内視鏡クリニックに入る前に、勉強しておけばよかったこと
「内視鏡クリニックに転職したいけど、何を勉強したらいいんだろう?」
未経験から内視鏡クリニックへの転職を考えている方の中には、こんなふうに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
私も内視鏡クリニックに入職したときは、全くゼロからのスタートでした。
それまで経験していたのは主に小児分野。
いざ内視鏡について勉強しようと思っても、
「そもそも内視鏡って何だっけ?」
「国試で上部消化管とか下部消化管とか出てきたやつかな?」というレベルでした。
自分で調べてみても、出てくるのは知らない言葉ばかり。
正直、最初はちんぷんかんぷんでした。
しかも、私が働いていたところは内視鏡検査だけを行う施設ではなく、消化器内科のクリニック。
一般的な内科診療の外来受診の患者さんも多く、看護師は「処置室」と「内視鏡検査室」の両方で働いていました。
私の場合は、まず処置室の仕事から覚えて、ある程度できるようになってから検査室へ。
もちろん、これはクリニックによって異なります。
だからこそ今回は、内視鏡未経験だった私が実際に働いてみて、
「これ、入職前に少しでも勉強しておけばよかったな」と思ったことをまとめてみました。
これから内視鏡クリニックで働きたい方の参考になれば嬉しいです😊
ちなみに、内視鏡クリニックの実際の看護師の動きについて記事にまとめたものがあるので、そちらも参考になれば嬉しいです🌷⬇︎
「検査前・検査中・検査後」に分けて考える
内視鏡について調べ始めると、覚えることが本当にたくさん出てきます。
薬剤、疾患、解剖、検査、処置、器具……。
全部を一気に覚えようとすると、
「何から勉強したらいいの?」となってしまいます。
私自身、働いてみて一番分かりやすかったのは、
検査前→検査中→検査後と、検査の流れに沿って覚える方法でした。
それぞれの場面で看護師の役割が違うからです。
「患者さんが検査を受けるまでに何をするのか」
「検査中、看護師は何を見ているのか」
「検査が終わったら何を観察するのか」
まずはそれぞれで流れを覚えていくと、最終的に全てが繋がってきて面白くなってきます。
① 検査前に覚えておきたかったこと
患者さんへの事前説明
内視鏡看護というと「検査室で先生の介助をする仕事」をイメージするかもしれません。
でも、実際に働いてみると検査前の準備もとても大切でした。
私が働いていたクリニックでは、処置室で検査前の患者さんへの説明を行っていました。
大腸内視鏡検査であれば、
・検査前日までにどんな食事を摂るのか
・前日に飲む下剤について
・腸管洗浄剤の飲み方
・検査当日の服装
・普段飲んでいる内服薬をどうするのか
・休薬が必要な薬はあるのか
など。
患者さんが自宅へ帰ってから検査までの準備で困らないように説明する必要があります。
最初は覚えることが多くて大変でしたが、「患者さんが検査当日までに何をするのか」を自分の中で時系列にして理解すると、説明しやすくなりました。
腸管洗浄剤の種類について
大腸内視鏡検査に関わるなら、腸管洗浄剤についても知っておくと働きやすいと思います。
私が働いていたクリニックでは、
・モビプレップ
・サルプレップ
・ニフレック
・マグコロールP
・ビジクリア
・ピコスルファート
などがあり、モビプレップとサルプレップを使用することが多かったです。
ただ、患者さん全員が同じものを使用するわけではありません。
患者さんの状態や内服できるかどうか、過去に使用したときの状況などによって変わることもありました。
例えば、
「以前モビプレップを飲んだときに吐いてしまった」
という患者さんには、別の腸管洗浄剤が選択されることもありました。
覚えておいた方がいいことは、それぞれの
・溶解量、作り方
・飲み方、服用量、服用時間
・作用機序、洗浄力、浸透圧
・副作用と禁忌
また、それぞれ味も違います。
私自身はニフレックが比較的飲みやすく、カルピスのような味に感じました。
モビプレップは梅っぽい味、サルプレップは少し苦味を感じました。
