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金がないので「青空文庫」を楽しむ。12 『二人の稚児』

二人の稚児は二つ違いの十三に十五であった。年上の方は千手丸、年下の方は瑠璃光丸と呼ばれて居た。二人は同じように、まだ頑是ない時分から女人禁制の比叡の山に預けられて、貴い上人の膝下で育てられた。

谷崎潤一郎『二人の稚児』青空文庫

こんにちは。かりなみです。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は『二人の稚児』を読みました。

比喩の山で育った千手丸と瑠璃光丸は煩悩からかけ離れた生活をしておりました。
一度山を降りて仕舞えば、修行しても修行しても中々消えない煩悩に支配されてしまうと言うようなニュアンスのことを上人?から言われ、山の中で暮らし続けていました。

なので彼らは、世間を何も知りません。「女人」がどういうものかも知らないのです。(悪魔であるという教えを受けてきました。)

しかし、年上の千住丸は時が経つにつれて、女人を一目見たいという欲求が抑えられなくなります。瑠璃光丸をおいて、一人で山を下ってしまう。

帰ってこない千住丸は死んだものと思われたが、いつの日か、瑠璃光丸の元に千住丸からの使いがくる。

要約すると千住丸は山の下で中々楽しく暮らしているらしく、瑠璃光丸も来ないか?という誘いであった。また、この山にいる坊さんがいうことは真っ赤な嘘であると。

瑠璃光丸も千住丸と同じように、女人に憧れを抱くようになっており、自身の煩悩とこれまで守り抜いてきた信念との間で葛藤する。

結局瑠璃光丸は下山を拒否し、信念を守り抜くと決意するが、後悔の念が押し寄せる。
しかし上人に説得されて、最終的に自分の選択に納得して終わる。

というようなお話。
感想は色々とありそうですが、私はまあ、ハッピーエンドだなと思いました。
瑠璃光丸が不便にも感じましたが、最終的には信じるものが絶対だと自信を持ったわけですから、何も悲しいことはないのです。
(とはいえ、下山したところで、上人のいうような悪いことは何も起きない。むしろそっちの方が幸せかもしれませんがね)

二人の葛藤が鮮明に描かれていましたね。仏の道か、女人への憧れか。
悩みに悩んだ末、別々の道を歩いてゆきました。同じように教育されて育っていても、やはり人間は違うのだと。
よく環境が、人間形成に影響するというお話も聞きます。確かに大きな影響は及ぼしますが、同じ環境とはいえ同じようになる人間はいないのではないかと。安直ながら思いました。

『人魚の嘆き』といい、『二人の稚児』といい、谷崎潤一郎の作品は女性を崇拝対象としているような描写があるように感じました。
なんだか神秘的で不思議で、怪しくて。

ではでは、この辺で。

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