【ピアノ】回想 電子ピアノでコンクールに挑む息子
前回の記事はこちら↓
初めての発表会当日に息子が発熱し、泣く泣く欠席した。
発表会の後のレッスンで、先生から思いがけないことを言われた。
「半年後のコンクールに出てみませんか?」
私と息子は顔を見合わせた。
その表情から一瞬で息子の言いたいことがわかった。
コンクール、出たい!でも……。
私も同じ気持ちだった。
先生はそんな私たちの空気を察したように続けた。
「大丈夫ですよ。息子さんの他にも、電子ピアノで練習しているお子さんがコンクールに出たことがあります。今年も出ますよ」
「小さいうちの方が、緊張を感じずにステージに慣れます」
「エントリーには参加料がかかりますが、私は息子さんがコンクールに出る意義があると思います」
先生の言葉には、私が感じている不安への答えがすでに詰まっていた。
それでも、私の中で迷いは消えなかった。
電子ピアノで練習している息子が、アコースティックピアノで練習している子たちに混じってステージに立つ…。
電子ピアノでの挑戦に、不安を覚える人もいるかもしれない。
それに、そもそも音の出方もタッチも違う環境で、コンクールに挑むのは無謀ではないか…。
そんな考えが次々浮かんでは、答えの出ないまま頭の中をぐるぐる回っていた。
ためらう私の隣で、息子が決意したように言った。
「出たい」
私は頷くことが出来ずに、曖昧な表情を浮かべた。
「やってみたい」
息子の言葉に、先生も頷いた。
その場で答えの出ない私のために、先生は判断を次回のレッスンまで保留にしてくれた。
その日、息子が寝てから、私は一人考え込んだ。
息子をコンクールに出してあげたい。
でも、練習環境は電子ピアノだ。
2つの事実の間でモヤモヤしていた。
この2つが相反するものに思えた。
コンクールについてネットで調べ、過去に出場した方々の経験談を読み漁った。
息子が全国レベルだとは思っていない。
それでもコンクールに出してあげたいのは、私自身の気持ちもある。
息子が「出たい」と言ったから。
それも大きな理由だった。
加えて、小さいうちなら緊張せずにステージに慣れるから、という先生の言葉も気になっていた。
私は、息子がピアノを始めた頃を思い出していた。
そもそも私は、電子ピアノを理由にピアノを習わないことは一切考えていなかったじゃないか。
電子ピアノだけで不安なら、本番までの間、アコースティックピアノに触れる機会をできるだけ増やせばいい。
幸い、通える距離に練習室もある。
コンクールに出ることになれば、大変になることは目に見えていた。
それでも、「あの時やれば良かった」と一生後悔する方が嫌だ。
現実的に、全国大会で入賞するとまでは最初から思っていない。
それでも、我が家なりの挑戦の仕方があるはずだ。
もちろん、電子ピアノとアコースティックピアノが同じだとも思っていない。
それでも、その環境で出来る挑戦もあるはずだと思った。
工夫次第で、できることはまだある。
私は次のレッスンまでの間、何度も考え、悩みに悩んだ。
そしてやはり、息子がコンクールに挑戦することを応援すると決めた。
私ができる限りのことをやろう。
私は息子に伝えた。
「お母さんは、コンクールに出るあなたを全力で応援する」
「一緒に頑張ろう!」
息子に伝えると、息子も珍しくシリアスな顔つきで大きく頷いた。
「おれは…コンクールに出る!」
こうして我が家は、電子ピアノという練習環境のまま、それでも一歩を踏み出すことを選んだ。
初めての方へ↓
🔽これまでのピアノ記事をまとめました
