漫画家アシスタント物語 第8章 〈8〉 立小便とシャブの取引!
《写真上: お店があった池袋、北口近くの商店街。夜遅くなっても人通りのあるレンガ道。何気ないスナップですが、 その筋の人に注意しつつ撮影!》
< この8章〈8〉は、文庫本約9ページ分 >
「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
ただし‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その15
《 漫画家アシスタントが・・・身を潜めて聞き耳を立てる! 》
アンドレ・ギャニオン、エンヤ、サラ・ブライトマン‥‥ お店で流すBGMは、どれも私が好きなゆったりとした曲調の音楽が多かったのです‥‥
「 眠たくなっちゃうから‥‥ もっと違う曲を‥‥! 」
‥‥と、よくマッサージ師の女性軍からリクエストがありましたが‥‥ 決してアップテンポな曲( お客さんが寛げない )は使用しませんでした。
夜の9時頃に漫画家アシスタントの仕事が終わると、すぐに帰ってお店を手伝う毎日でしたが‥‥ 休日の土曜日だけは、終日( お昼12時~夜11時 )、お店番を手伝いました。( 主に電話番 )
いつもは、ママさん一人が電話番から接客まで、全ての雑用をこなすのですが、土曜日だけは、私がその半分を手伝うわけです。
畳一枚分ほどのスペース( 窓際の縁側 )にカーペットを敷き、そこへ、ステレオシステムとファックス電話を置いた机( 折り畳み式の小さな机 )をセットしてお客さんからの電話を待つのです。
平均すると1時間に一人位の来客、そして電話は3~4本‥‥ ですので、時間だけはいっぱいありました。 そこで、よく本を読んだり漫画のストーリーを考えたりしたものです。
特に、ブログ「 漫画家アシスタント物語 」の原稿は、半分以上がこの土曜日の店番の時に書かれたものです。
つまり、「 漫画家アシスタント物語 」の「 第1章 その1 」から「 第6章 」の半ばまでは、お店の従業員室の奥にある小さなスペースで私が背中を丸めながらコツコツとボールペンを走らせたわけです。
ちなみに、私はお店を開く少し前( 2003年12月まで )、PCにはまるで興味がありませんでした。
‥‥実は、お店の宣伝のために、どうしてもPCが必要になったためにキーボードを人差し指で恐る恐るいじりだしたのです。
それから( 開店から )半年ほど‥‥ やっとPCにも慣れた頃にこのブログを書き始めました。
ですから、このマッサージ店を開かなければ、このブログ「 漫画家アシスタント物語 」は存在しなかったかもしれません。
以前、ブログにも書いた事ですが‥‥ 「 サイコホスピダー 」( ※参照 )が出版された時に、関係者から予想外の大不評を買い‥‥ すっかり落ち込んで毎日、ゲームばかりしていたのです‥‥
プレイステーションなどのゲーム機には大変な愛着があっても、PCにはまったく興味がありませんでした‥‥
「 パソコンなんて何の役にも立たないただの箱! 」
「 あんなもんに金出す奴の気が知れない! 」
そんな私が‥‥ マッサージ店を開いた日からすっかり変わりました‥‥ いや、変わらざるを得なかったわけです。
実際、PCによるネット広告が集客の大きな力になった事は、これまで書いてきました通りです。
ところで、お店のBGMには、タイの民族音楽( キックボクシングの時のタイ人選手の踊りの音楽! )もよく使ったのですが、意外とタイ人マッサージ師たちには不評でした‥‥
「 全然、つまらない! 」
「 飽きる! 」
‥‥など‥‥せっかく手に入れたCDも、すぐに使用できなくなり‥‥ 代わりにスタンダード( フランク・シナトラ、ナット・キングコール‥‥ )や穏やか音楽( ケニーG、エンヤ、ヴァンゲリス‥‥ )を選曲しました。
今でも、この一畳ほどのスペース( 店長個室 )にちぢこまっていた時の事をよく覚えています‥‥
小さな机の右側には窓があって、向かいのラブホテルのネオンの原色がまぶしかったり‥‥
たまにかかるお客さんからの電話にハッと笑顔になって飛びつくと‥‥
「 ヌキはありますか‥‥? 」
‥‥なんて電話だったり。
ある日の深夜‥‥‥‥ 閉店時間の11時に近づいた頃‥‥‥‥
人気の途絶えた‥‥ ラブホテル街‥‥‥‥
窓の向こうで二人の男が、このマンションの植え込みに‥‥‥‥ 連れション( 二人で並んで立小便 )をしている音が聞こえ‥‥‥‥
「 おい‥‥ やろうぜ‥‥ 」
ジャージャーという小便の音に混じって‥‥ 男が隣の男に何か‥‥ 話しかけている‥‥‥‥
私はカーテンの陰に身をひそめながら‥‥‥‥

その16
