漫画家アシスタント物語 諦めま章〈4〉 葬儀場で遺族から怒られる!
《 写真上: 秋山プロのボーリング大会、吉さんも長さんも一緒に、'90年 》
< この諦めま章〈4〉は、文庫本約9ページ分 >
「諦めま章」は、独立した「章」ですので、「第9章」の続きではありません。 ほとんどは、雑多な回想ですが、一部連続していますので、やはり、この「諦めま章〈1〉」からお読みになる事をお勧めいたします。
それから‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その7
《 漫画家アシスタントが・・・お通夜のコーヒーを飲む・・・ 》
戦場で戦う兵士というものは、同じ戦場で戦った者( 味方 )がたとえ誰であろうとも、まるで兄弟かそれ以上に親しい関係になるそうです。
それほどではないにしても、10年以上も漫画家を目指して同じ釜の飯を食い、同じように漫画を描いて出版社へ投稿し、毎日、顔を合わせて仕事をしている者同士を「 仲間 」と呼べないなら、それは、一体何ンなのでしょうか‥‥‥‥
私は、吉さんが亡くなったのを知ったその日のうちに、秋山プロを去った私の知る全てのスタッフに連絡しました。
1970年代に一緒に仕事をした先輩たちのショックが大きかったのはもちろんですが、それ以外にも吉さんの後輩として仕事を一緒にした人もみなガックリと落ち込んだのではないかと思います。
私が連絡した先輩の中には長さんもいました‥‥‥‥‥‥
「 5ヶ月ほど前から入院していて‥‥‥‥ 」
吉さんが亡くなった事をどう話したかは、よく覚えていませんが‥‥‥・ ただ、長さんがとても驚いていた事が印象に残っています‥‥‥‥
お通夜とか告別式とか、その日程などについて話すと‥‥ 長さんは即座に‥‥‥‥
「 行くよ! 是非、行かせてもらうよ! 」
私は、吉さんが長さんの事をよく思っていない事や、「 地下駐車場での事 」「 無言電話の事 」なども頭に浮かんだのですが‥‥‥‥( もちろん、長さんには何も知らせてはいません )
それらの事は、単純な吉さんの誤解に過ぎない事だし、そんな些細な事よりも「 仲間 」としての最後の別れの方が重要だと考えたのです。
これだけは、ハッキリしておきたいのですが‥‥‥‥ 長さんにとって吉さんは、秋山プロの先輩であり同じ志をもった仲間以外の何者でもないという事です。
2009年、11月21日‥‥‥‥
郷里の岡山に暮らすリョウさんから「 香典 」の入った書留郵便が届きました。 事情があってリョウさんはお通夜に出席出来ないため‥‥ 翌日、私が代わりに荒川区M町でのお通夜会場に届ける事になりました。
お通夜の夜‥‥‥‥ 喫茶店で落ち合う約束をした往年のスタッフが集まって来ます‥‥‥‥
滅多に顔を揃える事もないメンバーが黒い喪服に身を固めて味のないコーヒーをすすりながら黙っています‥‥‥‥
結局、一口もコーヒーをすすらなかった一番先輩格のガンさん‥‥‥‥
19歳で秋山プロに入った時、先輩に怒られていた16歳の吉さんをかばって以来、ずっと仲が良かったのです。
余談ですが、この怒った先輩も、この後仲直りして、3人が30年以上も友情を育みます。
ガンさんが時計を見ながら‥‥‥‥
「 そろそろ行こうか‥‥ 」
夜のM町の葬儀場には、何組ものお通夜が行われていました‥‥ 白い大きな提灯をいくつも通り過ぎながら、せわしなく行き交う会葬者の中をかき分けて吉さんの式場へ‥‥‥‥
遺影の中の吉さんは、嬉しそうに笑っています‥‥‥‥ これほど明るく幸せそうに笑う吉さんを初めて見ました。( 愛する家族に囲まれ、幸せいっぱいだった姿を思い出します )
何十年ぶりかで揃ったスタッフやジョージ先生を、吉さんは笑顔で迎えてくれている‥‥‥‥ そんな感じで‥‥‥‥
この時、私が犯す最大の過ちが‥‥‥‥ 頭の中にひらめいてしまいます‥‥‥‥‥‥
『 ご家族と先生とスタッフ全員で、吉さん( 遺影 )を中心にして写真を撮ったらどうだろう‥‥‥‥? 』
吉さんの笑う遺影を見ながらそんな事をボンヤリと考えながら‥‥‥‥
『 明日の告別式の日に、ちょっと( 吉さんの )奥さんに話してみようかな‥‥ 』
翌日の告別式はお昼頃からだったと思います。 私は黒いコートのポケットに小さなデジカメを入れて葬儀場へ向かったのですが‥‥‥‥
この日の出来事の前哨戦はすでに私の知らない所で始まっていたのです‥‥‥‥
「 明日も来るよ 」‥‥‥‥ そう言っていた長さんが翌日の告別式に来ていませんでした。
この時、私は全然知らなかったのですが‥‥‥‥ お通夜の日に誰かが( スタッフ以外の人物 )長さんに例の「 地下駐車場 」の件などを話したのです。
‥‥‥‥それは、吉さんが長さんを嫌っていた事や、色々な長さんの陰口だったのではないかと思います
‥‥‥‥あらぬ濡れ衣や中傷を受けて、傷ついたであろう長さんの気持ちを考えると‥‥‥‥ 申し訳ない事をしてしまったと‥‥‥‥‥‥
私もアシスタント全員も‥‥‥‥ 吉さんの話をただの冗談か幼稚な誤解とバカにしていたのですから、話題にする事もありませんでしたが‥‥‥‥ それは、甘い判断でした。
まさか、吉さんが第三者( 仕事とは関係のない家族や友人・知人たち! )にまである事ない事喋っていたとは、想像もしませんでした‥‥‥‥!!

