見出し画像

【第五章】「そこにとどまる理由」をくれる。僕がコーヒーを愛する理由

前回の記事では、僕の趣味の原点であるスノーボードとキャンプを通じて、自分のなかにある「自然の形に自分を合わせていく楽しさ」や「自分の手で暮らしをつくる喜び」について整理しました。

今回は、僕の3つ目の趣味とお話しした、これからの里山での暮らしにおいても大切なピースとなる「コーヒー」についてもう少し詳しくお話しします。

なぜ僕がこれほどまでにコーヒーという存在に惹かれ、淹れ続けているのか。
その理由を紐解いていくと、やはり僕が目指したい「生き方」そのものに繋がっていました。

はじまりは、キャンプの朝の一杯から

僕がコーヒーを日常的に飲むようになったきっかけは、キャンプでした。
静まり返った澄んだ朝の空気のなかで、お湯を沸かし、豆を挽いて淹れる一杯。外で飲むそのコーヒーが、とにかく格段に美味しかったのです。

最初はただ「休日のお楽しみに、自分で淹れて飲む」という程度でしたが、当時お付き合いしていた妻が、僕の淹れたコーヒーを「美味しい」「淹れるのが上手い」ととても喜んでくれました。
誰かに喜んでもらえる嬉しさを知ったことで、少しずつ豆の種類や淹れ方にもこだわるようになっていきました。

思い返せば、この「自分の手で淹れたもので、目の前の誰かを心地よくさせる」という体験こそが、僕のなかでコーヒーの価値が単なる「嗜好品」から「大切な存在」へと変わった瞬間だったのだと思います。

オランダで出会った “Gezellig(ヘゼリヒ)” という感覚

コーヒーへの想いを語るうえで、僕のなかに大切に残っている言葉があります。
以前、オランダに10日ほど滞在したときに出会った、“Gezellig(ヘゼリヒ)” という言葉です。

日本語や英語の一言ではうまく翻訳できない言葉なのですが、たとえば「家族や友人と温かい食卓を囲む時間」「お気に入りの空間でまったりとお茶を飲む時間」「公園をのんびり犬と散歩する時間」といったものを指します。

それは、単に物理的に居心地が良いというだけでなく、もっと温かくて、肩肘を張らない、「“心”が快いと感じる感覚」のこと。

オランダの街の人たちが、どこか自然体で、日々の何気ない瞬間をとても大切に楽しんでいるように見えたのは、この “Gezellig” という共通の感覚をみんなが心に持っているからなのだと、強く肌で感じました。
そして日本に帰ってきたとき、僕にとってこの “Gezellig” な時間を最も手軽に、そして豊かに作り出してくれるものこそが、コーヒーだったのです。

コーヒーがくれる「とどまる理由」

あなたがコーヒーを飲みたいと感じるのは、どんなときでしょうか。

少しだけ休憩したいとき。
ひとりでゆっくり考えごとをしたいとき。
目の前にある綺麗な景色を、ただ眺めていたいとき。
もう少し、この温かい空間にいたいとき。
あと少しだけ、目の前の人と一緒にいたいとき。

コーヒーという飲み物は、せわしなく過ぎていく日常のなかで、僕たちに「そこにとどまる理由(余白)」をくれます。

「温かいコーヒーを飲み終えるまでは、ここにいよう」
「もう少しここにいたいから、コーヒーでも飲んでゆっくりしていこう」
そうして立ち止まり、日常に少しの余白ができることで、固くなっていた心がほぐれ、自然体に戻ることができる。

そして、その場所で心地よい時間を過ごせたからこそ、僕たちは「よし、また次に進もう」と、気持ちよく歩みを再開できるのだと思います。

これからの暮らしと、コーヒー

自家焙煎したコーヒー豆

「今ここにあるものを大切に、自分の手を動かして暮らしをつくること」
「自然や家族のバイオリズムに、自分を調和させること」
僕が大切にしたいこれらの指針のそばには、いつもコーヒーの温かい湯気がありました。

これから始まる、山と川に近い里山での暮らし。
100坪の庭に果樹を植え、BESSの家を自分たちの手で少しずつ整えていく日々。
そのあわただしくも愛おしいプロセスの合間に、デッキや庭の片隅でコーヒーを淹れる時間は、僕たち家族にとって最も “Gezellig” な時間になるはずです。

そしていつか、その場所で淹れるコーヒーが、遊びに来てくれた友人や、同じように自然を愛する近所の人たちにとっても、「ちょっと立ち止まり、居心地よく過ごすための理由」になれたら、これほど嬉しいことはありません。

次回は、僕が「気の合う仲間が集まって過ごす時間と空間」への憧れを持つようになったきっかけと、自分自身にそういう場所ができたことで世界が広がった経験。
そして、今度は「自分でもそんな場所をつくりたい」と考えるようになっていった背景について、少し深く振り返ってみたいと思います。

----------------------------
あなたにとっての“Gezellig”な一杯は、どんな時間にありますか?もしよければコメントで教えてください。

BESSのログハウスでの暮らしや、里山での「ときをためる暮らし」に関心のある方は、ぜひフォローしてつながっていただけると嬉しいです。

いいなと思ったら応援しよう!