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漫画家アシスタント物語 もう終わりで章 〈2〉 青空を見る‥‥自分という死体

 
《 写真上:目白通りのイチョウ並木。写真中央に見えるのが、私が勤める仕事場のあるマンションです。もうすぐ‥‥本格的な冬の到来です。背中や足腰だけではなく、懐も寒い今日この頃です‥‥2015年、12月、撮影 》
        < この『もう終わりで章〈2〉』は、文庫本約8ページ分 >

 
 
「もう終わりで章」は、独立した「章」ですので、「古い話で章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥ 各話が連続していますので、
「もう終わりで章〈1〉」からお読みいただく方が、よろしいかと思います。
 
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!

 
 

さて‥‥ 本文の前に‥‥ 
 

「漫画家アシスタント物語 第3章〈1〉」を、購読してくれた方を紹介させてください。 すぱいくさん ‥‥‥‥‥ ありがとうございました!


 
 
 
 
               その3

  《 漫画家アシスタントが・・・店番をしながらネーム書く! 》
 

久しぶりのブログ更新です。

「 終わり 」というものを意識しだした瞬間から、時計が止まってしまったような虚脱感に襲われています。

毎週とか、10日ごとにとか、区切りというものがなく‥‥ つまり、いくら時間が経っても‥‥ 書かねばならない、という切迫感がやって来ないのです。

これほどまでに呑気で適当でダラダラとした時間を過ごすのは、随分と久しぶりな‥‥ 甘ったるい感じで悪くはないのですが‥‥ 読者の皆様にはいい迷惑なわけで‥‥‥‥

まったく申し訳もなく‥‥ ありませんことであります‥‥‥‥。

( 今回の文章も、10年前の、60歳の憂鬱な気分がにじんでいます。この頃から気力、精力も衰え始めていました )
 
 
では、真面目に‥‥
 
ゴホゴホ( まだ咳が出る )
 
31、2歳の頃だったかと思いますが‥‥
 
「 36歳までに漫画家になっていなかったらキッパリ諦める! 」
 
‥‥‥‥と、同僚のスタッフに話した事があります。
 
「 36歳 」という数字は、私が23歳でジョージ先生( ※参照 )に弟子入りした時の先生の年齢です。
 
先生の歳になってもモノにならないようでは、お先真っ暗だと思っていたのです。
 
ところが、ど~ゆ~訳かわかりませんが‥‥ 30代の中頃からは、麻酔でも打たれたようなボンヤリとした感じのまま‥‥‥‥‥‥
 
諦めるという「 けじめ 」もないままズルズルと時間だけが経ち、漫画制作に没頭する事もなく40歳になってしまっていました。
 
1995年、バブルの崩壊から5年‥‥ 秋山プロ( ※参照 )の仕事も減り始め、年収の上昇が止まり、2000年以降には、下落が始まります。
 
秋山プロも経営が厳しくなり、リストラされるスタッフが出てきたり、ボーナスがゼロになってしまったり‥‥ ジリ貧状態‥‥‥‥( 先生の連載もジリ貧状態に )
 
そんな時にカミさん( ※参照 )からの頼みもあって、副業としてタイマッサージ店( ※参照 )を池袋にオープンしたのです‥‥‥‥

私は、50歳になっていました。
 
「 諦める 」と言っていたはずの私が、白髪混じりの頭をひねりつつ‥‥ このマッサージ店のスタッフルームでチビリチビリと漫画のネーム( シナリオ )を書いていたのです。
 
ヒマな店番の時や、池袋の小さな喫茶店などで、諦めきれぬまま‥‥ まだ、俺はやれるんだ‥‥‥‥と、アリバイ作りに精を出していました。
 
中年になり、脂のついた出っ腹とスピード感の失せた脳ミソ‥‥ これは、明らかに「 漫画制作 」といより「 アリバイ制作 」と言った方が正しいと思います。
 
これこそ、あの有名なセリフ‥‥
 
「 お前はすでに死んでいる 」
 
‥‥‥‥ってやつです。
 
もっとも、本人は今でも生きているつもりなのですが‥‥( 当たり前だ )
 
そんな事はともかく‥‥‥‥
 
この頃に書いていた漫画のシナリオが「 犬と呼ばないで 」という警察物。
 
毎日、池袋のマンションから目白の仕事場へ向かう途中、ノロノロと歩きながら思い描いた( 皮肉いっぱいに妄想した )ギャグ漫画です。
 
このマッサージ店の、小さな一畳間で、電話番をしながら記事を書いたりした事もありました。( 当時のブログ『漫画家アシスタント物語第8章』 )

池袋という繁華街の喫茶店には、マル暴系の方々もよく利用されるようで、私が警察漫画のシナリオを描いている横で‥‥

その「 方々 」がヤバそうな話を、目立つ業界用語( ほとんど代名詞『 それをやれ 』とか、『 あれでやれ 』とか、『 なにするぞってよ 』とか )で会話していました‥‥。( 漫画みたい )
 