もちろん味の感じ方には個人差があります。
勤務先で機会があれば実際に味を知ってみると、
「これは確かに量を飲むのが大変そう」
「この味なら、患者さんはこう感じるかもしれない」
と、患者さんの気持ちを想像しながら説明しやすくなると思います。
採用されている腸管洗浄剤や使用方法は施設によって異なるため、入職前に勤務先で何を使用しているのか確認してみてください。
抗凝固薬・抗血小板薬について
内視鏡クリニックへ入って、
「もっと先に薬の名前を見ておけばよかった」と思ったものの一つが、抗凝固薬や抗血小板薬です。
検査前には患者さんが普段飲んでいる薬を確認する場面があります。
そのため、代表的な薬剤名をざっと見てメモしておくだけでも、入職後の理解がかなり違うと思います。
ただし、ここで大切なのは、「この薬なら○日前から休薬」と自己判断できるようになることではありません。
休薬する期間は必ず職場で決まっています。
なのでここは必ずその職場の休薬ガイドラインを確認して覚えていくようにしましょう。
私が働いていたクリニックでも、胃内視鏡と大腸内視鏡、それぞれで休薬する期間が異なっていたり、病状によっては抗凝固剤を内服したまま検査をすることもありました。
② 検査中に覚えておきたかったこと
鎮静について
内視鏡検査では、鎮静を行うことがあります。
私が働いていたところでは、
鎮静のことを「セデーション」
鎮静あり→「セデあり」
鎮静なし→「セデなし」と呼んでいました。
ここでは、具体的な薬剤の投与量や投与方法については書きません。
鎮静に使用する薬剤や投与方法などは施設によって異なるからです。
内視鏡クリニックで働き始めたら、
「このクリニックでは何の鎮静薬を使っているのか」
「どのような方法で投与しているのか」
「鎮静中・鎮静後は何を重点的に観察しているのか」
を勉強しておくと、検査中の観察や検査後の患者さんのケアにつながりやすいと思います。
薬剤名だけを暗記するのではなく、「この薬を使った患者さんには、どんなことに注意する必要があるんだろう?」
というところまでつなげて考えると、現場で理解しやすくなりました。
腸管の動きを抑える薬について
検査中には、消化管の動きを抑える目的で薬剤を使用することもあります。
ここでも、「何という薬を使うのか」だけではなく、
作用と注意すべき既往歴をセットで理解しておくことが大切だと感じました。
抗コリン作用をもつ薬剤では、緑内障や前立腺肥大、心疾患など、使用時に注意・禁忌となる疾患があります。
患者さんの既往歴を確認するときにも、「なぜこの病気について確認しているのか」まで理解できると、ただ問診項目を読み上げるだけではなくなります。
実際に使用する薬剤や禁忌・注意事項については、勤務先で採用している薬剤の添付文書や院内手順を確認してください。
検査中の体位変換
検査中は、ずっと同じ姿勢で検査するとは限りません。
どの体位から検査を始めるのか。
どのタイミングで体位変換をするのか。
看護師はどのように患者さんをサポートするのか。
こうした流れも、事前に少しイメージしておくと検査室へ入ったときに理解しやすくなります。
ただし、これも医師や施設によって方法が異なります。
基本的な体位を知ったうえで、実際の検査では勤務先のやり方を覚えていけばいいと思います。
内視鏡で使う器具と処置について
内視鏡検査や処置で使用する器具についても、入職前にざっくり調べておくことをおすすめします。
私が働いていたクリニックでは、
・生検鉗子(胃カメラ用と大腸検査用で長さが違う)
・スネア
・局注針
・クリップ
などを使用していました。
最初は器具の名前を聞いても、
「何に使うものなの?」
というところからのスタートでした。
でも、器具の名前だけを覚えるのではなく、「どんな処置で、何のために使うのか」までセットで理解すると、検査中の流れがかなり分かりやすくなります。
例えば、
生検鉗子は、組織を採取するためのもの。
スネアは、ポリープなどを切除する「ポリペクトミー」や「EMR」。
局注針は、薬液などを局所に注入するとき。
