逃走記4 キーホルダー
俺達は爺さんの後を付いて行っていた。特に喋る事も無く海岸沿いを少し歩いた所で爺さんが止まった。
そこは少し寂れた平屋の一軒家だった。爺さんは扉を開け中に入った。というか俺達は早いとこ行かないと行けないんだが?
そう思う俺とは反対に陸は爺さんの後に続き家の中に入って行った。
「失礼します。……………なんか古い物だらけ…………え?」
「うん?どうした?ってそれか。」
陸がなんか見つけた様だ。俺も近付いてそれを見てみる。
「え?」
俺も思わずそんな言葉が出る。だってその植物の様なキーホルダーは俺達「6人」しか持っていないはずだからだ。
俺と陸は爺さんと居間の座布団に座っていた。少しの沈黙の後陸が口を開いた。
「あのキーホルダーは何処で手に入れたんですか?ネットにも無かったのに」
俺も思っていた事だった。あのキーホルダーはもとい、その植物すら本、ネットにも無かったのだ。それを何故この爺さんが持っているのかと。
「このキーホルダーは古い友人が作ってくれた物でね。勿論市販品じゃ無いから何処にも売って無い。」
「そうですか。今その友人は何処に?」
「小さい頃に別れてそのまま行方知れずさ。逆にお前らはそのキーホルダーを何故知っているんだ?」
その問いに俺達は顔を見合わせた。それはこのキーホルダーを渡してくれた人との約束の様なものがあるからだ。少し気まずい雰囲気の中で爺さんが口を開いた。
「まぁこのことは置いておいて本題だ。お前らは港で私に「船を出してくれ!!」と言っていたがそれはテレビに映っているのが理由か?」
そう言って爺さんはテレビに指を指した。テレビには俺天城光が殺人犯として指名手配されたのが映っていた。不味いと思い急いで出ようとした所爺さんが話出した。
「まぁお前らにも色々理由があるんだろ?俺も多少は人を見る目があると思ってるが、そこのお前は人を殺して無いだろ?」
「あぁ。俺は人を殺して無いし、事件にすら関わっていない。」
俺の返事を確かめた爺さんはお茶を一口飲み、息をついた後少し目を瞑り、覚悟を決めた様な顔をして口を開いた。
「隣の県まで送ればいいんだな?なら先に港まで行ってろ。俺は少し準備してから行くから。」
「爺さん。本当にありがとう!!」
「恩に着るよ爺さん!!」
そう言い俺達は足早に港に向かった。
俺八谷啓一は仏壇の前で手を合わせていた。世界一愛おしい亡き妻の前で。
「あのキーホルダーに反応したって事はアイツと関わりがある奴だったんだろうな。俺にとっては友人であり、お前の兄さんに。」
少し思い出に浸かっていたが、ふと時計を見ると10分経っていた。ヤバいと思いながら準備をしてもう一度仏壇の前で手を合わせた。
「じゃあ行って来るよ。」
そうして俺は港に急いだ。
