#3つのお題に空想のひらめきを 「りくりゅう」
第36回 3つのお題
お題①:「星を釣る漁師」
お題②:「風に名前をつける少女」
お題③:「眠れない龍のための子守唄」
出会った時は小柄なだけに、まだ小学生かと思った。
「りく風が楽しいの」と、リンクの上を滑るときに感じる風に自分の名前をつける少女のような17歳の三浦璃来だ。
国別対抗戦にペア競技が加わり、ペアを組む強化選手を見つけるためのトライアルが開催された。そこに参加していたのが木原龍一26歳。選手としてではなく、引退を考えていた龍一はトライアルを手伝ってくれと言われ、無償の裏方としてリンクに来ていた。トライアルが終わり、帰ろうとする龍一が呼び止められ、再びスケート靴を履いてリフトしたのが璃来だった。星を釣る漁師なら失格だが、龍一は楽々と璃来を釣り上げてキャッチする。その高さに関係者は驚いた。「このふたりなら行ける!」
璃来も手ごたえを感じていた。「今まで相手に合わせていたけど、龍一君とならスピード感が自然と合う!」と。ここに、りくりゅうペアが誕生した。ペア競技で体幹が鍛えられ、個人の技術も上がっていく。龍一は苦手だった3回転ジャンプの連続技が確実に出来るようになっていた。
ペアを結成して7年目。2度目のオリンピック。優勝候補筆頭のふたり。
前日の規定演技で、りゅうはリフトに失敗し、5位と出遅れた。
一晩中、後悔して泣いてばかりのりゅう。兄貴分だったりゅうをなぐさめ、大丈夫!と励まし続けたりく。初めて眠れない龍のための子守唄を歌う母親になった夜だった。
翌日のフリー演技直前。りゅうは「もう大丈夫。吹っ切れたよ」と笑顔を見せた。「OK。二人の絆で踊ろう」とりく。
結果は、世界最高得点をたたき出し、逆転優勝金メダル。りくりゅうは、全世界を感動の渦に巻き込んだのだった。
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