漫画家アシスタント物語 第6章 〈7〉 寺から警察、そして入院!
初めての方は、「漫画家アシスタント物語 第1章」(無料)がお薦めです。
または、「マガジン:第1章、第2章」(無料)でも読みやすいです、はい!
《 写真上:2009年、新大久保駅から少し歩いた所にある住宅街です 》
< この6章〈7〉は、文庫本約20ページ分 >
その31
「 沢井さん。この『 長州力 』とは行動派政治勢力の意味なんだ、だからこの記事は、クーデターの決行を‥‥ 」
リョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、秋山プロ勤続14年目、88年当時33歳 )は、友人の沢井さん( 仮名、沢井晋一、リョウさんより1つ上の34歳 、写真家 )に新聞のテレビ欄を指さしながら話しかけますが‥‥
その内容を理解できない( 当然か‥‥ )沢井さんは、しだいに苦痛を感じ始めるのでした‥‥
「 リョウちゃん、何言ってんだか全然わかんね~よ 」
「 日本の産軍複合体は明治維新の‥‥‥‥ 」
「 オレは、政治の話は嫌いなんだ! 」
「 ‥‥‥‥ 」
沢井さんは、イライラしながらリョウさんを無視し、野球中継のボリュームを上げます‥‥
「 沢井さん。この『 維新軍 』という言葉が‥‥ 軍事行動を起こす部隊を意味していて‥‥ 」
「 ‥‥そろそろ替え時かなぁ‥‥‥‥ 」
沢井さんは、ソファで腕を組みます‥‥
「 天皇をどう思います‥‥? 日本が大変な事になる‥‥! 」
「 ‥‥歩かせるなよぉ‥‥‥‥ 」
「 沢井さん‥‥ 」
沢井さんは、リョウさんの方を見向きもせず、うなずきもせずにテレビを見続けている‥‥ 「 帰ってくれ 」と言わぬばかりに!
テレビの「 野球中継 」ではなく、この時のリョウさんの「 言葉 」を冷静に聞いていれば‥‥ リョウさんの思考に異常がある事を理解出来たかも知れない‥‥
そして、対話の如何によっては早期に治療を受けるチャンスがあったかも知れないのに‥‥‥‥
しかし‥‥
リョウさんは、自分の話をまったく聞いてくれない沢井さんの部屋を後にします‥‥
「じゃ‥‥」と、一言だけ簡単な挨拶を残して‥‥‥‥。
リョウさんが京都旅行から帰って秋山プロの仕事を早退した翌日‥‥
新宿アルタ前の公衆電話からジョージ先生に奇妙な電話をかけた時から、秋山プロとは、まったく連絡をとっていません。
リョウさんは、椎名町にある自分の下宿にもほとんど帰らず、新宿や高田馬場辺りを歩き回り、タクシーに乗って京都へ行こうとしたり、マンションの屋上から警察に連行されたりしたわけです。( 前回までに書いた通りです )
さて、新大久保の沢井さんのマンションを後にしたリョウさんは、高田馬場と目白の間‥‥ 目白台の坂道近くにある小さな古い木造モルタルアパートを訪ねていました。
そこには、リョウさんと特に親しかった友人の葛西新吾さん( 仮名、山口県出身、当時リョウさんより3つ年上の36歳 )が住んでいました。
葛西さんは、映画のシナリオライターを志望している人物で、昼間は食品関係の工場でアルバイトをして生計を立てていました。
以前、「 第6章その7 」でリョウさんが好きだった椎名町のスナック「 K 」のママさんの事を書きましたが、そのママさんへの想いを相談していたのが、この葛西さんでした。
そして、リョウさんは、葛西さんのアパートに行って話し込みます。 6畳一間の小さなアパート。 時刻は、深夜‥‥‥‥
埃をかぶった古い蛍光灯の青白い光に浮かぶリョウさん‥‥‥‥
少し話し始めた時‥‥ 葛西さんは、リョウさんがいつものリョウさんではなく‥‥ 何かに取り付かれた様な異様な雰囲気がある事に気付くのです‥‥
それは‥‥ 葛西さんをゾッとさせる程鋭い目つきと、クルクルと人格を変えながらしゃべり続ける不気味な姿でした‥‥‥‥
『 リョウちゃん、変だよ‥‥ 』
「その32」より‥‥
龍馬との放浪も‥‥ いよいよ終わる時が来ます!

ここから先は

漫画家アシスタント物語 第6章
誠実にまんが道を真一文字に突き進んだ男が・・・・・たどり着いたのは自分の夢の世界なのか? 過酷な現実だったのか?
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!