その8
《 漫画家アシスタントが・・・面罵される!? 》
最後の別れにお通夜の席にやって来た長さんに悪意のあろうはずもありません。
その長さんが参列者の一人から吉さんの言っていた悪口を聞いた時の驚きやショックを思うと私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
つい最近‥‥ 2ヶ月ほど前‥‥‥‥
吉さんの葬儀から3年近く経ってから‥‥‥‥
長さんがお通夜の時の事を思い出して、こんな事を話してくれました‥‥‥‥
「 お通夜に行った時に、○さん( 吉さんの奥さん )が変な顔をしていたんだよなぁ‥‥ 」
長さんは、ちょっと首を横に傾けながら‥‥‥‥
「 『 何ンで貴方が‥‥? 』ってな感じで‥‥‥‥ 後でその理由が分かったけどさぁ‥‥‥‥ まいったよなぁ! 」
そう言って、薄くなった頭に手をやりながら苦笑いしていました。
3年前の秋( 2009年11月 )‥‥‥‥
お通夜の翌日が告別式‥‥‥‥
私は、お通夜の日に見た吉さんの遺影を中心にして、その周りに集う家族やジョージ先生やスタッフ一同( みんな随分と老けました‥‥全員50~60歳! )の記念写真を撮るべく、黒いコートのポケットに小さなデジカメを持って出かけます‥‥
一度、会場の待合室で一枚‥‥ 元スタッフの一人を試し撮りし、式( 僧侶の読経、焼香 )が終わるのを待ちます。
「 それでは、皆様、おニ階にお部屋をご用意してございますので‥‥ 」
係員にそう促された時、丁度良いタイミングだと思った私は、吉さんの奥さんに向かって歩き出したのです‥‥
私は‥‥‥‥
「 吉さんの祭壇の写真を真ん中にしてスタッフや先生や皆さんと一緒に写真を撮りたいと‥‥ 」
‥‥そう言おうとした瞬間‥‥‥‥!
ガタッ ガタ‥‥‥・
葬儀場の係員たちがあわただしく祭壇を片付け始めてしまったのです‥‥‥‥
「 あの‥‥ 」
‥‥と、奥さんに声をかけた私は茫然と彼女の背後にある祭壇が解体されていく‥‥ それを横目に見ながら‥‥‥‥
「 ‥‥‥‥‥‥‥‥! 」
一瞬、言葉を失います‥‥
『 ま‥‥ 待ってくれ‥‥! 』
‥‥そう思っても、ど~にもなりません。
奥さんは、私の顔を不思議そうに見つめます‥‥‥‥
『 何かしら‥‥‥‥? 』
‥‥といった感じに‥‥‥‥
ガタガタッ‥‥‥‥( 祭壇の花飾も片づけられる )
『 写真は‥‥ あああっ‥‥ 』
あわてた私は‥‥ もう写真の事しか頭にない‥‥‥‥
「 しゃ‥‥ 写真を‥‥‥‥ 」
数人の係員が祭壇上の燈明や写真を片付け続けている‥‥‥‥
ガタガタガタッ ガタガタッ‥‥‥‥
「‥‥と‥‥ 撮りたいんですが‥‥‥‥ 」
私の言葉に、彼女の顔色が変わります‥‥‥‥!
「 写真は止めて下さい! 」
大きな声でキッパリと‥‥‥‥ 私をにらみつける様にして‥‥‥‥
「 ブログの方も‥‥! 」
私は、ただ『 ブログ 』という言葉がなぜ、こんな所で出てくるのかサッパリわからない‥‥‥‥
私は彼女の怒りに恐怖すら感じながらただ呆然と立ち尽くし‥‥‥‥
「 ‥‥‥‥私は怒りますよ! 」
‥‥という最後の一言に平手打ちでもくらったような衝撃を受けていました‥‥‥‥ 周りの遺族の人たちも驚いているようでした‥‥‥‥( 他のスタッフや先生は、控え室に移動していたので、この事は知りません )
きっと、私のブログを前々から嫌っていたのか‥‥ もしくは、長さんを呼んだ事か‥‥ 何か訳があったのかも知れません‥‥‥‥
打ちのめされた私は、すぐにでもその場を去りたい心境でしたが‥‥‥‥ 返って迷惑になるかと黙ったまま葬儀の終了まで固まっていました‥‥‥‥
正直な話‥‥‥‥
『 長さんも来てないし‥‥ オレも来なきゃ良かったなぁ‥‥‥‥ 』
などと考え続けていたのです‥‥‥‥
さて、話がここで終わっていたなら‥‥‥‥ ブログで書くほどの事でもなかったかもしれないのですが‥‥‥‥( また、吉さんの奥さんの言葉もありますし )
これだけの話なら、ブログにアップする事はなかったはずです‥‥‥‥
しかし‥‥‥‥
この葬儀場での出来事の数日後に‥‥‥‥‥‥
私にとって、致命的なダメージを受ける事になります‥‥‥‥( 黙っているわけにもいかなくなりました‥‥ )
葬儀が終わってから‥‥‥‥ そんな事が起こるとは、まったく想像もしていませんでした‥‥‥‥‥‥
まるで‥‥‥‥
『 蜂の一刺し 』
‥‥‥‥みたいな
想像もしなった‥‥
まさかの一撃です!
「 漫画家アシスタント物語 諦めま章〈5〉」へつづく・・・・
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