【音楽】朝ドラは紅白の下僕か
2026年下期の朝ドラの主題歌がYOASOBIに決まったらしい。
ここで私が見た直近の作品と主題歌を並べてみる。
2023(BK)「ブギウギ」…中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
2024(AK)「虎に翼」…米津玄師「さよーならまたいつか!」
2024(BK)「おむすび」…B'z「イルミネーション」
2025(AK)「あんぱん」…RADWIMPS「賜物」
2025(BK)「ばけばけ」…ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
2026(AK)「風、薫る」…Mrs. GREEN APPLE「風と町」
まあ人気ミュージシャンの多いこと。歌、特に歌詞をドラマの内容に寄せるのは当たり前として、ミュージシャンのチョイスも内容に寄せて欲しいものだ。その点優れていたのは「ブギウギ」と「ばけばけ」だろう。
「ブギウギ」は中納良恵・さかいゆうと超実力派がガッチリ土台を固めたうえに主演の趣里が乗っかるという贅沢な人選だった。おまけに「東京ブギウギ」の服部良一の血を引く服部隆之による作曲というこれしかないメンツ。
「ばけばけ」は完全にストーリー最優先で選ばれたのがハンバートハンバートだった。知名度こそ低かったものの、確実な実力とキャリアを兼ね備えており、かつ「ばけばけ」の小泉八雲・セツ夫婦の関係をダイレクトに想起させる夫婦デュオ。私は2000年代にすでにハンバートハンバートのライブを見ており、主題歌に選ばれたのを知ったとき思わず膝を打った。
このような好例がある一方で「あんぱん」は酷かった。ドラマそのものはよくできていたのだが、OPの本編をまるで無視した映像にRadwimpsの全く聞き取れない歌詞。はっきり言ってOPは最低の出来だったと言わざるを得ない。(放送当時に私はすでに記事を書いている)
私は音楽についてはわりとスタイルは寛容なので、歌詞が聞き取れなかろうが意味をなしてなかろうがそもそも歌詞がなかろうがあんまり気にしない。
しかし、比較的高めの年齢層が広く視聴する朝ドラにおいて歌詞が聞き取れない曲を書くというのはTPOを無視した杜撰な仕事と言わざるを得ない。作曲したミュージシャンはもちろんのことプロデューサーを始めとしたNHK制作スタッフにも猛省を促したい。
そもそも先に述べたように、売れっ子のミュージシャンを安易に選ぶ時点でゲスな企みを感じてしまう。「視聴率を取りたい」さらには「紅白歌合戦の目玉にしたい」という意図がミエミエだ。
民放やネット配信ならいくらでもやればいい、しかしNHKは公共放送である。湯水のように使われる製作費やギャラを払っているのは国民だ。それも放送法という化石のような法律でガチガチに既得権益を守って、テレビがあれば見ようが見まいが強制的に受信料を徴収するというヤクザまがいの汚いやり方で。
今の受信料の問題についてはいくらでも批判はできるけれども今回の趣旨と異なるのでひとまず置いておく。NHKは良質なコンテンツも生み出していることは認める(特に「虎に翼」は白眉であった)。だからこそ作品に寄り添った主題歌を作って欲しいのだ。米津玄師はさすがというか、音楽のトレンドや自身の作風を生かしながら作品にぴったり寄り添う素晴らしい曲だった。
一概に売れているミュージシャンを使うなとは言わない。ただ、朝ドラというフォーマットに合わない曲であれば大物ミュージシャンであろうがNHK製作陣は容赦なくNGを出すべき。いやしくも公共放送を名乗るのであればそのくらいの矜持は持って当然だ。
さて、YOASOBIといえばそもそも物語を音楽として立体化して人口に膾炙したミュージシャンである。自己満足に終わることなく、様々な層に刺さる名曲を書いて欲しいと切に願っている。