→この薬剤も何を使用するのか勉強しておくといいと思います。
→また、局注針を使用した処置のことをEMRというのでこれも併せて勉強しておくと楽になると思います。
クリップは、止血や処置後の創部への対応などに使用します。
このように、
「処置の内容 → 使用する器具 → 起こり得るリスク → 処置後の観察」
までつなげて勉強しておくと、ただ器具の名前を暗記するよりも理解しやすいです。
また、ポリープ切除などを行っているクリニックでは、スネアだけでなく高周波装置を使用することもあります。
あとは、モノポーラ方式とバイポーラ方式の違いなども勉強しておくと、理解が深まりますし、先輩に聞かれた時に答えやすくなります。
器具や処置について理解できるようになると、
「先生は今、何をしようとしているのか」
「次は何が必要になるのか」
「この処置の後は何に注意して患者さんを観察するのか」
と、少しずつ検査の先まで考えられるようになります。
言われた器具をただ準備するだけだったところから、検査全体の流れが見えるようになってくる。
私はこの感覚が分かってから、内視鏡の仕事がさらに面白くなりました。
③ 検査後の患者さんをどう観察するのか
内視鏡看護は、検査が終わったら終了ではありません。
特に鎮静を使用した患者さんでは、検査後の観察も重要です。
私が特に見ていたのは、
・呼吸状態
・SpO₂
・血圧
・意識状態
・ふらつき
などです。
患者さんの年齢や状態、使用した鎮静薬などによって注意するポイントも変わります。
異常がみられた場合には自己判断せず、勤務先の手順や医師の指示に沿って対応します。
検査中では、SpO2が低下した場合、酸素投与もすることがあります。
酸素投与についても軽く事前に勉強しておくと、後々理解が楽にできるようになります。
また、検査が終わった直後はふらつく患者さんもいます。
歩行できる患者さんでも必要に応じて付き添いながらリカバリー室へ移動してもらい、歩行が難しい場合には車椅子を使用するなど、転倒にも注意していました。
検査中の介助だけでなく、「患者さんが安全に検査を終えて帰宅するところまでが看護」だと思っておくと、見るポイントが増えていきます。
④ 解剖生理は基本中の基本
そして、内視鏡クリニックで働くなら、消化管の解剖生理は基本中の基本です。
胃や十二指腸、大腸の各部位など、基本的な位置関係や粘膜の薄さなど入職前に一度復習しておくことをおすすめします。
なぜなら、解剖が分かってくると、
「今どこの部位を見ているのか」
「どこを検査しているのか」
「どこの組織を生検したのか」
が分かるようになるからです。
最初はモニターを見ていても、私には何が映っているのかほとんど分かりませんでした。
でも、解剖を理解して実際の検査とつながってくると、
「あ、今ここを見ているんだ」
「ここからこの部位に進んでいくんだ」
「ここの部位の病変があるのか」
と少しずつ分かるようになります。
そうすると、ただ先生の横で介助するだけだった検査が、どんどん面白くなってきます。
分かることが増えると、看護の仕事は楽しくなる。
私は実際に働きながら、それを感じました。
⑤ ピロリ菌の検査もざっくり知っておく
消化器内科では、ピロリ菌の検査に関わることもあります。
ピロリ菌の検査にはいくつか種類があります。
私が働いていたクリニックでは、
・尿素呼気試験(UBT)
・迅速ウレアーゼ試験(RUT)
・尿を用いたピロリ菌検査
などを行っていました。
最初は、「UBTって何?」
「RUTと何が違うの?」という状態でした。
だからこそ入職前に、「どんな検査方法があるのか」くらいはざっと調べておくことをおすすめします。
さらに、
・それぞれ何を調べている検査なのか
・どんなときに行うのか
・検査前にどんな注意点があるのか
まで軽く理解しておくと、入職後に困りにくいと思います。
すべてを暗記する必要はありません。
まずは検査の種類と大まかな特徴を理解して、実際に勤務するクリニックで採用されている検査方法や手順を覚えていけば大丈夫です。
結局、どこまで勉強してから入職すればいい?
