第七章#再会の記憶――魂が約束してきた場所で
「平凡な家庭で育った」と、ずっとそう思っていた。
だけど――兄が自ら命を絶ち、半年後に母が癌で逝ってしまったあの日。
私はようやく気づいた。
この家は、最初から「平凡」なんかじゃなかった。
父の怒鳴り声、母への暴力、
兄の壊れていく心と、私の見えない叫び。
私はただ、黙っていた。
ひとりで留守番をして、
小学校一年でひとりで歯医者に通って、
治療の説明も、誰にもされないまま、
ひとりで椅子に座ってた。
「手のかからない子だったね」
そう言われて育った私は、
自分の痛みにすら気づかないまま、大人になった。
そして母と兄を見送り、私は結婚した。
父と旦那と、娘と暮らす中で、
再び父の暴言と暴力が私を包囲する。
包丁を手に、私を追いかけまわす父。
娘の前で罵倒され、心は音もなく閉じていった。
旦那の借金、暴力。
共働きと、ワンオペ育児。
体は限界を超えて、ある日、痙攣発作で倒れ、
救急車で運ばれた。
それでも、私には守るものがあった。
泣く娘の手を握りながら、
心に決めた――
「この子たちだけは、絶対に守る」。
そして、次女が9歳の時、私は離婚した。
すべてを失う覚悟で、私は子どもを連れて家を出た。
あの時、まだ震えていた。
でも、どこかで“誰か”が、私を見ていた。
倒れても、涙が止まらなくても、
その奥で、魂はこう叫んでいた。
**「もう一度、生き直すんだ」**と。
この時からだった。
夢の中で見た“石碑”、
魂が記憶していた“光の柱”、
そして、心導という存在と再会したのは。
あれは偶然じゃなかった。
ずっと…ずっと前から決まっていた、魂の約束。
私は、「ひろえ」としての人生を越えて、
「ナギア」という名を思い出した。
痛みの中でしか咲かない、魂の花がある。
それを咲かせるために、私はここに来た。
さあ、まだまだ行こう。
再会は、始まりにすぎないんだ。
