自動化で減らしたのは手間だけじゃない。太極拳で気づいた“余裕”の価値
今日はRPA処理で作った仕組みの話ではなく、その自動化の仕組みが生んだ“余裕”の話です。
久しぶりに、公園での太極拳に行ってきました。
花粉がひどくて、しばらく遠慮していたのですが、やっぱり外で体を動かすのは気持ちがいいですね。
空の下でゆっくり動くと、それだけで少し整う感じがします。
この太極拳の会には、毎回「前立ち(まえだち)」という当番の人がいます。
役割は、号令をかけたり、全体の進行を管理したりすることです。
外から見ると、とても自然です。
いつもの流れに沿って、みんなが静かに動いていく。
だから私は、正直なところ、そこまで大きな負担のある役割だとは思っていませんでした。
でも今日、前立ちを担当された方の話を聞いて、驚きました。
「前日の夜に、しゃべりと進行をリハーサルするんです」
「言い間違えないように、動作を間違えないように。それが一番緊張します」
なるほど、と思いました。
周りからは自然に流れているように見えることも、当事者にとっては、かなりのプレッシャーの上に成り立っている。
見えていない負担というのは、案外たくさんあるのかもしれません。
実はこの話、昨年の春に相談を受けていました。
「前立ちの人が、号令をかけなくても進行できるようにできないか?」
そこから作り始めたのが、今回の自動進行の仕組みです。
仕組み自体はシンプルです。
スイッチを入れると、
AI音声で動作の開始を案内し、
各動作の時間に合わせて進行し、
終了の目安として鳥のさえずりが流れる。
そんな流れにしました。
この「鳥のさえずり」が、ちょっとした工夫です。
各動作の終わりが近づくと、
1分前、30秒前、10秒前に、5秒ほど鳥の声が入ります。
いわば、鳥にやさしく急かされる太極拳です(笑)。
最初のバージョンには、この鳥のさえずりは入っていませんでした。
でも何度か試してみるうちに、あとどれくらいで終わるのかが音でわかれば、参加している人が自分で動きのペースを調整できるのではないか、と思ったのです。
ゆっくり丁寧に動くのか。
少しテンポを上げるのか。
その判断ができるだけで、進行に無理がなくなります。
それに、公園では普段から鳥の声が聞こえています。
だから、録音の中に鳥のさえずりが混ざっていても、まさか合図だとは思わない。
その自然さも、面白いところでした。
ただ、実際にはひとつ問題がありました。
鳥の声は、人によって聞こえやすさが違うのです。
聞こえる人もいれば、聞こえにくい人もいる。
だから、どんな種類の「さえずり」を入れるかは、少し苦労しました。
目立ちすぎてもいけないし、自然すぎても気づかれない。
このあたりは、思った以上に繊細な調整が必要でした。
動作の流れは、こんな感じです。
練功18法
立禅
スワイショウ
八段錦(1〜4段)
24式太極拳
八段錦(7〜8段 ※曜日によって変動)
百花拳
立禅
スワイショウ
それぞれの動作時間を計測して、無音時間も調整しながら組み立てています。
ここまで作るのに、実は4か月くらいかかりました。
「楽にする仕組み」って、意外と手間がかかるんですよね(笑)。
でも、今日あらためて話を聞いて、作ってよかったなと思いました。
「しゃべらなくていいので、かなり楽になりました」
「動作に集中できるようになりました」
その言葉を聞いて、役割そのものが変わったのだと感じました。
これまでは、
“進行する人” だったのが、
今は “一緒に体験する人” になった。
これは、思っていた以上に大きな変化です。
AIとか自動化というと、どうしても
効率化
時短
生産性
といった言葉で語られがちです。
もちろん、それも大事です。
でも今回のことで私がいちばん強く感じたのは、少し違うことでした。
自動化の価値は、
人の負担を減らして、余裕をつくること
なのかもしれない、ということです。
余裕ができると、動作に集中できる。
周りの空気を楽しめる。
場の一体感も生まれる。
ただ「楽になる」だけではなく、その人がその場にちゃんといられるようになる。
そんな変化が起きるのだと思います。
日常の中にも、
「ちょっとした負担」って意外とたくさんあります。
ほんの少し気を張ること。
誰かがずっと気を配っていること。
当たり前のように回っているけれど、実は誰かの緊張で支えられていること。
そういうものを、ひとつずつ軽くしていけたら。
世界はもう少し、やさしくなるのかもしれません。
今回は、そんなことを感じた太極拳の日でした。
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