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マネ×ゴト Vol.9 - 「仕事を知る」という最強の生産性向上術

「自分たちの仕事が、どう他者に関わっているのか」は、実は自分以外の人から見えづらいものです。
たとえ日々同じプロジェクトに関わっている仲間であっても、私たちの仕事がどこから始まり、どこまで影響するのかを正しく理解しているとは限りません。

そしてこれは、自分にも言えることです。
隣のチームメンバーの作業が、どのような意味を持ち、どんな判断のもとに進んでいるのか。自分にどう関わってくるのか。わかっているようで、案外わかっていないのです。

この「お互いに仕事が見えていない」状態こそが、実は多くの非効率や誤解、生産性の低下を引き起こす要因になっています。


「あの時もっと早く声をかけてくれたら」問題

マネ×ゴト Vol.7『イシューを握る』では、早い段階から仕事に関与する重要性について書きました。

問題が姿を現す前、あるいはまだ形になっていない段階で「イシュー」に気づくことで、解像度高く本質的な課題をつかみ取れる。これは、マネジメントに限らず、あらゆる仕事において重要な視点です。

しかし、現実には「あのときもっと早く声をかけてくれたら」「なぜあの人に最初から相談しておかなかったのだろう」という後悔が多発します。その背景には、「そもそもその人が関係あるとは思っていなかった」という、認識のズレが横たわっているのです。

つまり、自分の仕事が他人にどう関係してくるのかを、相手は知らない。

同様に、相手の仕事が自分にどう関係してくるのかも、自分は知らない。

その結果、「呼ぶタイミングを逃す」「関与が遅れる」「余計な手戻りが発生する」といった事態が起こります。個々の作業レベルでは些細に見えることでも、積もれば大きなロスになります。

「自分にしてほしいことを、相手にする」

もしあなたが、「もっと早く相談してほしかった」と感じたことがあるなら、その逆もまた起こっていると考えたほうが自然です。

人は、自分の見えていないものには、関心が向きません。だからこそ、「見えるようにする」ことが重要です。

ここで、聖書にもある「黄金律(Golden Rule)」が思い出されます。「自分がしてほしいことを、相手にもしてあげなさい」という、あの教えです。仕事においてこの黄金律を実践するならば、まずは自分が「相手の仕事を知る努力をする」ことが第一歩です。

そして同時に、「自分の仕事を、相手にわかるように見せる」ことも求められます。

多くの人が「理解されたい」と願っています。でも、「理解しよう」とする姿勢は、それに比べて後回しにされがちです。まずは、相手の立場に立って、その人の仕事が何に時間を使い、どんな判断に迫られ、何に悩んでいるのかに目を向けてみる。

すると、自分の仕事のやり方も変わっていきます。

仕事の「可視化」は、信頼と成果を生む

「見せる努力」は、誤解を防ぎます。

誰かが自分のことを「なぜ関与してこなかったのか」と責めるのは、その人が悪いのではなく、自分の存在が「見えていなかった」からかもしれません。だからこそ、自分の仕事の意図や、いま考えていること、まだ決まっていないけれど悩んでいることなどを、適切なタイミングで共有することが重要です。これは報告や業務連絡という意味ではなく、「仕事を開いておく」感覚に近いかもしれません。

たとえば、定例の打ち合わせで「最近こんなことを考えています」と少し漏らすだけで、「それなら一緒に検討したい」「この観点も入れましょう」といった反応が返ってきます。そこから思いもよらない連携が生まれたり、事前に地雷を避けられたりすることもあります。

まさに、生産性の起点は「お互いの仕事を知ること」にあるのです。

「知ろうとする姿勢」が文化をつくる

もちろん、全員の仕事を完璧に理解することは不可能です。でも、「知ろうとする姿勢」さえあれば、コミュニケーションは大きく変わります。

  • 相手の意図を想像してみる

  • 気になったら遠慮なく聞いてみる

  • 仕事の流れを図にして共有する

  • 雑談の中で相手の関心や価値観を拾う

こうした小さな行動の積み重ねが、「このチームはちゃんと話せる」「早めに相談しよう」と思える空気を生み出します。結果として、関係性の質が上がり、判断スピードが上がり、仕事の質も高まる。つまり、「生産性」というのは、テクニックやツールの話ではなく、「関係性の結果」として現れるものなのです。

誰の仕事にも、誰かの期待がある

もう一つ大事なことがあります。それは、「仕事には常に、他人の期待が関わっている」という視点です。

私たちは往々にして、自分の仕事を「自分の担当業務」としてだけ見てしまいがちです。けれど、どんな仕事も、必ず誰かの「こうあってほしい」という期待に支えられています。それが顧客かもしれないし、チームの仲間かもしれない。

その「期待」の正体を知ろうとすることは、仕事の本質に近づくことです。そして、それを知るには、相手の話を聞くしかありません。相手に質問を投げかけるしかありません。「この仕事がうまくいくと、誰がうれしいのか?」「その人が本当に求めているものは何か?」こうした問いを、自分にも、仲間にも投げかけてみると、関係性の質も、成果の質も、まるで変ってきます。

見える化することで、未来がつながる

「見えていないものを、見えるようにすること」

これは、マネジメントでも、プロジェクトでも、仕事の基本ではないでしょうか?

そして、そのためにまずできるのは、自分が相手の仕事を知ろうとすること。相手に自分の仕事を知ってもらおうとすること。

これは単なる情報共有ではなく、信頼の種まきです。やがてそれが芽を出し、実を結ぶことで、チームの生産性は一段高いレベルへと引き上げられていきます。

読者の皆さんにも、ぜひ「見ようとすること」「見せようとすること」の力を、日々の仕事の中で体感していただきたいと思います。

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