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漫画家アシスタント物語  第8章 〈9〉 障害のあるお客様も大歓迎!

 
《写真上: 池袋北口「へいわ通り」の路地ですが、一見すると普通の住宅街ですが‥‥夜になると雰囲気がすっかり変わり‥‥その18へ。2010年9月 》
                < この8章〈9〉は、文庫本約9ページ分 >

 

「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
 


               その17  
  
   《 漫画家アシスタントが・・・身体障害者を案内する! 》
 
 
身体障害者が出て来るドラマやドキュメンタリー番組のほとんどは、障害者を「 悪者 」として表現する事は少ない( 最近は、皆無 )と思います。
 
障害者への差別がない様に配慮されているのだと思いますが‥‥ 実際には、全ての人が「 善人 」だったり「 正直者 」であったりするわけがありません。
 
健常者とまったく同様に、ほとんどの人は「 善人 」なのですが、極々一部の人は‥‥ 困った人なわけです。
 
私が店番をやっている時に、耳の不自由なお客さんが来店した事がありました‥‥
 
私の言葉がまったく聞こえないだけではなく、このお客さんが喋る時にも障害があって‥‥ 少し、聞き取りにくかったのです。 でも、私は、スケッチブックを利用して、絵を描いたり、文字を書いたりして筆談しながら楽しく応対した事がありました。 

この時の、このお客さんの嬉しそうな顔を今でも忘れる事ができません。
そう‥‥ ほとんどのお客さんは‥‥ いい人ばかりでした‥‥‥‥
 
 
私がその‥‥ 問題の‥‥ お客さんを見たのは、2度目の来店時だったと思います‥‥‥‥( ここからは、設定など若干変更して書かせていただきます )
 
長髪の髪に少し白髪がまじる中年のそのお客さん( 一見すると内田裕也風 )はサングラスをかけていました。 ややメタボタイプで赤っぽい派手な格好をしている感じはデザイナーを想像させるのですが‥‥ 目が不自由なお客さんでした。
 
お店の玄関で白いステッキをあずかり、待合室の椅子に案内する時には、私が手を引いてあげたりしたものでした‥‥
 
マッサージを終えて、玄関でこのお客さんを見送る時‥‥ ドアを開け、マンションの廊下へ出るその時に‥‥
 
「 外まで、ご一緒に‥‥ 」
‥‥と、私は、外の通りまで付き添って行こうとしたのですが‥‥
 
「 大丈夫です 」
‥‥と、手で制されます。

私は、来店のお礼を言いながら、白いステッキをついて、廊下を一歩‥‥ 一歩‥‥ 歩いて行くお客さんを見送ったのでした。
 
嬉しい事に、このお客さんは一ヶ月に一度は来店してくれる常連さんになってくれました。
 
しかし‥‥‥‥ 担当するマッサージ師さんには評判が良くないのです‥‥‥‥
 
「 目付きが変デス! 」
「 だって、目が悪いんだから‥‥ 」
「 知ってるヨ、社長( ※参照 )。 でも変っ! ‥‥あの目! 」
「 そう、そう!」
「 あの目変ダッ!」
 
どうも、彼女たちの話によると‥‥ 通常、目の不自由な人の視線は、上の方を見たりしている事が多いのですが‥‥‥‥
 
このお客さんの視線は、マッサージ師のバストや下半身に吸い付いている様だと言うのです‥‥‥‥
 
しばらくして、さらに悪い評判が聞こえてきます‥‥‥‥
 
「 あのお客さん‥‥ Hですヨ、社長! 」
「 エ‥‥ エッチ~ィ? 」
「 こうやって‥‥ 胸、触るデス! 」( 正面からワシづかみする感じ )
「 ええ‥‥っ!? 」

