大幅減益となったクラレ、その理由と今後の見通しを解説
こんにちは、化学業界を分かりやすく解説するごりおです。
今回解説する企業は、クラレさん。
絶好調な日本株市場をしり目に、ひときわ目を引いたのがクラレの株価急落です。
決算発表の翌日には一気に10%も値を下げ、衝撃が走りました。
いったいなぜ大幅下落となってしまったのか。実は複数の要因が複雑に絡み合っています。
今回は株価下落の理由と、今後の見通しを解説します。
クラレ決算、どんな内容だったのか
ではまず、クラレの2025年第二四半期決算を解説します。
※クラレは12月決算なので、今回は2025年1~6月(上期)の決算となります。
上期業績の概要
クラレの2025年12月期第2四半期の業績は以下の通りでした。

営業利益:263億円(前年同期比▲42.2%)
純利益:140億円(前年同期比▲53.9%)
と、利益項目がほぼ半減という厳しい結果。
さらに市場が嫌気したのが、通期見通しの下方修正。

通期見通しは当初予想から、営業利益で17%減の750億円、純利益で27%減の330億円へ下方修正されました。
普通にネガティブな決算と言えます。
減益の理由は?
今回の大幅減益は、個人的には意外な結果でした。
というのも、中国の景気刺激策によりディスプレイ材料の需要は他社では堅調。クラレの主力である光学用ポバールフィルムも悪くない地合いだったはずです。
いったい何がクラレの足かせとなったのか。
※他社の決算は以下記事で解説しています。
減益要因の内訳
クラレの業績が悪化した理由を、営業利益の増減要因から見てみます。

数量減少(欧州経済低迷など):▲18億円
為替・原燃料費高騰:▲57億円
その他:▲128億円
「その他」がやたらと大きいのですが、これは以下のような一過性要因。
2024年末の生産調整による高コスト在庫の評価損の繰り越し
米国寒波や生産トラブル
つまり、為替や景気低迷がボディブローのように利益を削り、前年反動や突発トラブルがとどめの一撃となった構図のようです。
下期の見通しは
そんなわけで上期は踏んだり蹴ったりであったクラレ、実は下期も厳しい事業環境が予想されます。
その理由は、光学用ポバールフィルムの調整。

クラレの主力である光学用ポバールフィルムはテレビなどディスプレイ向けで、パネルメーカーの生産状況に大きく左右されます。
2025年前半までは、
五輪特需
中国景気刺激策
トランプ関税前の駆け込み需要
といったカンフル剤が効いていました。
しかし液晶ディスプレイは成熟市場。強い需要の後には反動が待っています。
下期はパネル需要減少とともに、ビニルアセテート事業の勢いも鈍化が予想されます。
脱・一本足打法への挑戦
したがって短期的には、この「踊り場」をどう乗り切るかが焦点です。
クラレは光学用ポバールフィルムへの依存を減らすべく、
環境規制の追い風が期待できる活性炭事業
歯科材料
など、新たな柱を育成中。

同時に、
MMA能力削減
乾式不織布撤退
赤字続きのイソプレン事業や繊維事業の収益改善
といった構造改革も加速しています。
まとめ
2025年はクラレにとって試練の年になりそうです。
厳しい事業環境の中、構造改革と新事業育成の両輪で次の成長局面をどう形にするか——ここが注目ポイントです。

