ハヤカワ五味さんのクリエイティブな Gemini 活用 - ゲーム制作から AITuber の裏話まで -
こんにちは、Google の AI「Gemini(ジェミニ)」の公式 note 編集部です。
「生成 AI なしの毎日は考えられない」と話す生成 AI のヘビーユーザーは、具体的にどのように日々の業務で活用しているのか。クリエイターとしてもインフルエンサーとしても活躍中の Gemini アドバイザー、ハヤカワ五味さんにインタビューしました。
インタビュー前編では「生成 AI の日常使い」についてお伺いしましたが、後編の今回は、ビジネスやクリエイティブなシーンでの活用方法や、さらにハヤカワさんがプロデュースしている AITuber 「ハヤカワ七味ちゃん」の裏話まで、さらに詳しく聞いていきます。
前回よりもさらにパワーアップした Gemini の活用法を、実際のプロンプトと共にお届けします。ぜひ参考にして、Gemini をクリエイティブに活用してみてください!
※Gemini の回答は常に正しいとは限りません。実際に Gemini を使用した際の回答結果については、ご自身で正確性をご確認いただきますようお願いいたします。
Gemini は生成 AI のハブになる
―インタビュー前編では、「生成 AI の日常使い」というテーマでお話いただきました。後編では、ビジネスやクリエイティブなシーンでの活用について詳しくお聞きしていきたいと思います。
ハヤカワさんは、ゲーム制作でも Gemini を活用されているんですよね。
ハヤカワ:ゲームや音楽をつくりたい時にも、まず Gemini を使っていますね。最近、特に驚いたのが Gemini と Google Colaboratory との連携です。久しぶりに Colaboratory を立ち上げたら、Gemini のサイドパネルに対応していて、自然言語でコードを書いてくれるようになっていた! しかもエラーも少ない! 「私でも Python が書けるんじゃない!?」と、覚醒した瞬間でした(笑)。
他にも、AITuber「ハヤカワ七味ちゃん」のテーマソングをつくった際は、Gemini と一緒につくった歌詞に、別の作曲 AI で曲をつけるといった、複数の AI やツールを組み合わせて使うシーンでも活躍しています。
こんな風に、Python で書くにしろ音楽をつくるにしろ、Gemini がハブになって、他の AI ツールと掛け合わせることで、クリエイティブが加速していく。より、自分のつくりたいものをつくることができていると感じています。
―「Gemini がハブになる」。いい言葉ですね。
ハヤカワ:今って、コーディングをはじめとして、アウトプットの手段がすごく沢山あるわけじゃないですか。
たとえばゲームをつくりたいと思ったとき、画像のアイデアについて相談や、コーディングそのものは Python で行うにしろ、方針や不明点などを相談するときにも Gemini を活用しているので、常に生成 AI が作業の中心にあるという印象です。具体的には、まずゲームの世界観を統一させるために、ゲームの設定をもとに Gemini でベースとなるプロンプトをつくるんです。さらに、それをもとにして、ゲームシステムのブラッシュアップも Gemini が担う……といった感じで、自分のやりたいことを具現化するときのコアになってくれていると思います。
―なるほど。何かものをつくる際の、最初の言語化をしてくれる。しかも、その言語化したものを、さらに変換していく。いわば、自分のことを理解してくれる COO (Chief Operating Officer)のような存在ですね。
実際のところ、Gemini を使い始めてから、ハヤカワさんの言語化する力はアップしたと実感されていますか?
