『かべのむこうになにがある?』──見えない壁と、好奇心のゆくえ。
初めましての方も、
以前の記事を読んでくださった方も、
おはようございます。
数ある記事の中からお越しくださり、
ありがとうございます。
前回の記事では、
京都の旅の様子をお届けしました。
今回は、こんな方におすすめしたい一冊です。
子どもの「なぜ?」に一緒に向き合いたい方
一歩を踏み出す勇気を感じたい方
壁に囲われた場所が舞台だと反応してしまう方
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
かべのむこうになにがある?

かべのむこうになにがある?
作:ブリッタ・テッケントラップ
訳:風木一人
BL出版
(内容紹介)
おおきなあかいかべがありました。
いつからなのか
どうしてなのかだれもしりません。
「ずっとまえからあったのさ」
「わたしたちをまもってくれてるのよ」
「むずかしいことをかんがえるのはやめなよ」
みんなはそういいますが、
ねずみはどうしてもかべのむこうがしりたくて・・・。
かべっていったいなんだろう。
いつのまにかできていたかべは
本当にあるのかな。
一歩を踏み出す勇気をもらえる絵本。
『手と手をつないで』の画家
ブリッタ・テッケントラップの作品。
2019年第65回青少年読書感想文全国コンクール課題図書作品
赤いかべに囲まれた世界で、
「かべのむこうになにがあるのか」
という好奇心を持つ一匹のねずみを中心に、
お話は進みます。
同じく壁の内側で暮らしている、
ねこ、くま、きつね、ライオンたちに、
ねずみはかべに関する疑問をなげかけます。
なぜかべがあるのか。
いつから?
なんのために?
むこうはなにがあるの?
それぞれの動物のセリフには、
年齢や性格が反映されていて、
読者は生き方や価値観の違いを
自然に感じ取れます。
PCM(プロセス・コミュニケーション・モデル)などに馴染みのある方なら、
キャラクターごとのタイプの違いに
ピンとくるかもしれません。
そしてある日、
かべのむこうから空色の鳥がやってきます。
その出会いをきっかけに、ねずみは
『かべのむこうの世界』を知り、
そして
『かべのほんとうの意味』に気づいていきます。
イラストは、コラージュのようでありながら
版画のようでもある独特なタッチ。
動物たちが大胆に配置されていながらも、
全体には整然とした誠実さがあります。
誤解を恐れずに言えば、
「エリック・カールの絵を、丁寧に切り取り、
几帳面に並べたよう」。
そんな印象を受けました。
作者のブリッタ・テッケントラップ氏は、
ドイツ生まれ。
ロンドンの美術大学でアートを学ばれ、
現在はベルリン在住の絵本作家。
彼女の出自を考えると、
『壁』というテーマは
アイデンティティに関わる
繊細な題材なのかもしれません。
その背景を想像しながら読むと、
作品全体には、「押し付けない切実さ」と
「やさしい勇気」が流れているように
感じられました。
好奇心を持ち続けること。
一歩踏み出すこと。
そして、見つけたものを
誰かとシェアする勇気を持つこと。
そんな姿勢を、思い出させてくれる絵本です。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
今回の記事が、
絵本を手に取るきっかけになれば
とても嬉しく思います。
次回の更新も、どうぞお楽しみに。
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