「元・介護士の私が、親の介護を人に任せる理由」
私は、介護士という仕事が大好きだった。
本気で天職だと思っていた。
認知症の利用者さんに、何を言われても、何をされても腹が立たなかった。
ただただ、どんな利用者さんも愛おしくて、可愛く見えた。
そんな私だけど――
今、親の介護はヘルパーさんなどの介護サービスにお願いしている。
「え?元介護士なのに?」と思う人もいるかもしれない。
でも、理由がある。
利用者さんには「最初から期待していない」から優しくできた
介護士として出会った利用者さんたちは、最初から認知症だった。
だから「こういう人なんだ」と、最初から受け入れることができた。
でも親は違う。
元気だった頃を知っているし、どうしても“期待”してしまう。
「こうあってほしい」「こうならないで」
「私のことも、もう少し考えてほしい」――そんな気持ちがどうしても出てくる。
冷たく聞こえるかもしれないけど、私は利用者さんにはそういう期待をしなかった。
あくまで“仕事”として、時間内での関わりに心の余裕があった。
だから優しく、親身に接することができた。
家族介護は「終わりがない」。だからこそ、距離が大事だと思う
家族の介護には、時間の区切りがない。
期待も不満もお互いにどんどん積もっていく。
もちろん、上手に家族で介護している方もいる。
でも私は、子育てと仕事と介護が重なる今の生活では、どうしても限界がある。
だから私は、
「家族の役目は、“そばにいる”こと」
だと思っている。精神的にも、肉体的にも。
私にしかできないことを、私がやる
私は母の近くに住み、何かあればすぐに駆けつけられる。
頼まれれば、お風呂に入れてあげるし、爪も切る。
トイレ介助をすることもある。
でも、日々の生活のほとんどはプロに任せている。
そのかわり、私は頻繁に会いに行く。
一緒にお出かけする。
ご飯を食べながら、母の話をじっくり聞く。
忙しい業務の中の介護士には難しいことを、私は家族として全力でやる。
それが私にできる“介護”の形だと思っている。
優しくいたいから、頼る
これが正しいかどうかは、正直わからない。
でも、私は自分にとってちょうどいいバランスで、
頼れるところにはちゃんと甘えて、
心の余裕を持ったうえで、優しく向き合っていたいと思っている。
おわりに
プロだったからこそ、家族の介護には「任せる勇気」も必要だと知った。
優しくいるための選択、私はしていいと思ってる。

