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漫画家アシスタント物語 第4章〈7〉 ギャグ漫画で調子良く

 
初めての方は「 第1章」「マガジン:第1+2章」(無料)がお薦めです!
 
 
 
《 画像上:1985年に描いたギャグ漫画「グワッキ」。投稿前に没! 》
             < この4章〈7〉は、文庫本約17ページ分 >      
    
 


              その38
 
 
1985年から1986年にかけて漫画制作に本腰を入れた私ですが、同時に夢中になったものにコンピューターゲームがあります。 この当時はまだ画質も悪く内容も単純だった任天堂のファミコンです‥‥。
 
私は特にプロレスゲームや麻雀ゲーム、そしてシューティングゲームなどが好きでした‥‥もしこれらのゲームにはまり込んでいたら‥‥‥‥ 漫画デビューする時期が大幅に遅れていたかデビューさえ出来ないで終わっていたかもしれません‥‥‥‥
 
テレビゲーム恐るべしです‥‥。 しかし、私にとって幸か不幸か当時のゲームは種類も少なく単純だったために私はすぐに飽きてしまったのです。 つまり漫画制作には、たいして影響を与えなかったわけです‥‥。
 
もし後3年遅れたら‥‥リアルなシュミレーションや幻想的なRPGなどが登場する時代に入っていたら‥‥どうなっていたか‥‥‥‥

ひょっとしたら漫画自体をやめてゲームデザイナーを目指していたかもしれません‥‥( 年齢的に無理だったかもしれませんが )
 
ゲームが話題になっていたとはいえ、当時はまだおもちゃ屋さんと家電量販店などでだけ売っている程度、子供の「 お遊び 」だったのです。 

まだ、漫画が全盛時代( 週刊漫画誌400万部時代 )を謳歌していました。
( 10年後に漫画全体の売り上げが激減してしまうなどとは誰一人予想していませんでした! )
 
 
1985年の晩秋、私の暮らす下宿の居間にあるテレビのわきのファミコンと4,5本のソフトにほこりが溜まってきます‥‥。そんな事も忘れて机に向かいモクモクとペンを走らせます‥‥。
 
少年誌、青年誌、それぞれの新人賞に応募するための作品制作に熱中してました‥‥。 少年誌用のアクション物。青年誌用のSFとペーソスギャグ。
 
まず始めに取りかかったのは‥‥ 少年誌で新人大賞を取るためのアクション物‥‥。 主人公は、小学生。なぜか武道の達人。 ものすごく強い! ヤクザの組長襲名披露会場へ殴り込んで、組員全員をブチのめしてしまうというムチャクチャなストーリーです‥‥。
 
よほどのバカでもない限り考えつかない様なストーリーです!
 
すでに結果は見えていますが、不思議な事に漫画を描いている当人というのは、作品の欠点が全然見えない。 完全に勢いにノッている! 自信に満ちあふれている!
 
ゴムボートで太平洋を横断できると信じて東京湾へパンツ一丁で出かける様なものです‥‥‥‥ しかし笑うなかれ、この姿こそ漫画青年の悲しい現実なのであります。
 
この時の私が最も思考した事は‥‥少年誌で大賞を取った後で連載を持って、どれくらい長くそれを維持出来るかという「問題」でした‥‥!
 
『 少なくとも半年は続けたいなぁ。 出来れば1年以上‥‥。 2年以上ってのは、やっぱ難しいか‥‥ 欲をかくのは良くないしぃ‥‥なんてネ‥‥フフフ 』
 
まず、主人公のアクションのための資料を買いに出かける。「 必殺、極真空手 」「 柔道入門 」「 ボクシング教室 」「 中国拳法アチョーッ 」‥‥等々。

‥‥本気です!
 
