職員の敬語力を試したら、管理者まで書けなかった―介護現場の見過ごせない現実
「介護の現場は言葉遣いがなっていない」。そんな声をよく耳にします。しかし、それは本当に職員だけの問題でしょうか。教えていないことを、現場で自然にできるようになるはずはありません。言葉遣いの乱れは、職員の資質ではなく、教育の仕組みがない組織の問題なのです。
介護現場では、親しみやすさが重視されます。しかし、親しみやすさと馴れ馴れしさは違います。利用者に安心感を与える言葉、家族に信頼される言葉、職員同士が敬意を保てる言葉。これらは施設の品格そのものです。どれほど立派な理念を掲げても、日常の会話が雑であれば、その理念は一瞬で色あせてしまいます。
そこでおすすめしたいのが、定例会議や勉強会で行う「5分間の敬語テスト」です。尊敬語と謙譲語を10問、20点満点で答えるだけの簡単なものです。実際に研修先の事業所で行うと、多くの職員が10点以下となり、管理者や施設長すらも思うように書けないケースが珍しくありません。
しかし、これは恥ずかしい結果ではありません。組織の現在地が見えたということです。知らない言葉は使えません。だからこそ、まず覚える。次に、朝礼や接遇研修、日々の申し送りで使ってみる。この繰り返しによって、言葉は初めて社風になります。
最初から全員満点を求める必要はありません。まずは職員の2割が満点を取る。次は半数、そして最終的には全員へ。小さな実績を積み重ねることで、「きちんとした言葉を使うのが当たり前」という空氣が生まれます。
このテストの難易度は、高校生の就職面接対策と同程度です。予習すれば誰でも身につけられます。だからこそ、結果が悪かったときに職員を責めるのではなく、経営者が教育の責任を引き受けることこそが大切です。
言葉遣いを変えることは、単なる接遇改善ではありません。利用者からの信頼、家族の安心、職員同士の関係、そして採用や定着にもつながる経営改革です。施設の品格は、キレイな施設ではなく、職員が毎日口にする一言からつくられます。今こそ、言葉を育てる職場づくりを始めてみませんか。