そんな思い出のある喫茶店も今では閉店し、汚れたシャッターが閉じたままになっています。
 
 
 
 
 


目白通りから撮影した仕事場の入っているマンション。イチョウの樹がみじめな感じですが、秋になると結構美しい並木道になります。タイに移住したら絶対に見られない景色ですね。2016年2月

 
                その4
 
   《 漫画家アシスタントが・・・・死んだ自分を生きる!? 》

 
 
 
また、久しぶりの更新という事になります‥‥
 
今年に入ってからまた頸椎ヘルニアの具合が良くなくて、始終背中の痛みに耐えなくてはならない毎日‥‥‥‥
 
もっとも、ただパソコンでゲームをやり過ぎているだけだとも言えるのですが‥‥‥‥
 
 
それはともかく‥‥ 前回のつづきを‥‥‥‥
 
池袋でタイマッサージ店( ※参照 )を経営していた頃は、いくつかの喫茶店を利用してよくブログ記事やら漫画のシナリオなどシコシコと書いていました。
 
警察を皮肉ったギャグ漫画が60本ほど、役人を皮肉ったギャグ漫画が20本ほど‥‥
 
でも、どれ一つとして漫画作品として完成させてはいません。
 
漫画の制作というのは、頭でやる仕事というよりも‥‥ 机に向かって肉体労働するようなものなのです‥‥‥‥。
 
それをしないで、ただ「 シナリオ 」だの「 コンテ 」だのでチョコチョコ誤魔化そうとするのは、漫画家としては、腐敗したゾンビみたいなものです。
 
前回もお話しした通り、それは、漫画家を目指して生きているフリをする死体と同じなのです。
 
いくらアイデアを考えても、いくら本人が面白がっても、結局、社会には通用しない‥‥ 読者を説得するだけの強さを持たないのは、机の上でガリガリと( ペンやインクを使って墨だらけになって )創作していないからだと思います。
 
そこまで分かっちゃいるのに‥‥‥‥ なかなか実行できずに10年が過ぎてしまいました。
 
結局のところ、最後まで机に向かってガリガリとペンを動かしている人だけしか残らないのでしょう。
 
 
2004年に始めたマッサージ店を整理して( 欲しいという人に譲って )、大学の非常勤講師を始めて今年で7年になります。( 2016年 )
 
短いような長いような7年間‥‥‥‥
 
1月の授業を最後に大学講師を辞めましたのですが‥‥ 実は、大学で学生たちに漫画背景を教えている間、ずっと感じていた矛盾がありました‥‥‥‥
 
漫画制作が漫画家志望者にとって「生きる」という事なら、私はまったく死人そのもの‥‥ 

そんな私がどうして( 漫画家でも漫画家志望者でもない自分が )漫画背景なんか教えていられるのか‥‥‥‥ という矛盾でした。
 
結局は体調の悪化で、学校( 学生たち )に迷惑をかける事があってはいけないと、辞めてしまうわけですが‥‥‥‥
 
もし、漫画家稼業で忙しかったら講師にはなっていないだろうと思います。 漫画家じゃないから出来た漫画背景講師だったわけで‥‥ なんだか皮肉な話です。
 
 
先日のバレンタインの日に数人の学生と食事をしたのですが‥‥‥‥
 
学生たちとの最初で最後になるかもしてない食事でしたが‥‥

未来のある若い彼らと、下り坂を転がり落ちる私‥‥ 上りと下りのエスカレーターですれ違うような‥‥ そんな寂しさも感じましたが‥‥‥‥
 
若い学生たちの活き活きとした姿を見ていると、美しい青空を見ているような気分になるものです。
 
 
青空を見上げる死体‥‥‥‥
 
‥‥と、いったところです。

    
  
 
  
    「 漫画家アシスタント物語 もう終わりで章〈3〉」へつづく・・・・
                「もう終わりで章〈1〉」へもどる‥‥
                         「もくじ」 へ‥‥
 
 
 
 
 
~~~ 参照  もう終わりで章〈2〉~~~

【その3、4】
・カミさん :
 私の妻、1995年に結婚したタイ、チェンマイ出身の女性。タイマッサージ店をオープンした2004年当時は、40歳。
・ジョージ先生 : 漫画家ジョージ秋山、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には同時週刊連載6誌という逸話もある。2015年、1誌に連載。
・秋山プロ : ジョージ秋山先生の仕事場。東京目白にあり、バブル期には6~7人のスタッフが在籍。2015年はスタッフ2名。連載は1誌。
・タイマッサージ店 : 2004年、池袋の北口にオープン。マンションの一室を利用して健全に楽しく経営(良心的に)しましたが、5年後に大学での講師を依頼された事を契機に撤退( 店舗を売却 )

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