驚く私に彼女は問いかけます‥‥
「 なんで~、胸が見えるデスカ? 」
「 ‥‥な‥‥何となく‥‥ 分かるんじゃ‥‥ ないの? 」
 
マッサージ師さんからの評判が悪くても、お客さんですから来店を断る事など出来ません‥‥‥‥
 
お触り好きなスケベ爺は、珍しくもないですので、ここはいつもの様に‥‥
 
「 不愉快な事があったら、ハッキリと断って下さい。注意しても不愉快な事を続けるような場合は大きな声を出したり、ママさんを呼んだりして下さい! 」
 
‥‥ってな、お決まりの注意事項をマッサージ師さんたちに話したりしたのですが‥‥‥‥
 
それからすぐ‥‥ 私も、このお客さんがまったく信用できなくなる‥‥ そんな光景を目撃する事になりました‥‥‥‥
 
 
ある朝の事‥‥
 
お店がある池袋北口の商店街「 へいわ通り 」( ※参照 )を歩いている時でした‥‥‥‥
 
通りの人混みの中を‥‥ 向こうから歩いてくる‥‥ 

あの人は‥‥‥‥
 
『 ‥‥目の不自由な‥‥ 常連さんだ‥‥! 』
 
私は、その姿を見て一瞬、ア然とします‥‥‥‥
 
『 ‥‥あれぇ? ‥‥今日は、サングラスをしてないなぁ‥‥‥‥ 』
 
目の見えない常連さんが、普通にスタスタと歩いて来る!
 
『 ス‥‥ ステッキも‥‥ 持って‥‥‥‥ない!? 』

いつもの白い杖もなしに人混みの中を歩いている‥‥‥‥!

『 ‥‥まさか‥‥ 目が治ったのか‥‥??? 』
 

 
 


トップ写真と同じ場所です。夜はラブホのネオンで埋まります。左にコンビニがあります。金曜と土曜の夜は、いつものように戦闘準備のため、アベックがゾロゾロとレジ前に行列を作ります。


               その18  
  
  《 漫画家アシスタントが・・・何も見てないフリをする番! 》
 
 
私( ※参照 )が目の不自由な常連さん( ※参照 )とへいわ通りですれ違った時です‥‥
 
彼の目は、正面を見たまま‥‥ まったく私に気付いていない( 視認できない )様子でした‥‥‥‥
 
お店に来る時には、サングラスと白い杖を使っているのですが‥‥ 普段は人混みを杖なしで歩ける程度の視力障害なのかもしれません。
 
あくまで、私にとっては、大切な常連さんなのですが‥‥‥‥ 今度は、こちらが、何も見えない( 見ていない )フリをしなくてはならない立場になったわけです!

そして、また‥‥

「 いらっしゃいませ 」‥‥と言って、お手をとって応接室へ導くのですが、常連さんの巧みな見えないフリは承知しています。 ですから、私も見てないフリをするわけです。

応接室の椅子へ座っていただく‥‥ 見えないフリの常連さんと、見てないふりの店主。 笑い事ではない。 これがビジネス。

「今日のコースは、どうなさいますか~?」
「タイマッサージ、2時間‥‥」

お帰りの際は、「 ありがとうございました 」とドアを開け、ステッキを差し出します‥‥ セラピストが靴をそろえてお客さんが履くのを手伝います。 フラフラするフリが上手なのは、この瞬間に担当マッサージ師に寄りかかる姿勢でわかります。

もちろん、私は何も見てないフリをしながら‥‥

「 どうぞ、お気を付けてぇ~ 」
 
この常連さんには、「 目 」以外に「 右手 」にも少々問題がありました‥‥これも、担当した数人のマッサージ師さんから聞いた話なのですが‥‥
 
個室でこの常連さんをマッサージをしている時に‥‥‥‥ 常連さん自身が「 自分 」をマッサージし始めてしまうのです。( 女性の読者の中には、なんでマッサージ店に行って、お客が自分自身をマッサージするのか理解できない方もおられるでしょうが )
 
