アフタヌーンティー讃歌
久しぶりに台湾を旅行しました。コロナ禍以降、初の海外旅行です。
当初は『千と千尋の神隠し』の舞台となったといわれる台北の九份を再訪しようと思っていたのですが、あいにくの雨予報だったので、約6年ぶりに Mandarin Oriental, Taipei の The Jade Lounge でのアフタヌーンティーを予約しました。
冒頭の写真が、そのセイボリーですが、どれもがとてもおいしかったです。
雨降る中、とてもゆったりとした上質な時間を過ごせました。
帰国後、アフタヌーンティーに関する記事を2本読みました。
「アフタヌーンティー好き」として、私もその良さを伝えられたらと思い、今、この文章をしたためている次第です。
記事① 大阪万博のアフタヌーンティー
”だからこそ、英国パビリオンでアフタヌーンティーを提供するということは、単に紅茶とスコーンを出すだけでは不十分で、「本場の空気感」までを再現する必要があった。ところが、“英国伝統のアフタヌーンティー”のイメージと大きくかけ離れた紙コップや簡素な木製トレイが登場してしまった。これでは体験価値が大きく損なわれてしまう。文化の再現度という点で期待を裏切ったことが炎上の大きな原因といえる。”
記事には「本場の空気感」とありますが、それは何とかなりそうで、でも実際には如何ともしがたいものではないでしょうか。
「空気感」というのは、その環境すべてが影響する感覚だと思います。
例えば、私が訪れた前述の The Jade Lounge は、次の写真のような感じでした。





これら写真のような環境を、一時的に造った建物の一室で再現するのは、とても難しいのではないのでしょうか。
「多くの来場者にアフタヌーンティーの体験をして欲しい」という願いは、とても良いと思う一方で、そのことは、逆に慌ただしさを生んでしまいかねません。
そうすると、アフタヌーンティーで是非味わいたい「ゆったりとした時間」を遠ざけてしまうようにも感じるのです。
1970年に大阪で開かれた日本万国博覧会当時は、外国へ行くのも大変だったでしょう。
そして、日本で外国の雰囲気を味わえる本格的な飲食店の数も多くなかったように思われます。
そのような状況下では、万博で外国の本格的な料理を食べ、料理の先にあるその国の文化に触れることは、とても意義深いことだったでしょう。
でも、今はまったく状況が異なっています。
大都市が中心とはなるのでしょうが、数多くのレストランで、フレンチやチャイニーズといった大きな括りの中だけではなく、フランス・アルザス地方の料理や中国の湖南料理など、より郷土色豊かな食事も楽しめるようになりました。
もちろん、ホテルを中心にして、アフタヌーンティーを楽しめる場所も多くあります。
そういう現状の中、万博という一時的に作られた場所で、アフタヌーンティーでとても大事な「空気感」や「ゆったりとした時間」をあまねく提供できるのかには、疑問を感じるのです。
記事② 「ヌン活」
次は、私が愛読する池辰彦さんの note 記事です。
”全体的には、「映え」から「体験価値」や「個性」へと進化し、季節・地域・推し活など多様なテーマや演出で、より深い満足を求める流れが強まっている。
〜ということで、ヌン活は今後ますます注目のテーマだと言えるのです😊”
世事に疎いもので、初めて「ヌン活」という言葉を知ったのですが、驚いたことに、この言葉は既に2022年、流行語大賞にノミネートされていたとのこと。
2022年に大きく取り上げられ、2025年も半ばまできて、いまだに注目されているのですから、確かに、客観的にも「ヌン活」は一時的なブームではないと言えるでしょう。
そして「タピオカドリンク」など、一過性の流行に終わったものとアフタヌーンティーの違いについても、池さんの次の言葉で説明がつくのではないかと思います。
”特に五感に訴える体験が、こうした消費行動を後押しすると言われているのですが、まさにヌン活は空間も含めて五感で楽しむもの。
見た目にも、まるでアート鑑賞をしているような気分になります。”
(特別な場所、特別な雰囲気のもと、一つ一つ丁寧につくられたセイボリーとスイーツを、お茶とともにゆったりと楽しむ)
アフタヌーンティーは、まさに「五感に訴える体験」だと思います。
飲み物がなくなることを気にせず、お湯を足してもらって、時間とともに少しずつ濃くなっていく茶葉の旨みをとことん味わえるのも、とても好きです。
アフタヌーンティーには、非日常を感じさせる魅力がいくつもあり、だからこそ、多くの人に愛されるのでしょう。
最高のサンドウィッチとスコーン
私が上海に住んでいた2017年、香港へ旅行したことがありました。
異動で香港へ赴任した元同僚が香港案内をしてくれたのですが、その際に連れて行ってもらったのが、Mandarin Oriental, Hong Kong の Clipper Lounge です。

