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「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第二十四話

第十一章 外堀へ
令和4年4月19日(火曜日)午前9時30分
国立国会図書館前から奥青梅ダムへ
 
 今日は国立国会図書館に来ている。私は、昨日の捜査会議の中で、被害者二人の接点はどこにあるのかを考えていた。そこで、奥青梅ダムの近辺に遺棄されているからには、場所的に何かしらの関係があるはずだと思った。

 佐々木刑事に聞くと、島尾班の捜査でダムに沈んだ村は二つあったそうだ。都庁の資料では、当時の村長の名前は二人ともたまたま柿内さんと言う人であった。

 ダムの底に沈むということが知らされてから両方の村とも紛糾したらしいが、一つの村会議では全員一致で賛成された。しかしもう一つの村では議員十人のうち九人の賛成で立ち退きが決まった。一人だけ反対していた者と一部の反対者以外の賛成派は、みんな大金を手にして、それほど混乱もなく率先して移住したとのことであった。

 その一人は誰ですかと聞いたが、村会議の結果は記載があったらしいが、議事録の保管はなく、反対者が誰かは分からなかったということであった。
 以上から当時の新聞などによるマスコミの報道を調べにきたのである。
 
 その前に国立国会図書館を説明しよう、
(我が国唯一であり、国会法及び国立国会図書館法に基づき設置された図書館である。国会と道を挟んで東京本館があり、それ以外に京都に関西館と東京上野に国際子ども図書館が同じ括りの中にある。
 この国立国会図書館は、日本の国会議員の調査研究、行政、ならびに日本国のために奉仕する図書館である。故に十八歳以上(十八歳未満でも例外使用が可能)であれば登録さえすれば利用が可能である。
 外国人でも東京本館と関西館は利用できる。また、納本制度に基づいているので、発刊された本、雑誌等、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館である。基本誰でも入場ができるので是非一度は行ってほしいものだ。)
 
 私は国立国会図書館の本館の玄関に入った。久しぶりの国立国会図書館である。以前は弁護士を辞め、心理学を学ぶために大学に入り直したので、よく利用させていただいた。今では、三年が期限なので、更新のために利用している。

 さて、本館に入る。ロッカーで荷物をしまって鍵をかけた。私はメモなど使用しないので登録者カードつまりIDのみ持っていく。その後ゲートでそのIDをタッチして入館した。

 本は基本立ち入り禁止の書庫に保管されており、パソコンのインデックスから拾って書物を探して現物を見たりする。しかし、私はスキャンされた、中身だけでいいので、借りたことはない。

 空いているパソコンの前に座った。まず奥青梅ダムの歴史を探った。すると、ダムは昭和三十九年に完成していた。

 ダム建設にゴーサインが出たのが、都市再開発の足がかりのため、昭和二十三年になるようだ。すると、村の議会承認はその前であろう。だから戦後の昭和二十年から探すことにした。

 地方紙でないと扱わないだろうと思い、東京都の西側に拠点を持つ大正八年に設立された静川新聞(シズカワシンブン)を探しデータを出した。

 膨大な量であるが、ここでカメラアイが役に立った。隣の女性の何倍も早いので、びっくりしているのが視界に入った。三十分ほどしてちょうど二年分ぐらいを読み切った時、一枚の写真が目に止まった。知り合いにそっくりな人がいた。拡大して確認したが間違いがない。

 一つの仮説が頭をよぎった。しかし・・。

 取り敢えずこの記事のコピーをお願いした。カウンターでコピーを受け取ると急いで図書館をあとにした。

 最初に伊藤さんに電話をした。やはり昨日言った通り帰れませんので、講義の件、宜しくお願いしますと伝えた。心の中で、伊藤さん頑張れ。
 続けて佐々木刑事に電話をした。

「捜査中なのに申し訳ありません。至急お会いしたいのですがよろしいでしょうか。」

「分かりました。お迎えにあがります。大学ですか。」

「いや、国立国会図書館にいます。」

「ああ、調べ物ですか。国立国会図書館だなんて、教授ともなるとすごいところの図書館を使われるのですね。」

「いえ、今日は捜査の調べものです。」

「そうですか。何か分かったのですね。そりゃ早く行かなきゃ。」

 すぐに電話が切られたあとサイレンが鳴ったような。もしも、サイレンを鳴らしながら来て、覆面に乗り込むのって恥ずかしいよなと思っていると、案の定サイレンを鳴らしてやって来た。注目の的だよ。

 車から降りて来て、さあどうぞと後部座席の扉を開けてもらったが、今日は車で話しがしたいので助手席でと言って回り込んだ。

 覆面パトカーに乗り慣れないので、周りを見るとみんなにジロジロ見られている気がして、恥ずかしさマックスで助手席に座った。
 ドアを閉めると佐々木刑事に、赤色灯を格納してほしいとお願いした。

「教授、教授が至急と言われるということは、かなりの収穫だったのですね。」
「ええ。そうです。お話しする前に、一人応援として加えていただきたい人がいるのですが、本部に許可をいただけないでしょうか。一般人ではありません。西青梅署奥多摩方面課の三枝慎吾巡査です。」

「なぜその彼ですか。」

「彼は、初動捜査に参加したことで第一回捜査会議に出席していました。翌日私の教授室に来て、捜査に参加できるように頼んで欲しいと言われました。しかし私が頼んでどうにかなるものでもないので、ということでお断りしました。」

「では、今回参加させて欲しいというのは何か意図があるのですか。」

「そうです。その時にアピールしていたことが呼びたい理由です。それは、お父さんは最後まで奥多摩方面の駐在所で過ごしたのですが、全ての駐在所を回っていて、奥多摩で知らない場所はなく、知り合いもたくさんいると話していました。」

「すると彼に道案内をさせるためですか。」

「それだけではなく、ある人物の捜索も兼ねています。」

「分かりました。取り敢えず先に一課長に許可をもらいます。」
 そう言って会議室に電話をしていた。そして後藤捜査一課長に許可をもらって頂いた。

「それでは私は西青梅署まで行きますので降ろして下さい。」

「いやいや、このまま一人で行かせられませんよ。私もご一緒します。」と言ってくれた。

 それから伊藤さんに電話し、今日は戻れそうにないので直帰して下さいと言ったあと、今から約八十年前の写真をメールするので、感想を聞かせてくださいと言って電話を切った。

 するとすぐに、ピンというメール音がなった。開くと、学生の頃の写真のように見えますと返って来た。

 ありがとうと返し、佐々木刑事とこれから確かめに行きますと送った。教授、気をつけてと折り返しが来た。


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