漫画家アシスタント物語 第3章〈7〉 便所掃除で心機一転?
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《 画像上:1979年頃、遅刻ばかりする私を背中を向けたまま叱責する 》
< この3章〈7〉は、文庫本約17ページ分 >
その36
1979年の冬、万年遅刻男の私は、ジョージ先生の怒りの洗礼を受けたわけです・・・・・・。
その後、ずいぶん時間が経ってから先輩アシスタントに・・・・・・
「 小池君‥‥ あの頃、先生は小池君をクビにしようかどうしようか迷ってたらしいよ・・・・・・・」
つまり私は、まさに首の皮一枚を残して助かったわけです・・・・・・。
遅刻ぐせ、不眠、中途半端な人生・・・・・ 自己嫌悪と自信喪失の毎日・・・・・・
20歳代の上昇志向は、自己改革への強い欲求を生むものですが、私も例外ではなく自分の暗さや無気力な性格から脱却したいと思っていました。
ジョージ先生と話し合っていて、よく言われたのが、
「 明るくなれ 」( 何度も、何度も、私の顔を見るたびに言われました )
そして、私の漫画に対する芸術的な憧れや小難しい理屈を全否定しつつ・・・・
「 漫画はエンターティメントだぜ! 」と・・・・
さらに、暗く黙り込んでいる私に・・・・・
「 おみぃ~は、コツコツ暗い世界を下に向かって穴を掘っている様なモンだぜ・・・・ その内、下からガスが噴出して‥‥おみぃ~はガスを吸ってくたばる! 」
先生は、薄笑いを浮かべて私の顔をのぞき込む。 最後に声を大きくしてキッパリと・・・・
「 上を見ンかい、上を! でっかい空を! 明るい世界があるんだぜっ!」
まったくその通りだし、反抗するつもりもなかったのですが、ただどうすればいいのか・・・・・・?
具体的にどうすれば良いのか・・・・・・
まったく、チンプンカンプンだったわけです。
とにかく、積極的に何かしなくてはいけない・・・・・・行動を起こさなくてはダメだ・・・・・・ この頃から・・・・・・
暗いエゴの泥沼を進みながら、少しだけ‥‥スタートラインが見えて来ていました・・・・・。
1979年( 24歳 )頃の私はまだ同人誌に関わっていました。
ジョージ先生からは『 同人誌なんか辞めちめぇ~! 』と、バカにされていましたが・・・・。
しかし、辞める事にためらっていました。
ささやかに自分の漫画を発表できる場を失いたくなかったのです・・・・ ( それに、同人誌で女の子と知り合う機会を失いたくなかった )
自分の意識を変える・・・・ 自己改革・・・・・
その機会はユミさんが秋山プロを辞めた時にやって来ました・・・。
その頃は、まだハッキリとは意識していませんでしたが・・・・ 今から思い起こすとまさに、この時、この機会に、自分の中でなにかが変わりました。
この事は次回に・・・・・・・・・。

その37
ユミさんが秋山プロにいた時は、仕事場の雑用は全て彼女がこなしていました・・・・・・掃除、買い物、電話番・・・・・。
しかし、ユミさんが辞めるとこれらの雑用を新しく入ったA君がやらされる事になりました・・・・。
私は自分を変えたい、積極的に何かやりたいと思っていましたので、トイレ掃除を自分から申し出ました、
「 先生、トイレ掃除をやらせて下さい! 」と・・・・・。
ジョージ先生は冗談半分で・・・・・・
「 困ったにぃ・・・・オリがやろうと思ってたんだよなぁ・・・・・・・ 」
「 え~? 」
「 おみぃ~に取られちゃうのか・・・・・まあ・・・・・いいか・・・・・ 」
妙な会話ですが、私はこうしてトイレ掃除係りになったわけです・・・・・。
1~2年の修行のつもりで・・・・・・ そう・・・精神修行のつもりで自分から進んでトイレ掃除をする・・・・・・。
この事が自分という人間を変える大きな一歩になりました・・・・・
たぶん・・・・・
・・・・しかし・・・・・・・ 私の目論見はあくまで、1~2年の修行・・・・そして・・・・華々しく漫画家デビューする・・・・・・ という甘いものでした。
まさか‥‥30年以上も秋山プロの便器を雑巾がけすることになろうとは・・・・・・ この時は想像だにしていませんでした・・・・・。
この頃から私は同人誌に見切りをつけ、デビューのために商業誌向けの本格的な漫画制作に入ります。
不思議と遅刻の回数も減っていきました。
「 明るく 」なる事を目指す事が、不眠に苦しむ時間も減らしていきますが、こうした生理的変化は、とてもゆっくりしたもので、ハッキリとその変化を自覚できるまでには2~3年かかりました。
漫画を趣味的な夢ととらえて、中途半端な「 芸術 」表現と気取っていた事から・・・・・・ 商業主義の世界へ、その方向性を大きく変える・・・・・
この事が、それまでのマンガの画風さえ完全に変えて行きます。
秋山プロに入る前にいた、村野守美先生の所で受けた背景画法をそのまま未熟な画力で実験していました。 私は、その誤りにもようやく気づき・・・・先輩たちの背景画法から学ぶべきは学ぶ姿勢をとるようになりました。
次回は、具体的なアシスタントの背景画法について、書いてみたいと思います。
「その38」より‥‥
アシスタントの作画へのこだわり。新年会でテラさんが先生に激怒!

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漫画家アシスタント物語 第3章
そして・・・ 鬼才ジョージ秋山の弟子に、また馬鹿が加わる! 全7本、40話! ・・・・ごゆっくり、お楽しみください!
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