深夜、ペンを握る手に汗がにじむ‥‥ 主人公( 小学生 )がヤクザの顔面に跳び蹴りを入れる‥‥
 
『 とぉ~りゃ~あああ~っ 』
 
『 バギイイイ~ッ 』
 
などと一人でうめきながら‥‥‥‥
 

 


1985年から暮らした加藤さん方の下宿があった所。今は小さなマンションになっています。


              その39
 
 
安部譲二氏(当時49歳)の「 塀の中の懲りない面々 」( 86年、文芸春秋 )がベストセラーになっていた頃に、私は一人の小学生が広域暴力団組織を壊滅するというバカ丸出しの作品を描いていました。
 
安部氏と私は年齢差が18歳違いますが、氏との才能の差は18光年ほど開いていました‥‥それが「 現実 」でした。 しかし、幸か不幸か私の様な漫画青年の辞書に「 現実 」と言う文字は無かったのです‥‥。
 
1985年30歳。この珍作「 グワッキ 」( 当時の私は世紀の傑作だと自負していました! )を制作。 2ヶ月ほどで完成‥‥! 

苦労した所はほとんど無く、小学生の主人公が大柄なヤクザをブチのめしていく所だけ、格闘技の写真資料を参考にしたのですが‥‥ 小さな子供とヤクザの体格とのバランスに少し苦労したぐらいでしょうか‥‥。
 
とにかく、早く勢い良くサッサと完成させる事ができました‥‥これは秋山プロの先輩マツさん( 仮名:松村 祐樹、広島出身、当時32歳 )を意識していたからかもしれませんが、当時( 30歳 )のスピードは、今の自分( 2007年52歳! )の鈍重さとは比較にならないほどパワフルでした‥‥!
 
絵柄はギャグタッチですからかなり早く描けたわけです。しいて言えば背景の方により多くの時間を費やしました。 勢いがありますから、今見てもスピード感と躍動感が( だけは )あります。 
 
これでもう少年誌の漫画大賞を受賞したつもりでいたのですが( いつもの調子で! )、その高揚感は作品を完成してから3日と持ちませんでした‥‥!
 
スクリーントーンをはり、ホワイトを入れて完成! 20ページ以上の漫画を一本完成させたのは随分と久しぶりの事でした‥‥ 前回の作品「 MASK BOY 」から4年の歳月が流れていました‥‥。
 
「 グワッキ 」には、「 MASK BOY 」の様な暗さがありません! 陰気な性格だった私は、この4年間で少しは人格的な成長があったのかどうか‥‥ とにかく「 明るさ 」と「 勢い 」を手に入れ、苦節4年(!)のはてに、技術と演出力の修練が一面の桜のごとく開花したのです‥‥‥‥
 
‥‥と、書ければカッコイイのですが‥‥その実態は‥‥‥‥ 
 
完成原稿を手に「 人生の完全勝利 」を確信していた私の前には‥‥雑誌の編集員や読者の評価以前に‥‥ジョージ秋山という高いハードル( 断崖絶壁? )が待ち構えていたわけで‥‥‥‥
 
「 俺ぃはよぉ‥‥ 死んでやるぜぇ~っ! こんな作品が賞取ったらよおおおっ! 」
 
私はジョージ先生の下で23歳から30歳まで、7年間勤めてきていました。 特にこの4年間は先生の教えに従うべく( いい加減ではありましたが )読書とデッサン、映画とエッチの日々に身を捧げ‥‥‥‥ 
 
その結果が‥‥‥‥( ジョージ先生はいつもの様に低く小さな声で‥‥ )
 
「 何んでぃ~ガキがヤクザに勝てんの? おめぃ~は何考えてっだよ~っ! 漫画をなめんじゃねぃ~っ! 」
「 ‥‥‥‥‥‥ 」
 
真っ暗闇の中でジョージ先生の声が遠ぉ~くの方で聞こえる‥‥‥‥
 
 
  漫画家アシスタント物語、血の教訓
『 巨大な怪物を気合だけで吹き飛ばす老人‥‥ 数万光年を数秒で移動する宇宙船‥‥百万の敵にただ一人で挑む英雄‥‥漫画家は神のごとくヒーローを創造するが、読者の一言‥‥「 何これ? 」で、チンカスのように吹き飛ばされてしまう‥‥数万光年のかなたへ‥‥! 
 
 
 
 「その40」より‥‥
ギャグ漫画「グワッキ」の結果は、ギャグ漫画のように‥‥

  

有料部分は、単行本10ページ分です。コーヒーやおやつなどを楽しみながら、ごゆっくりどうぞ!

 
 
 

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