ここまで読むと、「やっぱり内視鏡って覚えることが多い……」と思った方もいるかもしれません。
私自身覚えることが本当に多くて毎日しんどかった思い出があります。
では、どこまで勉強しておけばいいのか。
これは正直、一概には言えません。
クリニックによって行っている検査や処置も違えば、採用している薬剤や器具、看護師が担当する業務、教育体制も違うからです。
私が働いていたクリニックでは、処置室から覚えて、その後検査室へ入りました。
でも、別のクリニックでは全く違うかもしれません。
だからこそ、私は入職前から細かいことを全部暗記しようとするより、
「検査前→検査中→検査後」の流れに沿って勉強していくことをおすすめします。
例えば、
解剖生理。
検査前の注意事項。
抗凝固薬・抗血小板薬。
腸管洗浄剤。
鎮静。
使用する器具や内視鏡処置。
検査後の観察。
ピロリ菌検査。
こうした内容を、「これは検査のどの場面で必要になる知識なのか」と考えながら勉強していくと、検査前・検査中・検査後、それぞれで看護師が何をしているのかが少しずつ見えてきます。
バラバラに用語を暗記するよりも、実際の検査の流れと結びつけて覚えていく。
私はその方が、「なぜこれを確認するのか」「なぜこの観察が必要なのか」まで理解しやすかったです。
そして入職したら、「このクリニックではどうしているのか」を確認しながら覚えていく。
私はこの順番が一番理解しやすかったです。
内視鏡未経験でも、働きながら分かることは増えていく
私は内視鏡クリニックへ入る前、「内視鏡って何だっけ?」というところから始まりました。
小児分野しか経験していなかった私にとって、最初は知らないことだらけでした。
それでも、処置室の仕事を一つ覚えて、
患者さんへの説明ができるようになって、
薬の意味が分かるようになって、
検査室へ入って、
器具を覚えて、
モニターを見ながら今どこを観察しているのか分かるようになっていきました。
最初から全部できたわけではありません。
でも、知識と実際の検査が少しずつつながってくると、
「だからこの確認が必要だったんだ」
「だからこの薬を使っていたんだ」
「だからこの器具を準備するんだ」
と、点だった知識が線になっていきます。
私は、それが内視鏡看護の面白さの一つだと思っています。
これから内視鏡クリニックへ転職する方は、分厚い参考書を見て「全部覚えなきゃ」と焦らなくても大丈夫です。
まずは検査の流れを知る。
そして、自分が働くクリニックではどんな検査や処置をしているのかを知る。
そこから必要なことを一つずつ学んでいけば、働きながら少しずつ見える景色が変わってくると思います。
最後に
ここまでいろいろ書いてきましたが、私自身、内視鏡クリニックに入職するまでは成人領域をほとんど経験したことがありませんでした。
それどころか、入職した当時は採血すら一人でできない状態。
内視鏡について調べても分からないことばかりで、本当にゼロからのスタートでした。
そんな私でも、働きながら一つずつ覚えて、練習して、半年後にはできることがかなり増えていました。
だから、今この記事を読んで
「内視鏡って難しそう……」
「未経験の私にできるかな」
「覚えること多い…」
と思っている方も、最初から全部できる必要はないと思います。
分からないことを調べて、実際の検査と結びつけながら、一つずつ覚えていく。
努力して経験を重ねていけば、少しずつできるようになっていきます😊
そして、できることが増えて検査の流れが分かるようになると、
「今ここを見ているんだ」
「次はこの器具を使うんだ」
「だからこの観察が必要なんだ」
と、それまでバラバラだった知識がつながっていきます。
当たり前かもしれませんが、分かるようになると、内視鏡の仕事は楽しいです。
私自身も、できることが増えるほど内視鏡の仕事が楽しくなっていきました。
これから内視鏡クリニックへの転職を考えている方に、私が「入職前に知っておきたかった」と思ったことが、少しでも参考になればとても嬉しいです。
最初は分からないことだらけでも大丈夫。
この記事が、これから内視鏡クリニックへ一歩踏み出す方の助けになれば嬉しいです。
あなたの転職が、いい転職になることを願っています🌷
※この記事は、私が内視鏡クリニックで勤務した経験をもとにまとめたものです。施設によって使用する薬剤・器具・検査方法・看護師の業務範囲などは異なります。実際の医療行為や薬剤の使用、休薬、鎮静後の対応などについては、勤務先の手順、医師の指示、添付文書、最新のガイドライン等を確認してください。
