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いつでもこの胸に飛び込んで来なさい

前回のあらすじ;
アルゼンチンに入りました。ひたすら南下。
現在地;アルゼンチン


ベッドの足元にデカ鏡

ウルグアイあたりからずっとジメジメした天気が続いて、さらには前回ズッコケて泥だらけになってしまったこともあり、アスルという町に着いたところでロードサイドのホテルにヤケクソチェックインをかましました。

一泊朝食付きで45000ペソ(5000円弱)、1人で泊まるにはだいぶ高くてちょっと泣きそうになりました。こういう時はアメ横で先輩に生牡蠣をしこたまご馳走してもらったこととかを思い出すことで、出来るだけ心の中のキャッシュフローをプラスに持っていくよう心がけています。

ところでベッドの足元には大きな鏡。
なんだか怪しい予感がします。

枕側にもデカ鏡
(洗濯物すいません)

枕側にもこれまた大きな鏡。
巨大な合わせ鏡がダブルベッドを挟んでいる状態です。ある疑念が頭をよぎりました。


これ、ラブホかもしれん────。


部屋の前の目隠しシャッター付き駐車場、そしてガラス張りのシャワールームもラブホ疑惑をより一層強めます。

でも外観は全然そんな感じじゃなかったし、受付がある棟を見るに家族経営みたいな雰囲気だったし、Googleマップのレビューもラブホ感は全く無いんだけどな。でもこのダブルベッド前後デカ合わせ鏡はラブホじゃないと説明がつかんし…
はっ、さてはラブホの居抜きで一般ホテルを運営しているのか?いやそんなことあるか?どんなビジネスモデルだそれは?
くそぅ、せめて枕元にわけわからんボタンが沢山ある操作パネルとか、アホなコスチュームレンタルの一つでもあってくれりゃ一目瞭然だったのに…

と、なんだか釈然としない夜を過ごしました。


旅人たちのステッカーまみれ

アスルの町を出てすぐ、ゴールのウシュアイアまで2859kmの標識が出現しました。
まだ言わなくて大丈夫です。

カピバラ!!!
湿地帯

Ruta3(国道3号線)はしばらくずっと道路に並行に湿地帯が走っていて、カピバラがバシャバシャッと音を立てながら慌てて水に潜っていく様子が楽しめます。

これがまたなかなかすばしっこくて、ついに写真に収めることは叶いませんでした。残念。

あとはこの3号線沿いは道路脇によく車が朽ち果てたままの状態で放置されています。

横を通り過ぎるたびに、その哀愁の色に焦げ尽きた金属の塊が語りかけてくる気がするのです。
「身体と心が動くうちが華だぞ」って。

この残骸もかつて誰かの笑顔を乗せてブイブイ動き回っていたのを想像すると、何十年後かの未来の自分の姿を目の前にしているような恐怖と今この時を精一杯生きなければという焦り、そして人生の大先輩に対して抱くような畏敬の念が押し寄せてきます。

廃駅

たまたまタイミングよく辿り着いたミカエラ・カスカリャレスの村では、村の人が紹介してくれた廃駅で野宿をしました。
様子を見るにかつては栄えていたであろうこの駅も今ではボロボロに荒廃しきって不気味な沈黙に包まれています。

割れた窓ガラス、褪せた壁、ところどころ剥がれたタイル、雑草に埋もれた線路。
そんな中で歴史を感じながら目を瞑りました。

諸行無常と盛者必衰の理。
万物は変転しいつか必ず衰えて滅びます。
ほならこの身体と心が動くうちに、影も踏ませないくらいのスピードで動いて動いて動き回ってやるんだから。人生は、速すぎるくらいじゃなきゃ遅すぎて滅です。ほまに。


お菓子の差し入れ

ひたすら続く牧草地帯を走っていると車のドライバーさんからの応援が身に沁みます。

アルゼンチンに入ってからはクラクションやパッシングで鼓舞してくれる車の台数がこれまでよりグンと増えました。わざわざ路肩に車を停めてお菓子の差し入れをいただくことも多いです。

お菓子の差し入れ2

半月ほど前まで進んでいたブラジルの人たちの優しさはなんというか、「誰も隅っこで一人ぼっちになんかさせねえよ」と否応なしにガチッと肩を組んでくれるような、言わばパッションに溢れた兄貴・姉貴的な愛情でした。

それに対してアルゼンチンの人達が見せてくれる優しさからは「いつでもこの胸に飛び込んで来なさい」と優しく包み込んでくれるような、親父・お袋的な愛情を感じます。

ペドロさん

車から降りてくるなりガッチリハグをしてくれたペドロさん。
お菓子をいただいた後にどこかに電話を掛け始めて、「今日はこの場所を目指すと良いよ、いま友達に話はつけといたから」と、とある場所の住所を伝えて去って行きました。

教えてくれたのはコロネル・ドレゴという町の消防団施設の住所。

いまいち状況は掴めていませんでしたが、とりあえず門を叩いてペドロさんの名前を出してみます。

アンドレアさん

団長のアンドレアさんです。
ペドロさんからの連絡を受けて、僕が来るのをずっと待ってくれていました。

アンドレアさんはまさに"肝っ玉母さん"という言葉がピッタリな人物で、ハキハキとしたパワフルな物言いからは度胸と頼もしさが滲み出ています。
さすが団員達を束ねるリーダーなだけはあるなと思わずにはいられませんでした。

消防団員達の装備
ホール

挨拶や自己紹介を済ませた後は館内をざっと案内してくれました。
定期的にパーティーやイベントを開いたり、地元の公民館的な役割も担っているようです。

キッチン
宿直室

「キッチンもシャワーもベッドも、ここにあるものは全部好きに使っていいから!」とアンドレアさん。さらには「さっきの窓口でずっと待機してるから、なにかあったら何でも私に伝えなさい」と。

この日も適当に野宿するつもりでいたので、まさか急展開で温かいシャワーと布団の恩恵にあずかるとは。感無量で言葉が出ませんでした。

この人がいる限りコロネル・ドレゴの未来は明るいです。冗談じゃなく本気でそう思います。

近所に中華系のスーパーがあって美味しそうなインスタントラーメンをゲット。

キッチンで作ったうまうまラーメンをアンドレアさんにも少しお裾分けしに行って、その後はそのまま柔らかいベッドで眠らせてもらいました。


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