企業の懇親会に潜入した話。
某地方の某大手の企業懇親会に紛れ込んできた。
某大手と関わりがある企業が呼ばれる。
私はこんなところに呼ばれる様な人間ではない。
招待枠以外では会費一万円。
某商店の付き添い役ということで参加させて頂いたのでタダ飯タダ酒。
私は正装すらないので、私服の中で失礼のない様な服を選んで参加した。
地方であれど、名だたるホテルの宴会場に、全国規模の会社から、そこに卸している企業がたくさん。
私はなぜ参加したのかというと、老舗の商店のお婆様に気に入られ、足腰が悪くて不便だろうということで、エスコートという形で指名された。
この婆さん、何者なんだろう?
半年前か、困っているところを助けた。
その後もお店の常連になってくれた。
彼女曰く、鶴の恩返しみたいな話だと思う。
いえいえ、私の方が助けられています。
地方都市であれど、沢山の企業関係者が集う。
老舗も老舗、そのお婆様と自分。
相当浮いている。
この会は、大手企業から協力企業への御礼のパーティーだ。
きっとほとんど社長と社長夫人と親族だ。
きっちりとした身なりをした方ばかりだ。
あぁ、恥ずかしい。
ほとんど私の身分は浮浪者だ。
何故だかここに居る。
おいしいビュッフェを堪能して、おいしいお酒をいただく。
断られながらも。足腰悪いお婆様のために、お料理をたくさん取りに行く。
そのために来たんだと勇んで。
マジックショーなんかもあり、
お待ちかねが、各企業が用意してくれたプレゼント抽選会。
これがね、全員当たるんですよ。
高級なティッシュから、数万の商品券やら。
私はレトルトカレーがあたりました。お婆様は缶ビール6本セットが当たりました。
(私は実はスパイスカレーがメインの居酒屋を経営しております。)
最後の方が、だんだん高級な品物になってくるんですよね。
でも、景品が余ってて、2週目もあったんです。
2週目はそれこそ数名しか当たりませんよ。
そしたらね、お婆様。
2回目の当選です。
幸運もってますね。
高級洋菓子店のプリペイドカードですよ。
1週間前、私のお店で、私の誕生日会を開いて頂いたのですが、その時のケーキ屋さんが、まさにその高級洋菓子店だったんですよ。
数秒前まで、そのケーキの話をしてたんです。
すごい。
老舗も老舗であるし、別に企業間交流もなかったんですが、お婆様がひとりひとりに挨拶をしていて、人脈ってすごいなと思いました。
タクシーでお家までお見送りしたあと…。
この会には、若い人もまぁまぁいたんですよ。
でも、営業以外でこの席に座れる人は何人いるんだろうかと。
企業の親族、会長、役員、要役。
身なりや、マナー、作法。
若い頃から学ぶんだろう。
マナーが徹底されてる受付から、
同席の品のある方々、
サービスの行き届いたウェイトレス。
堂々とした司会進行。
役員のスピーチ。
私はなんとか必死に紳士を演じた。
どうなんだろう…。
マジシャンが余興に呼ばれていたけど、彼の素晴らしさは、ひとりひとりに届いただろうか?
周りがザワザワしていて全く分からなかった。
かつてミュージシャンとして結婚式に呼ばれたこともあった。
その時は、オリジナルをメインにしてるから、すごくイライラした。
商売の余興?
それがお互いにわかってしまってるから、木枯らしの様に過ぎ去ってしまうではないだろうか?
技術があるのか無いのか、余興すぎてなんにもわからなかった。
まぁ、まぁ、
ご飯食べて、交流ができて、タダなんだぜ。
おまけに企業協賛のお土産までもらって。
2、3日の食費も浮くよ。
レトルトカレー10食。(カレー屋なのに)
エンゲル係数…。
金持ちの食事は、交流発展の経費で賄えるんだと思う。
だから、ビュッフェの料理もそうだ。
おいしい。
美味しさより、そのための研鑽。
本日は約120名に向けた料理。
おいしい。
私にはそれは難しい。
マニアに向けた料理は得意だけど。
おいしい。
少なからず本音の交流がしたかった。
まぁ、それは私は潜入したのであって何者でもないのだけれど。
何かもっと素敵なはなしができたらなと。
でも、胸に着けた会社名だけで十分なんだ。
無作法なので、身分もわきまえず酔ってしまい。
2人で帰りはタクシー。
「やっぱり、あなたの料理は面白いね」
お婆様は、素敵に酔って、私にお礼を散々言って、お家に帰った。
お礼を言いたいのは私である。