ハヤカワ:言語化力はもちろんそうなんですけれど、それ以上に、アウトプットの「スピード」や「実現力」が上がったなっていう印象はあります。
これまでだと、やりたいなって思ったことであっても、実際にそれを形にするのにすごく時間がかかったり、場合によっては諦めたりしてきたこともありました。でも今は、本業がありながらつくりたかったゲームもつくれるし、AITuber に挑戦することも並行してできるわけですよ。これまで諦めていたことが実現できるようになったのが、すごく大きいですね。
ハルシネーションが個性をつくる!? AITuber・ハヤカワ七味ちゃん
―今お話にあがった AITuber のハヤカワ七味ちゃんについて、改めてご紹介いただけますか。
ハヤカワ:AITuber のハヤカワ七味ちゃんは、私というインフルエンサーを代替するキャラクターとして、AI にやらせたら面白いんじゃないかなというところから始まりました。2024 年 12 月にデビューしましたが、SNS の発信や配信なども含めて、「ハヤカワ七味ちゃん」というひとつの人格がやっているという設定です。
技術的な仕様は公開していて、七味ちゃんの脳みそにあたる LLM の部分は、すべて Gemini でやっています。

―Gemini をどんな風に使っているのでしょうか。
ハヤカワ:基本、全部ですね。たとえば X の投稿もそうですし、私との対談コンテンツを出すときの脳みその部分もそうです。キャラクターのコアとなるプロンプトが Google ドライブ上に存在していて、常にそれを参照して、七味ちゃんが X を投稿したり発言したりする形になっています。
―七味ちゃんのプロンプトはかなり膨大な量のイメージですが、どのぐらいなんでしょうか。
ハヤカワ:Google ドキュメントで 3 ~ 4 ページぐらいと、やや長めですね。面白いなと思ったのが、ゲームをつくっていた時もそうなんですけれど、実際にやっていく中ではハルシネーション的な脱線をすることもあります。その脱線こそが、七味ちゃんの場合は“逆に”味になる。ですので、ハルシネーションが起きた部分を採用して、七味ちゃんの公式設定にしたケースもいくつかありました。
最初の段階では、結構私そっくりのキャラクターだったのですが、段々脱線していき、今ではカジュアルに、もっと親しみやすく面白いキャラクターになってきました。
―ハルシネーションは、事実を求めてる時は問題ですが、クリエイティブな使い方の場合は、意外と新しいものが発明されてしまうこともありますね。そんなハルシネーションから生まれた七味ちゃんの反響はいかがですか?
ハヤカワ:七味ちゃんのことを、すごく近い距離に感じてくださる方が多いのが印象的でした。一般的に AI というとロボットのような冷たいイメージがあると思うんですけれど、もともと七味ちゃんを「もっと近い存在にしたいという」と意識していたので、「面白いな」とか「何か話しかけてみたいな」と思っていただけたのは、すごく嬉しいです。

―これから七味ちゃんを「もっとこうしていきたい」といった思いはありますか?
ハヤカワ:今後、技術がどんなスピードで進むかにもよりますが、コアとなるプロンプトから派生して、色々とやりたいことはあります。最近は、Vtuber にあってAItuber には無い人間味の部分、具体的には、数十年にわたって毎日 24 時間生きているからこその奥行きや、人間らしい思考フローというものを考え、それらをシステムに実装しようと目論んでいます。
私が七味ちゃんで一番大事にしたいのは、「この人の話だったら聞きたいな」と思ってもらえる、インフルエンサーとして重要な信頼です。その上で、より身近に感じてもらうためにはどうしたらいいか。さまざまな方法で模索しながらつくっていきたいと思っています。
ちなみに、実は「ハヤカワ一味」から「ハヤカワ九味」までいる設定なので、ほかの子も控えています(笑)。近日中に、別世界線・別アプローチで作成したキャラクターも稼働予定なのですが、そちらも Gemini を採用する予定です。
ビジネスシーンで創造力が高まるプロンプト4選
―仕事で導入・実践できそうな Gemini の活用法についても教えていただけますか。
