【番外】母、塾弁を考察する
息子は、夏期講習から帰宅してから食事をとる。
だから塾弁は、あくまで「形だけ」持たせている。
空腹をしのげる程度で、重すぎず、軽すぎず。
中身をどうするか、まあまあ悩む。
親の都合を言えばキリがないし、息子の希望を全部聞いてもキリがない。
そこで、身のまわりの声を集めて、塾弁のあるべき姿を考えてみることにした。
まず、塾の条件はこうだ。
おやつは禁止。おにぎり、菓子パンはOK。
ホットスナック系も、暗黙の了解でOKらしい。
息子の希望は、シンプルだった。
「ファミチキがいい」
本当は、それでも構わない。
ただ、「毎回はダメ」と釘を刺した。
一方、私の希望はこうだ。
メインを冷凍食品にする、手作り風のお弁当。
これには息子から条件がついた。
「野菜のおかずじゃなければ、OK」
そんな中、知り合いの塾弁事情を聞いて驚いた。
できるだけ手作り。デザートも毎回つける。キャラ弁にも対応可能。
理想的すぎて、とても真似できない。
隣で聞いていた息子が、すかさず反応した。
「キャラ弁、いいな」
キャラ弁は無理だ。そこはもう、母の限界としたい。
そして最後に、夫がこう言った。
「塾弁だと思うな。標本だと思え」
「文句を言うなら、持たせるな」
……確かに。
本音は、「俺が作るわけじゃない」というところか。
かくして、私の結論はこうなった。
塾の条件を前提に、知り合いの塾弁を目標としつつ、実態は夫のような精神で開き直り、息子のファミチキと私の冷凍食品ローテーションを、ゆるく繰り返していく。
夏は、塾弁という標本を作るのが、母の宿題なのだ。
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