これは事件だ:moreruの登場
moreruという名前を最初に聞いたとき、正直に言えば「また新しいバンドが出てきたんだな」くらいにしか思っていませんでした。僕の中では、そういう出会いはもう何度も繰り返されてきたからです。ところが、音を聴いてみると、そんな気持ちはすぐに吹き飛びました。これは事件だ、と。
最新アルバムの『ぼぼくくととききみみだだけけののせせかかいい』は、ノイズやハードコアの衝動を抱えながら、妙にキャッチーで、ポップの要素まで飲み込んでしまう不思議な作品でした。『ミュージック・マガジン』の矢川俊介編集長が9点を付けたという話も聞きましたが、それも納得できるくらいの衝撃でした。
ライブでは渋谷WWW Xを満員にして、観客が「フェスだよ!」と叫んだそうです。僕はその場にいなかったけれど、想像するだけで胸がざわつきます。ハードコアの激しさを保ちながら、青春パンクの眩しさを獲得している姿は、次世代のカリスマと呼ばれてもおかしくないと思います。
批評家の小野島大さんは「まだ全体の3%しかできていない」と語るメンバーの姿勢を紹介していました。つまり、moreruはまだ始まったばかりなのです。これからどんな音を鳴らすのか、どんな事件を起こすのか、考えるだけで少し怖くて、でも楽しみでもあります。
moreruの登場は、音楽シーンにおける“事件”です。人気や評価を超えて、時代の空気を変える存在になりつつある。僕自身も、この事件をどう受け止めるか、まだ答えを出せずにいます。
