つづけるために、こだわりを手放す
何かを「つづけたい」と思っても、それを本当に続けることは、決して簡単ではありません。意欲や理想だけでは足りず、日々の生活や心身のコンディションに左右されて、あっという間に途切れてしまう──そんな経験は、誰にでもあるはずです。
この記事では、私が長くつづけている二つの活動──位置情報ゲーム「Ingress」と、投稿サービス「note」について、なぜつづいているのか、どうやってつづけてきたのかを振り返ります。
「つづけること」そのものを目的にしてみたら、少しだけ息がしやすくなりました。その実感を、ここに記しておきたいと思います。
つづけるために、遠くを見ない
気がついたら、いつの間にかつづいていた──そんなことがあります。
私にとって、今のところその例は二つあります。Ingressとnoteです。
この二つに共通しているのは、「つづけること自体を目標にしている」という点です。言い換えれば、それ以外の目標を一度脇に置いてでも、「つづけること」だけは絶対に手放さないと決めたからこそ、今日までつづいてきたのだと思います。
Sojournerだけを目指して
Ingressは、位置情報を活用して現実の場所を巡りながら、ポータルと呼ばれる拠点をハック(アクセス)したり、リンクをつなげて陣地を作ったり、敵の陣地を崩したりするゲームです。
その中に「Sojourner(ソジャーナー)」という実績メダルがあります。これは、24時間以内に1回でもハックを行えば日数が加算され、1日でも空けてしまうとカウントがリセットされてしまうという、非常にシンプルで過酷な条件の実績です。
このメダルが登場したのは2015年のことでした。私はこれを見て、意識的にハックをつづけるようになりました。以来、一度もリセットされることなく、現在も継続中です。気がつけば、10年以上つづいています。
ポータルを奪い合って勝利すること、巨大なコントロールフィールドを構築すること、AP(経験値)を稼いでランキング入りを目指すこと、wayspotを申請・審査してマップを育てること──どれも魅力的な目標ですが、自分の生活リズムや体力、移動範囲ではなかなか実現が難しいと感じていました。
その中で、「1日1回、どこかのポータルをハックする」だけなら、自分でもつづけられるかもしれない。そう思って始めたことが、Sojournerという記録として残りつづけています。そしてこのメダルは、私にとって唯一「つづけている」と胸を張って言える指標となりました。

書くことだけを守るnote
noteに対しても、私は同じような姿勢で向き合っています。
文章を書くとなると、「しっかり構成を練って、読んだ人の役に立つ内容を書かなければならない」と思い込みがちでした。そこで改めてnoteを始めた際には、「とにかく毎日、何かを投稿する」というシンプルな目標に切り替えることにしました。その結果、連続投稿が始まり、この記事で52日目を迎えています。
もちろん、文章の質や内容の深さにこだわることも大切です。しかしそれ以上に、「書くこと自体をやめない」ことのほうが、私にとっては重要でした。
たとえば、「絶対にAIを使わない」「毎回、誰かからスキをもらえるような記事にする」といった高すぎるハードルを設けていたら、ここまでつづけることはできなかったと思います。
「毎日書く」という一つの目標だけを大事にする。そして、それに必要な手段や方針だけを残して、その他のこだわりは一度脇に置く──そうして初めて、安定して「書きつづける」ことができるようになったのです。
目標は、分解して手の届く場所に置く
何かを「つづけたい」と思ったとき、大きな理想がかえって障壁になることがあります。
たとえば、「たくさんの人に読まれるnoteを書きたい」「唯一無二の分析記事を書きたい」「Ingressでランキング上位に入りたい」など──いずれも素晴らしい目標ではありますが、そのままの形では実現が遠すぎると感じてしまい、結局手をつけることすらできなくなるのです。
誰かに強制されているわけでもないのに、自分で自分を追い込んでしまう──そんな傾向があると自覚している私は、目標をできる限り小さく分解するようにしています。
Sojourner──1日2回だけポータルをハックする。
note──とにかく毎日、何かひとつ書いて投稿する。
このくらいのサイズ感に縮めておくと、たとえば体調が悪い日でも、出張で移動している日でも、「どうにか達成できる」目標になります。遠くの理想を見すぎて足を止めるよりも、まずは足元の一歩に集中する。その積み重ねが、結果として道になっていくのではないかと信じています。
続けるには、「削る」ことが必要
「続けたい」と思うだけでは、なかなか続きません。特に日常生活の中では、想像以上に時間や体力、精神的な余裕が限られています。そのような中で何かを「毎日やる」と決めたのであれば、他のことを削らなければ続けることは難しいのです。
noteにおいて、私が削ったのは次のようなこだわりです。
毎回、完璧な構成で書くこと
必ず独自性のあるテーマにすること
AIを使わずすべて自力で書くこと
反応が薄い投稿は避けること
これらは、理想としては素晴らしいこだわりです。しかし、それらを守るあまり投稿が途切れてしまっては「本末転倒」です。だからこそ今は、「続けるために、こだわりを削る」という選択をしています。
Ingressも同じです。APやミッションクリア数、ポータル争奪戦の勝率などは、どれも平凡な数字にとどまっています。それでも、Sojournerだけは「続ける」と決めて、いまも守り続けています。
それでも残ったものこそ
何かを削って、それでもなお残ったもの──削ってもなお手放さなかったもの──それこそが、自分にとって「本当に必要なこと」なのだと思います。ゲーム内のささやかな実績、文章投稿サイトの小さな記事投稿。表面的にはとても小さな行為かもしれません。けれど、自分の中でははっきりと意味を持っています。
今日もIngressを起動して、ハックした。
今日もnoteにひとつ書いた。
それだけでも、「今日を達成できた」と思えるのです。
おわりに──遠くを見すぎないように
理想は、確かに遠くにあります。そして私たちは、ついそれを見上げてしまいます。けれど、遠くばかり見ていると、足元の歩みがふらついてしまいます。だから私は、視線を落として「今日、ここでできること」だけを見るようにしています。
それだけに集中すれば、「今日も達成できた」と感じられます。そしてそれが積み重なったとき、「気づけば道になっていた」と思える日がくるのではないでしょうか。
「続けることを目標にする」。それは妥協ではなく、現実を直視したうえで、自分の時間と心を守るための、ひとつの選択なのだと考えています。

