見出し画像

前例なき、69。〔中編〕

前編では、「前例がなかった」という話を書きました。

▶ 前例なき、69。〔前編〕 https://note.com/golf_revolution/n/ndcb01875bbcd

今回は、なぜ69という数字が生まれたのか。 その話です。


まず最初に、一つだけ伝えておきたいことがあります。

もし、「特別プレールールだから出た数字でしょう」 そう思う人がいたとしても、私ははっきり言えます。

その一言だけで片づけられるほど、簡単に出せる数字ではありません。

私と同じ障害を抱え、私と同じ身体条件で、この69を出せる人は、そうはいないと思っています。

これは、自慢ではありません。

自信です。

なぜなら、私はこの身体で何ができて、
何ができないかを、誰よりも知っているからです。
そして、スポーツを続ける難しさも、知っているからです。


まず、思うようにろくに練習ができません。

一球打つたびに、身体へ負担がかかります。
その日の疲れだけでは終わりません。

翌日も。その次の日も。身体は悲鳴を上げ続けます。
そして、思考まで引っ張られます。

身体は、正直です。

だから、練習場へ行くこと自体が、一つの挑戦です。

上達したいなら、
「もっと練習すればいい」

よく聞く言葉です。
でも、できるなら、とっくにやっています。

だから私は、練習量ではなく、

一球、一打の意味

を考えるようになりました。

限られた体力。 限られた時間。 限られた一球。

その一球を、どう生かすのか。 どうすれば、納得できる一打を手繰り寄せられるのか。

その一打に、何を込めるのか。 そして、何を残すのか。

そればかり考えてきました。

私は、そうして手繰り寄せる一打を、

「修羅の一打」

と名付けました。

何球も打てる人の一球と、
次にいつ、同じ状態で打てるか分からない人の一球。

同じ一球でも、 その重みは少し違うのかもしれません。

だから私は、 限られた機会の中で、自分なりの「修羅の一打」を、 一打ずつ積み重ねてきました。

その積み重ねが、今回の69につながったのだと思います。


事故のあと、入院中リハビリをしていた頃。
私は、一本のゴルフクラブに出会いました。

「ちょっと振ってみようかな」

すべては、そんな何気ない一振りから始まりました。

この身体でも、できるスポーツがあるかもしれない。
そう思わせてくれたのが、ゴルフでした。

▶ ゴルフを始めようと思ったきっかけ https://note.com/golf_revolution/n/nae72d4b6630f?magazine_key=mfffdeeccda3b

だから私にとってゴルフは、贅沢なスポーツではありません。
ただ楽しむためのものとも、少し違います。

生きがいです。
挑戦です。

この身体で社会とつながれる、数少ない場所です。


そして、今回の69を語るうえで、欠かすことのできないモノがあります。

無動力歩行支援機、 「ACSIVE(アクシブ)」です。
https://www.imasengiken.co.jp/product/acsive/

もしアクシブがなかったら、ゴルフ場に立ち続けることも、
仕事を続けることも、今よりずっと難しかったと思います。

もしかすると、どちらもやめていたかもしれません。

身体を支えてもらえたからこそ、目の前の一打に集中することができました。


そして、もう一つ。

今回の69を語るうえで、絶対に欠かせない人がいます。

キャディさんです。

私は、ゴルフの知識が豊富なわけではありません。
だからこそ、その存在の大きさを、今回身をもって知りました。

グリーンに乗るたび、こう声を掛けてくれました。

「パターを打つのは、私が行くまで少し待ってね」

ピンの位置。芝目。傾斜。風。 そして、私のペース。
そのすべてを見ながら、最善の一打を一緒に選んでくれました。

急がせるのではなく、
私が一番いい状態で打てるように、静かに導いてくれる。
コースを知り尽くした人の判断と、その時々の私に合わせたアドバイス。
その両方があったから、私は目の前の一打に集中し続けられました。


今回の69は、私一人で出した数字ではありません。

長年積み重ねてきたこと。
一球を無駄にしないために、考え続けてきたこと。
この身体を支えてくれた、かけがえのないモノ。
そして、私のゴルフを導いてくれた人。

そのすべてが重なって、生まれた69でした。

だから私は、この数字を、自分一人だけの力だとは思っていません。

けれど、この69はゴールではありませんでした。

この数字が、これから何につながっていくのか。
なぜ私が、この69を「前例」として残したいのか。

その話を、後編で書こうと思います。

お互い、それぞれのペースで。

(後編へつづく)
https://note.com/golf_revolution/n/nfee6f1f7f7be


▶ この身体で探した、できるゴルフ。「チョイ不満足ゴルフ入門」 https://www.instagram.com/p/DW3OZSeiet8/?img_index=1




いいなと思ったら応援しよう!

五体チョイ不満足ゴルファーのUです 白ティーから、まだ見ぬスコアを狙っています。いただいたチップは、その一打に全振りさせていただきます。