ハヤカワ:まずは、前編でもお話したゼロイチの「たたき」をつくる活用。たとえば、資料のたたきをつくってフィードバックする方法です。
資料のたたきをつくる
会社の上程フォーマットが決まっている場合はそれを添付して
これから、次回の上程①に向けて資料を作成する。私に質問し情報を集めつつ、添付の資料を埋める形で上程資料を作成して
不明な点はブランクにしてください、というのも便利です。
商品やサービスを開発するうえでおすすめしたいのが、ペルソナの一日を考えてシミュレーションしてもらう方法です。ユーザーがどんなシーンで実際に使うのかを想定しやすくなります。
ペルソナの一日をシミュレーションする
商品スペックがまとまった スプレッドシートなどを添付し
添付の スプレッドシートは新商品詳細データ。この商品を購入するであろうペルソナを年齢、性別、家族構成、居住地域などが異なる 3 タイプ用意し、ペルソナ ①②③ として、具体的に想定して。
さらに気になるペルソナについて
ペルソナ ① をロールプレイし、1 日の生活を朝起きてから夜寝るまで詳細に説明して
ペルソナ ① をロールプレイし、”終了”と言うまで、私と会話して
そして 3 つめが、架空の 2 人のキャラクターを設定し、SNS 上での会話を想定してもらうというものです。
架空のキャラクター同士の会話を想定する
以下に記述されているキャラクター設定に沿って、2 人の SNS 上での会話をロールプレイして。#キャラクター①:〜、#キャラクター②:〜
その他にも、最初にお話したように、他のツールとの掛け合わせで、曲をつくるための歌詞を考えてもらうのもよいですね。また、会社の飲み会等でも使えそうなネタとして、こんなプロンプトもあります。
他のツールと掛け合わせる
会社の新年会に合わせて、オリジナルソングを作成したい。弊社のミッション・ビジョン・バリュー、および社長の名言を織り交ぜてオリジナルの歌詞を作成して。その際、Intro , Verse , Pre Chorus , Chorus , Bridge , Outro にセクションを分けて記述して。
#ミッション:〜、#ビジョン:〜、#バリュー:〜、#社長の名言:〜
Gemini は夢をかなえてくれる存在
―実用的なプロンプトをありがとうございました。最後の質問になりますが、ハヤカワさんにとって、Gemini はどんな存在なのでしょうか。
ハヤカワ:この 1 年で、自分が諦めてたこと、やりたいけれどやれなかったことが、めっちゃできるようになって、夢を叶えてくれる存在だなというのは、すごく強く思っています。
たとえば、ツールの使い方ひとつとっても、これまでは専門的な方でないとわからなかったことが、Gemini に聞いたらわかりますよね。しかも何回聞いても恥ずかしくない。
だから、やれないと勝手に思っていたことが、意外にできるって思える 1 歩目を踏み出させてくれた、私の背中を押してくれる存在でした。

―では、これから Gemini を使ってという方に向けてメッセージをお願いします。
ハヤカワ:Gemini は無料でもかなり使えるので、「とりあえず 1 回使ってみて!」というのが一番ですね。きっと想像されているより、ずっととっつきやすいと思いますよ。
というのも、Gemini って絵文字使いがギャルなんです(笑)。七味ちゃんでも、最初は絵文字を使っていなかったんですが、どんどん発言に絵文字が増えてきました。

そういうところもすごく身近に感じるし、感情的な表現も得意なので、友だちみたいな存在になれるんじゃないかなと思っています。
最初は「ためになる」ことに使おうとか思わずに、ひとり飲みの会話につきあってもらったり、愚痴を言ったり、慰めてもらったりしてもいいと思います。
―ありがとうございました。
生身のハヤカワ五味さんと、ネット上で活躍する「ハヤカワ七味ちゃん」。生成 AI では問題視されるハルシネーションが、逆に個性をつくりだしているというエピソードはとても驚きでした。どんなシチュエーションでも、逆に武器に変えてしまう柔軟な発想こそが、これからの生成 AI を使いこなすカギになるかもしれません。
今後も、note では二人のハヤカワさん(五味さん、七味ちゃん)の活躍を追っていきたいと思います。