マッサージ師さんは、施術を中断して常連さんに背中を向けて溜息をついたり、部屋を出てしまったり‥‥‥‥
 
通常のマッサージは2時間( 基本的なコース )ですが、その間に2回(!)はこの常連さんの自家発電のために、彼女の休憩タイムになるわけです。
 
マッサージ師さん達の間では、「 目が悪くて、お気の毒に‥‥ 」という気持ちと「 何だヨ、このドスケベ! 」という矛盾する意識から複雑な気分を生み出します。
 
私のお店は、風俗営業ではないので‥‥ その手のサービスを求めるお客さんの中にはごく少数ですが‥‥ この常連さんの様に‥‥ 凝った「 自分 」を、ご自身で施術なさる方もいるのです。
 
そうしたお客さんの中には、さらに彼女たちを困らせる方もいました‥‥
 
自分一人でクライマックスを迎える事が淋しくて、慈悲を求める様に‥‥( 中には命令口調の方も )‥‥部屋を出ようとするマッサージ師さんに‥‥
 
「 なぁ~‥‥ み‥‥見てくれ! ‥‥見てくれよ~っ! 」
 
完全に「 男の弱点 」丸出し‥‥!( 下半身丸出しで甘える様に全裸でブリッジしながら自家発電する姿はバカそのもの )
 
お客さんの中には、極々少数ですが、個室で服を脱いでリラックスした瞬間に弱みをさらけ出してしまう人もおられます。
 
 
どうも‥‥ 個室の中に居る時に‥‥ それが、プライベートな空間なのだと思っておられる様なのですが‥‥‥‥
 
実は‥‥‥‥‥‥ まったく違います。
 
仮に、相手が慣れ親しんだ風俗嬢であろうと、マッサージ師であろうと‥‥
 
自分がやったり、話したりした事( 弱点のさらけ出し )が第三者に筒抜けになっている事は間違いないと思った方が良いのです。
 
知らぬは、お客さん本人ばかりで、実際には従業員全員に知れ渡り‥‥ さらに、隣近所にさえ噂となって広がるものです。
 
 
私は、若い頃にあるフランス人( ? )風俗嬢( ※参照 )と知り合ったのですが‥‥‥‥ その時に、彼女は自慢する様に指名客( 上客 )の名刺を見せてくれた事がありました。
 
プラスチックの名刺入れにギッシリと詰まった名刺( 5㎝の束 )を手のひらに開きながら‥‥‥‥ 私は‥‥‥‥
 
『 中小企業の管理職や‥‥ 商店主のオヤジさんの名刺かな‥‥ 』
 
‥‥そう思っていたのですが‥‥‥‥ 名刺の肩書には‥‥‥‥
 
医師、弁護士など法律関係、一流企業の重役( ※参照 )など‥‥ 私が想像した一般のサラリーマンの名刺や商店主の名刺などは、まったくありませんでした!
 
可愛いお姉ちゃんに名刺を出したい気持ちは分かりますが‥‥‥‥ その名刺が、どんな人物の手に渡るのか‥‥ 彼らは想像さえしないのでしょう。
 
これを読んでいる一部の男性の方へ‥‥‥‥
 
‥‥どうか、ご注意下さい。
 

  

      「 漫画家アシスタント物語 第8章〈10〉」へつづく・・・・

                   「第8章〈8〉」へもどる‥‥

                   「もくじ」 へ‥‥

 

  
  

 ~~~ 参照 ・第8章〈9〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
 
 【その17】
社長 : マッサージ店代表。普段は漫画家アシスタント。ブログの著者
 【その18】
 : このブログの著者。漫画家アシスタントを本業に、マッサージ店も副業として経営(2004年から09年までの6年間)。
常連さん : 月に一回は私の経営するマッサージ店に来てくれた目の不自由なお客さん。
フランス人風俗嬢 : 自称フランス人の金髪の高級ソープ嬢。
上場企業の重役 : なぜか、名刺の束の中に「社長」の名刺はありません。有名会社の社長ともなると遊ぶ場所のランクが違うのかもしれません。

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