漫画家アシスタント物語 第6章 〈5〉 東京はもう危ない!
初めての方は、「漫画家アシスタント物語 第1章」(無料)がお薦めです!
または、「マガジン:第1章、第2章」(無料)も読みやすいと思います!
《 画像上:2000年前後にリョウさんが描いた坂本龍馬のイラスト 》
< この6章〈5〉は、文庫本約14ページ分 >
その21
自分の身内や友人が精神病にかかったら、すぐに専門医に行く事を勧めるか、付き添ってやる事が大事だと思います。
早期に治療を始めていれば、重い症状に発展したりする事もなく、本人の苦痛も少なくて済む場合が多いわけです。
「 何の心配もいらないよ‥‥ 誰だって、調子が悪い時に医者に行くのは当たり前だよ‥‥ 診察だけしてもらって良い薬を貰えば、きっと楽になる‥‥ 一緒に行ってあげるよ‥‥ 」
そう、言ってくれる人がそばにいたら‥‥
しかし‥‥ リョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、秋山プロ勤続14年目、88年当時33歳 )は孤独でした‥‥‥‥
秋山プロを早退し、仕事を休んでいる間にその症状を悪化させてしまいます。
1988年、9月‥‥
リョウさんが、秋山プロを早退した日から2日目‥‥
テラさん( 博多市出身、88年当時、36歳 )とマツさん( 広島県出身、88年当時、34歳 )がリョウさんの下宿を2度、3度と訪れていました。
その度にドアを強くノックするのですが‥‥ リョウさんは留守だったのです‥‥
そこで、何か知っているかもしれない‥‥と、階下の大家さんを訪ねます‥‥ しかし、ここも返事がありませんでした。
ドンドンドンッ!
電気のメーターが動いているのを確認しつつマツさんは大家さんのドアをしつこく叩きます‥‥
すると、内鍵がはずれ、チェーンロックされたドアがゆっくり開きました‥‥ 暗いドアの奥から大家さんの目がジッとこちらをにらんでいます‥‥。
実は、下宿の大家さんは、マツさんたちが何度も訪ねて来ていた事を知っていました。しつこくリョウさんの部屋のドアを叩く音‥‥ そして、自分の所のドアを叩く音‥‥
『 誰かしら‥‥? 借金取りかしら‥‥? ヤクザかしら‥‥? 怖いわぁ‥‥ 』
大家さんはドアを開けかねていたのです。
『 早く行っちゃえばいいのに‥‥ 関わりたくないわ‥‥ 』
そう思ってジッと息を殺していたわけです‥‥。
しかし、マツさんたちの執拗なノック攻撃に負けてチェーンロックしたドアを数センチ開いたのです。
マツさんたちは、自分たちがリョウさんの職場の同僚で、心配して訪ねて来た事、リョウさんを捜している事を説明します。 しかし、この大家さんが行方を知っているはずもありません‥‥。
仕方なく、リョウさんが帰って来たら連絡してもらう様に頼んで2人はリョウさんの下宿を後にします‥‥。
この時、リョウさんは、新宿や高田馬場辺りを歩き回っていたのです。
『 黒い鞄を持った男たちに監視されている‥‥ 』
『 謎の宗教集団に狙われている‥‥ 』
『 右翼の政治組織に拉致される‥‥ 』
後から後から湧いてくる不安な疑念に囚われてしまいます。
客観的に「 常識的に、それはあり得ない事だ 」と、判断するバランスが欠け、思い浮かぶ一つの想念に支配されてしまう‥‥。
頭の中で想像したイメージや音を実感的に感じるほど‥‥ その主観的な感覚が暴走しているのです‥‥。
リョウさんは、精神病( 統合失調症と思われます‥‥ )の初期( 前触れ )から、本人の自覚もないま‥‥ その病状を進行させていたのです‥‥
「その22」より‥‥
リョウさんは京都へ行くためにタクシーを拾うのですが‥‥‥‥

ここから先は

漫画家アシスタント物語 第6章
誠実にまんが道を真一文字に突き進んだ男が・・・・・たどり着いたのは自分の夢の世界なのか? 過酷な現実だったのか?
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!