《 漫画家アシスタントが・・・喫茶店で接近遭遇する! 》
私がカーテンの陰で身を縮めながら聞いた二人の男の会話は‥‥
「 おい‥‥ やろうぜ‥‥ なぁ! 」
もう一方の男の声は聞こえない‥‥ あいまいな返事をしている様だ‥‥
「 シャブは一回で1000万から2000万の取引だ‥‥ すげぇ~よ! なぁ~っ やろうぜ~っ! 」
やはり、もう一方の男の声は聞こえない‥‥‥‥
二人の立ち小便が終わっても‥‥ まだ、しつこく「 シャブ取引 」に誘い込む話が続いている‥‥
この街( 東京、池袋 )に暮らしていると、いたる所でそのスジの人や、そのスジと関係のある人と接する事になるのです。
お店を開いてから2~3年した頃の事です‥‥ 私は、「 へいわ通り 」( ※参照 )という商店街を少し、川越街道方面に歩いた所にある喫茶店で不思議な会話を耳にした事があります‥‥‥‥
当時は喫茶店で、読書をしたり、このブログの原稿や漫画のシナリオを書いたりしている事が週に1~2回ありました。 さて、その会話は‥‥ 私が坐る席から、斜め向かいの中年男性が携帯電話にどなっている声でした‥‥
「 あれかぁ‥‥ ならあれしろよ! 分かってんだろ、それなら‥‥ あれするぞ‥‥ってよぉ! 」
固有名詞がまったく出てこない‥‥ ほとんどの言葉が代名詞だけの不思議な会話です‥‥ 男は中年太りの大柄な体格で五分刈り頭の引退した関取風、服装はノーネクタイのスーツ姿でドッカリと椅子に掛ける‥‥
本人は、周りの人間を意識しているからこそ、代名詞だけで会話しようと抑制しているのだと思うのですが‥‥ 声の大きさを抑える事が出来ないようで‥‥‥‥ 大勢いるお客さんの中でも特に目立っていました。
話の大筋は、どうも借金の取り立てを強迫的に行えという部下への指示(?)‥‥‥‥そんな感じの会話で‥‥‥‥
「 やるぞ‥‥ってよ! ‥‥あれだよ! あれっ! 出さねぇならあれだぞってっ! 」
普通の喫茶店( ※参照 )で、一人のお客さんが携帯電話を大声で使っていたら、お店の人に注意されると思いますが‥‥‥‥
この街では、この手の人に決して注意しないし、周りの人間も見て見ぬふりをするのが「 マナー 」になっているようです。
私がこの街のある居酒屋( ※参照 )でサンマ定食を食べていた時、そのスジの人の事を話すお客さんが居ました‥‥
中年の多重債務の商店主( 私の事ではない! )といった感じの酔客が店のマスターに話し掛けているのです‥‥
「 ヤクザにもイイ奴がいるよ‥‥ 本当だよ。 」
ヤクザの友人でもいるような話しぶり‥‥
「 でもね‥‥ 」
店に私しかいないのを確認する様に辺りを見回してから‥‥
「 ど~仕様もないンだよ、あいつらはっ! 」
少しづつ声のトーンが高くなって‥‥
「 結局‥‥『 何ンだぁ~この野郎っ! 』ってなっちゃう 」
店主は調理中、黙って聞いているだけ‥‥ その沈黙がなぜか不気味‥‥
「 イイ奴でも、結局‥‥ダメ。 同ンなじ‥‥ クズなンだよ! 」
どんな辛い思い出があるのか‥‥ 私には推し量る事も出来ません‥‥
私は、ただ‥‥ サンマの骨から身をはがしながら‥‥ 静かに聞いていました‥‥
例え‥‥ 売れない漫画でも、自分の机に向かって黙々と原稿に向かう‥‥‥‥ 漫画のこと以外何も知らない人生‥‥ それって‥‥ もったいない程の幸せなのかもしれない‥‥と‥‥‥‥
そんな事を‥‥ ほんの少しですが‥‥ 思ったりしたものです‥‥‥‥
「 漫画家アシスタント物語 第8章〈9〉」へつづく・・・・
「第8章〈7〉」へもどる‥‥
「もくじ」 へ‥‥
~~~ 参照 ・第8章〈8〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
【その15】
・「サイコホスピダー」 : 「〇魔の精神病棟」(栃木県の或る精神病院で1980年代に起きた患者への暴行、虐待、リンチ事件を暴露したノンフィクション手記)を原案にした漫画単行本。
【その16】
・へいわ通り : 池袋北口にある地味な商店街。商店といっても惣菜屋さんや八百屋さんなどが並ぶ賑やかさはない。赤ん坊や子供の姿は皆無。
・普通の喫茶店 : 珈琲専門のチェーン店。長いカウンターとBOX席が5~6席ある平凡な喫茶店。
・ある居酒屋 : 居酒屋というより下町の定食屋といった感じの庶民的な店。小さなカウンターと2つのテーブル席がある。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いいなと思ったら応援しよう!
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!