、ようやくわかりました。僕は「仕事とは影響力を持つことだ」という自分の前提を、無意識に全員に押し付けていたのです。主導権を握ること、スピードを出すこと、はっきり意見を言うこと。それが「仕事ができる」ということだと本気で思っていました。
でも、それは完全に僕の勘違いでした。「仕事とは何か」という大前提が全く違っていただけなのです。

怒りは僕の出発点ですが、ゴールにはしたくない。「なんでこうなってないんだ」という怒りから始めて、「じゃあどうすれば全員が動きやすくなるか」に着地させる。この変換ができるようになったのは、自分の前提が9つあるうちの1つでしかないと気づいてからです。

前提が違うと知った後のこと

じゃあ前提の違いに気づいたら全部うまくいくかというと、そんなことはありません。

僕は今でも⑧のフィルターで世界を見ています。余裕がなくなれば「なんでそんなに遅いんだ」と思ってしまう。ただ、そう思った瞬間に「あ、これは前提が違うだけだ」とブレーキがかかるようになった。それだけでも、だいぶ変わりました。

自分自身の「仕事とはこういうものだ」という認識も、9つあるうちの1つでしかありません。相手が悪いんじゃなくて、前提が違うだけ。そう思えるだけで、チームの見え方が変わります。

編集後記

ここまで紹介した9つのパターンは、「エニアグラム」という心理学のフレームワークをベースにしています。表面の行動(How)ではなく、動機(Why)と恐れで人間を理解するアプローチです。僕自身、日本エニアグラム学会で本格的に学んでいる最中で、学べば学ぶほど、「前提のすり合わせ」の解像度が上がっていく実感があります。
正直、めちゃくちゃ単純化して書いてます。本当はこんな単純な話じゃない。実際にはこんなに単純な話ではないので、その埋め合わせは、対面やセミナーなどで行わせてください。

まずはとりあえずオンラインセミナーやってみるわ。

さて、あなたはどのパターンに一番近いと感じましたか? 「自分は完全に〇〇だ」「今のチームのあの人は絶対これだわ……」など、ぜひSNSの引用やコメントで教えてください。 自分と他人の前提の違いを知ることが、すべてのスタートになります。

あとエニアグラムとか、成人発達理論とかの混み合った話は、一定クローズドじゃないと荒れそうなので、メンバーシップにマガジン追加して書いていくつもりなのでぜひ入ってください!


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