「こんなにおいしいサンドウィッチは食べたことがない!」
「スコーンって、こんなにおいしいんだ!!」
とにかく、衝撃の出来事でした。
最高の素材を使っているのはもちろんですが、それまで食べたサンドウィッチやスコーンとまったく違っていたのです。
特にスコーンは、それまで「パサパサしてあまりおいしくないもの」だったのですが、そこでは、温かく、とてもしっとりとしていました。
「出来たて」だった、というのが違いにあらわれたように思います。
そこにマンダリン オリエンタル香港特製のローズペタルジャム、クロテッドクリームをつけて食べるのですが、「バラの花びらのジャム」ですよ!
特別な体験となりました。
長命寺桜もちとスコーン
おいしいスコーンから連想されるのが、子どものころに食べた「長命寺桜もち」です。
〈長命寺桜もち / ホームページ〉
父と一緒に隅田川河畔を散策して、店で桜もちを食べたのですが、それまで食べた、デパートで購入してきた同じ「長命寺桜もち」とは別ものでした。
皮がとてもしっとりしていて、最高においしかったのです。
作った瞬間から、皮の水分は徐々に抜けて、ほんの少しずつでも固くなっていくのでしょう。
やはり、作りたてが一番おいしいです。
アフタヌーンティー好きとして
最初の「アフタヌーンティー体験」が素晴らしかったので、それからは、機会があればアフタヌーンティーを楽しむようになりました。
私も香港へ異動になり、2022年の年初から旧正月期間にかけて、4つのホテルでアフタヌーンティーを楽しんだことがありました。
値段はさておき、手軽に予約をすることができたのは、レストランやホテルの予約サイトが充実していたからです。
日本でも、直接電話で予約をするのが苦手な私にとっては、予約サイトで完結するのはとてもありがたかったです。
まずは初めてアフタヌーンティーを体験した Mandarin Oriental の Clipper Lounge


次いで、Four Seasons Hotel の The Lounge


The Ritz-Carlton の 103階にある Café 103



The Murray の Garden Lounge


写真を見ていると、当時の思い出が蘇えり、懐かしい気持ちでいっぱいになります。
もし、この中で一番のおすすめはどこかと問われたら、マンダリン オリエンタル香港のクリッパーラウンジでのアフタヌーンティーを挙げます。
とてもおいしいスコーンにローズペタルジャムをつけて、セイボリー、スイーツとともに、お茶を心ゆくまでお愉しみください。
日本でのアフタヌーンティー
日本に帰ってきてからも、アフタヌーンティーを楽しみたいと思い、レストランの予約サイトからいくつか行ってみました。
「ヌン活」のおかげか、いろいろと趣向を凝らしたものが多かったように思います。
その中で、とても魅力があって、複数回伺ったのが、フォーシーズンズホテル 東京大手町のThe Loungeでのアフタヌーンティーです。
それも、SABOEが厳選した日本茶を愉しめるプランが好きです。
〈茶方薈 - SABOE / ホームページ〉



一煎一煎、スタッフの方が丁寧に淹れてくれます。
2種類以上のお茶を楽しめるのが、ありがたいです
ここで淹れてもらった、福岡県八女産の「かぶせ茶 つゆひかり」は、それまで飲んだ日本茶の中で、一番おいしく感じました。
アフタヌーンティーで、まさか日本茶に感動することがあるとは思ってもみませんでした...。
アフタヌーンティー讃歌
「ゆとりをもって」とはよく言われますが、なかなか難しいものです。
でも、アフタヌーンティーを体験すれば、暫しの間ではあっても、とてもゆったりと過ごせること請け合いです。
「少し疲れてきたな」と感じたら、アフタヌーンティーに行かれてみてはいかがでしょうか?
