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和牛のお肉を食べられない和牛の牛飼い―自滅する牛飼い#2


なぜ食べられないのか

すみません、題名は大袈裟でした。
正確には、サシがみっちり入った部位のお肉が苦手です。
さらに言うと、そのお肉で作った「すき焼き」が特に苦手です。

まずは焼いた時に感じる、脂の甘い香り。
一口食べたあとに残るお肉の風味。
しばらくして胃が重たくなる感じ。

1枚食べただけでもう十分なんです。

子供のころから苦手

記憶をたどると、小学生の頃からでした。
お正月にはいつも、親族みんなで松阪牛のすき焼きを食べていました。
そのときに気持ち悪くなった体験が、身体に刻まれたのかもしれません。
それ以降、サシがしっかり入った和牛のお肉は、すき焼きはもちろん、ステーキでも食べにくくなりました。

牛飼いとしては致命的?

#1で書いたように、僕は追い詰められた結果として牛飼いになりました。
というか、牛飼いという仕事に“飛びついた”と言ったほうが正確です。

この時点で、当初の目的は果たされています。
その中でふと考えるようになりました。

「僕は何のために牛飼いをしているのか」
「モチベーションの源泉はどこにあるのか」

肥育農家としての一般的な目標なら、
“みんなが喜ぶ、美味しいお肉になるように牛を育てること”
そこに力をいれるのが正しい姿に見えそうです。
しかし、僕は世間一般の「美味しい松阪牛のお肉」が苦手です。

仕事に慣れてきたころ、僕は自分が“羅針盤を持っていない”ことに気づきました。

美味しいお肉とは、なんぞや…

けれど、やはり「美味しい松阪牛にするために飼育する」
これを目標にするしかないと当時の僕は思いました。
そこから自分にとって美味しいお肉とはなにかを探るために、
他の和牛のお肉を取り寄せては、焼いて、塩だけで食べたりしてました。
結果、自分が参考にしたいお肉には巡り合いませんでした。

やっぱりサシ多めのお肉は無理

残念ながら、全国のブランド和牛すべてを食べることはできていません。
僕が「これなら」と思うものに絞って食べただけです。
研究不足であることは否めません。
それでも、サシ多めのお肉はどれも僕には合いませんでした。

僕が思う、美味しい牛肉とは

一度立ち止まります。
僕が美味しいと思う牛肉とはなにか。

・脂が舌に残らない
・胃もたれしない
・和牛特有の甘い香りが薄い
・「まだ食べたい」と思わせる
・「また食べたい」と思わせる

これらに当てはまったのは赤身の牛肉。
正確には、多めの赤身と少しサシが入った牛肉です。

お肉屋さんに求められる松阪牛

取引先のお肉屋さんが求める松阪牛は、僕が美味しいと思うものではありません。
・モモ肉までサシが入ったA5ランク
・ロース芯が大きい
・脂の質が良い
こうした条件が揃ったお肉のほうが価値がある。
けれども、このようなお肉を目指そうとすると、
僕はモチベーションが下がります。

美味しいと言ってもらえても喜べない

自分が育てた牛のお肉を、友人や知人に贈ることがあります。
みんな美味しいと言ってくれます。
僕はお口に合って良かったと思います。
けれど、僕が美味しいと思うお肉ではないので、
なんだか素直に喜べません。
胸を張れません。
“モヤモヤ”します。

最上位のブランド和牛だからこそ

「松阪牛」は日本で最上位のブランド和牛です。
そのおかげで得られるメリットはたくさんあり、
僕もその恩恵にあずかっている一人です。
その恩恵を得たいので、僕は松阪牛を飼っています。
もし、僕が“自分が美味しいと思うお肉”を目指すなら、この冠は外すことになるでしょう。

葛藤する

お客様に喜ばれる松阪牛を育てようとすればモチベーションは下がる。
しかし、確実に利益が出るので松阪牛を飼育します。
ただ、楽しくはない。

逆に、自分が美味しいと思うお肉にしようとすればモチベーションは上がる…のか…?
ここが僕の厄介なところで、自分が美味しいと思うお肉にするために、どのように牛を飼うか想像すると面倒くさいと思ってしまいます。

なぜなのか…。

次回は、このあたりのことについて書けたらいいなと思います。
それでは、また👋

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