年金は何歳からが正解か—55歳FIREの自分が60歳繰上げを選んだ根拠
前の記事で、さらりと書いた。
「自分は60歳から年金をもらう前提で考えている」と。
こんにちは、hachiです。
今回はその判断の根拠を整理したい。
年金の仕組みを確認
年金は65歳からもらうもの、というのがなんとなくのイメージだった。
実際には、60〜75歳の幅で自分で決められる。
※2022年の法改正で、繰下げの上限が70歳から75歳に延長
おおまかな仕組みはこうだ。
65歳受給:満額(基準)
繰上げ受給(60〜64歳):1ヶ月あたり0.4%減額(2022年改正後)。60歳受給だと最大24%減になる
繰下げ受給(66〜75歳):1ヶ月あたり0.7%増額。70歳なら42%増、75歳なら84%増になる
制度としては「遅くもらうほど1回あたりの金額が増える」設計だ。
ただ、それが得になるかは、何歳まで生きるかによって変わる。
繰下げの損益分岐点を並べてみた
「繰下げると受給額が増える」は分かった。
では、何歳まで生きると「得」になるのか。
損益分岐点を確認した。
70歳受給(5年繰下げ・42%増)の場合
65歳受給と比べて、累計受給額が逆転するのは81歳11ヶ月だ。
82歳まで生きれば70歳受給の方が総額で多くなる。
80歳で亡くなると、65歳受給の方が多かった、ということになる。
75歳受給(10年繰下げ・84%増)の場合
損益分岐点は約86歳になる。
月々の受給額は大幅に増えるが、それを上回るには相応に長生きする必要がある。
整理すると、こうなる。

※日本年金機構の計算式に基づく試算。税・社会保険料を含まない額面ベース。
繰下げは「長生きへの賭け」とも言える。
確かに得になる可能性はある。
ただ、それが自分の出口設計に合うかは別の話だと感じた。
55歳FIREだと、設計が変わる
年金の話は「何歳からもらうと得か」になりがちだ。
ただ、55歳でサイドFIREすることを前提にすると、論点が変わる。
問いはシンプルで、こうなる。
「年金が入るまでの生活費を、どこから出すか」
55歳でサイドFIREした場合、65歳から受け取るとなると、55〜65歳の10年間の生活費は、資産の取り崩しと副収入で賄うことになる。
前の記事で試算したとおりだ。
繰下げを選ぶと、年金ゼロの期間はさらに延びる。
70歳受給なら15年、75歳受給なら20年。
その間ずっと、資産と副収入で生活費を支えることになる。
逆に60歳で繰上げ受給すると、年金ゼロの期間は5年に縮まる。
受給額は24%減になるが、月約15万円が入ってくる。
自分のねんきん定期便の数字を当てはめると、こうなる。

※自身のねんきん定期便の数値をもとにした試算。受給額は個人差あり。
月15万が入るようになれば、前回の試算でいう「副収入」の一部を年金が代替してくれる。
取り崩し額を抑えられるか、副収入の必要量を減らせるか、どちらかだ。
繰下げで28万を狙うには、15年間を資産だけで乗り切る計算が成り立つかどうかが前提になる。
今の資産規模では、そのリスクを取る設計にはなっていない。
自分はどうするか
正直なところ、「最適解」は出せていない。
何歳まで生きるかが分からない以上、計算上の正解は出ない。
ただ、自分の状況に合わせると、判断軸は見えてきた。
55歳でFIREするとして、70歳以降に年金28万円をもらうより、60歳から15万円をもらう方が、出口設計として現実的だと思っている。
理由は2つ。
① 今の資産規模で、15年の年金ゼロ期間を設計したくない
現在の資産は約2,630万円(2026年5月末)。
5,000万円を目標に積み上げている途中だ。
仮に目標を達成しても、70歳まで15年間を取り崩しだけで乗り切る設計はリスクが高い。
相場の暴落が重なれば、資産が想定より早く減る可能性がある。
② 月15万円でも、試算の構造が変わる
前回の試算では副収入が重要な変数だった。
60歳から月15万円の年金が入れば、副収入の必要額が下がる。
「副収入20万 + 年金15万」で回せる設計が見えてくる。
月28万を目指して15年を耐えるより、現実的な構造だと感じている。
繰下げが悪い選択とは思っていない。
長生きすればより多く受け取れるし、資産規模が大きければ十分に成立する。
繰上げを選んだら、後から変えることはできない。それも踏まえたうえで、今の自分の前提では60歳繰上げが出口戦略として一番つながりやすい。
「何歳からもらうのが正解か」ではなく、「自分のFIRE設計に合うのはどれか」—そう問い直したら、答えは出やすかった。
まとめ
「自分のFIRE設計に合うのはどれか」—そう置き直したら、60歳繰上げが一番現実的だった。
年金は老後の話、という感覚がどこかにあった。
55歳FIREを前提に置いたとき、年金は変数の一要素になった。
繰上げを選ぶことで、10年後の変数を5年後に前倒しできる。
出口が少しはっきりした。
※本記事は情報共有を目的としたものです。年金の受給額は加入期間や報酬月額によって異なります。投資・資産形成はご自身の判断と責任で行ってください。
